出会い④
美空は言った。
「とにかく、折角集まったし、三人仲良くなろう!」
彩芽は尚も慌て気味となり、アイカは反射的に顔を背けた。美空は頭が痛くなった。背けた顔を元に戻したアイカが突然大きな声で言った。
「あの! 私達『魔女結社』が今日始めてここに集った訳ですが!」
途中で美空は話を割った。
「アイカ、もうちょっと声を小さく!」
アイカはどうしてなのか分からず、瞬きした。
「そう?」
彩芽も小さく頷いた。アイカはボリュームを下げる。
「私達が集まった目的は光の三人を本当に見たかどうか。そしてもし、本物だと分かれば、次に会った時、居場所を突き止めて……」
彩芽と美空は頷いて聞いていたが、アイカはその後どうすればいいか分からず言葉が止まった。美空が希望に満ちた目を輝かせて立ち上がった。
「居場所を突き止めて、光の三人をボッコボコに倒す! 世界を破滅さしようとする謎の生物は私達の崇高な望みを叶えようとしてくれている点で利害が一致する! しかし、その邪魔をする者たち! あの者達は私達の存在と相反する者達だわ。正義のヒーロー気取りか何か知らないけれど、ああいうの、私はむしずが走る! そう!『守る』んじゃない! 『破滅』こそが、この世界には必要なのよ!」
美空は心の中では高々とこのように宣言しながら、実際は恥ずかしくて小声だった。アイカが美空に手を合わせて謝るように言った。
「ゴメン、美空。ちょっと聞こえなかった。もう一度言って。『破壊こそが』なんて言ったの?」
美空は赤面して目が点になっていた。
「二度は言えない……」
突然、彩芽が『わぁ』と小さく驚きの声を上げると、ベンチから離れてしゃがみ込んだ。見ると、そこには小さな花が咲いていた。美空がベンチから覗き込んで言う。
「花? 花が好きなの?」
彩芽は美空を振り返って静かに頷いた。美空はため息をついた。
「そんな優しさを持っているようでは、この世界の美しき破滅は……」
ポロッと恥ずかしい言葉を言った美空は、慌てて言い直した。
「あっ、いや、私達の目的の達成は遠くなってしまうように思うけれど」
彩芽は再び振り返った。なんだか自身あり気な表情だ。
「大丈夫です。私、全然優しくなんかありません。優しくもなんともない。感情が薄いと言うか、存在そのものがないのと同じですから」
美空は呆れたように言った。
「それは悲しい言葉ね」
彩芽はの表情は変わることはない。
「悲しくなんてありません。実際、そうですし。私、『目に見える透明人間』って言われているんです」
「『目に見える透明人間』? 矛盾しているわ。いや、矛盾しているからこそ、この世界に私たちは存在し、そして、その矛盾に苦しむからこそ、今ここに集まった訳なんだろう。なるほど彩芽がここにいる存在理由に納得がいく」
アイカは小さく口を開けたまま聞いていた。
「何? 何言っているの?」
美空は一人で納得すると、謝った。
「ごめん。正直に言うと、彩芽を甘く見ていた。彩芽となら今のこの世界の破滅に、あっ、いや、私達の目的を達成する事が出来る気がする」
美空は微笑んで手を差し出すと、彩芽は気恥ずかしそうに戸惑いながら、その手を軽く握った。
「あ、ありがとう、ございます」




