光の軌道
大魔女はアイカが消えた後も、しばらく視線を変えなかった。シュマンが大魔女の後ろから不安気に声をかける。
「大魔女様、もしや泣いておられるのですか?」
すぐに返事がなかったが、大魔女がシュマンを振り返ると、普段の笑顔で言った。
「まさか」
シュマンはホッとした表情を浮かべた。大魔女はシュマンの側を過ぎて立ち去ろうとする。シュマンも後に続いた。しかし、大魔女は何か後ろに異変を感じ、振り返る。シュマンも振り返った。見るとアイカが消えた後に非常に小さな光があった。シュマンが驚く。
「馬鹿な! 光! この光は!?」
大魔女も息を呑んだ。
「闇の魔女の世界に光が存在すれば、いつかすべての闇が消える!」
光は小さな蝶となり無邪気に飛んだ。蝶の軌跡には闇が消えている。大魔女が叫ぶ。
「シュマン! あの光を消します!」
大魔女とシュマンは慌てて闇のエネルギーを光の蝶にぶつけるが、光の蝶は消えないばかりか、闇を喰っているかのように段々と大きくなっていく。シュマンが焦って言った。
「このままでは闇の魔女界が!」
「分かっています!」
大魔女は悔しそうに言う。
「時間を戻します!」
シュマンが驚く。
「しかし! その力を使えば我々も元の姿に!」
「このまま消えるよりはマシです!」
「わ、分かりました」
「それに、人間が存在すれば、また闇の種も生まれてくるでしょう」
大魔女とシュマンは全身でエネルギーを発する。闇のオーラは見る見るうちに巨大化し、ついには地球を覆った。しかし、何か異常を感じてシュマンが叫ぶ。
「大魔女様! 地球内に無数の時間の歪みが生じています! このまま力を使い続けると地球はバラバラに崩壊します!」
「時間軸を定めなさい!」
「定めるものがありません!」
大魔女がふと見ると、巻き戻しのように蝶が小さな光となり、光が消えると横たわるアイカの姿がぼんやりと現われた。大魔女が言う。
「あの子を、アイカを地球の時間軸と定めます」




