小花
彩芽もアイカとは別のネットカフェを出た後、ちょっとした花の広場を見つけ、つい寄り道をしてしまった。しばらく散策すると、困った事に気が付いた。
「(あれ?)」
彩芽はあたりをキョロキョロし始めた。
「(迷ったのかな?)」
外出する習慣の無かった彩芽は道に迷ってしまった。彩芽が困っていると、小柄な女の子が近づいてきた。水色のショートヘアーが揺れる元気そうな子だ。笑顔で話しかけてくる。
「どしたの? お姉ちゃん。困ってるの?」
「えっ!」
彩芽はいきなり声を掛けられて驚いた。身構えた態勢で少女をじっとみた後、黙ってまた歩き始めた。少女は更に話しかけてくる。
「あっ、待って。大丈夫?」
彩芽は淡々と返した。
「何でもないから」
彩芽は少女を避けて歩く。しかし、どこへ向かえばいいのか分からない。少女は指をさして語った。
「きっと、こっちだよ」
彩芽は立ち止まると、ムッとした表情を少女に向けた。
「何が『こっち』なの?」
少女は屈託のない表情で答えた。
「お姉ちゃんのお家だよ」
彩芽は感情をあまり表には出さない。むしろ出せない。それでも彩芽なりの怒り口調だった。
「どうしてそんな事が分かるの?」
少女はハッ、として慌てた様子で言った。
「えっと、それはその、何となく、だよ」
ごまかし加減に言った少女を彩芽は不機嫌そうに見つめた。少女は間が悪そうに目をそらした。演技が下手だった。
「ご、ごめんなさい!」
素直に謝って少女は走り去って行った。彩芽はその姿を見送ると、少し肩の力が抜けた。
「(何、あの子? でも確かに……)」
彩芽は少女の指さした方向を見た。
「(何となくこっちのような気がする)」
彩芽は少女の言った方向へと歩き始めた。しばらく行くと見慣れた建物があり、彩芽は安心した。




