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デスゲーム生還者が異世界勇者に召喚だってさ

 アクセル・オンライン事件。今世紀最大の事件とされており、死亡者は9万人以上であり、この事件の首謀者であるゲーム開発者は今も捕まっていない。

 この程度の内容ならば、ニュースに連日取り上げられており、ほとんどの人が知っているだろう。


 しかし、事件の詳細や、生存者の人数などは一切知られていない。

 これは生存者を守るための対策だと、政府の人はいっていた。


 学生が夏休みに入るタイミングに合わせて、アクセル・オンラインはオープンβテストを行い、テスト開始後にログアウト不可の監獄とかした。

 


 オープンβということは、参加しようと思えばだれでも参加が可能であり、僕と同じ高校に通っている人も参加していたらしい。



「今回、アクセル・オンライン事件に巻き込まれ亡くなった、飯田君、佐藤君、三越さん、八木さんの四人に謹んで哀悼の意を表し黙とうをささげたいと思います」


 二学期の始業式を体育館で終えて教室に戻った後、クラスの担任がそう言い、全員起立して目を瞑って黙とうを行った。


 そして目を開いたら、西洋風の城の広間と思える場所に僕たちはいた。

 足元の床や、壁など石で隙間なく作られており、窓はなく閉鎖された空間だ。

 明かりは壁に掛けられたランプのみ。


 こんな閉鎖された場所でランプをつけていて大丈夫なんだろうか。

 


「な、なんなんだ・・・?」


 唯一の出入り口は正面に見える大きな金属製の扉のみ。


 その向こう側から複数の足音が向かってきていた。


 学校で隣の席だった、ユナに目で合図を出し周りに気づかれないように移動する。

 広間には人一人を十分に隠せるほどの大きさがある柱がいくつもあり、出入り口から遠い場所の柱に僕とユナは身を隠した。


「もうあれ以上驚くことはないと思っていたのだけれど。この状況ってアレよね?」

「そうっぽい雰囲気だよね。何より現実リアルに一瞬で違う場所に移動とかはまだ不可能だし」


 お互いにしか聞こえない程の大きさで話す。

 この状況はゲームと同じくらい僕が好きだったネット小説で定番ともいえる展開に似ていた。

 僕の趣味に影響され、ネット小説を読んだことがあるユナもそのことに気が付いたらしい。

 

「それで、こうして隠れるってことはそっちでいくのね。ネット小説が好きなはるかは定番の流れで行きたがると思ったんだけど」

「まぁそれでもいいんだけどね、っと来たみたいだね」


 この空間の唯一の出入り口である金属製の扉が勢い良く開かれた。

 入ってきたのは全部で五人。四人は全員同じ装備を身に着けており、腰に下げている剣や鎧に施された装飾から高級感を感じさせる。

 残る一人は僕達と同年代であろう少女。着ている衣装は現代ではお目にかかれないが、ゲームなどではよく目にするような白を基調としたローブ。ローブに何の装飾が施されていないはずがなく、金の装飾がかなり施されている。他の四人もこの少女を守るように位置取っていることから彼女の立場がかなり上であることが予測できる。



「勇者の皆さま、ようこそリーリア王国へ。此度の召喚に応じていただき王に代わって感謝いたします。詳しい事情説明を行いたいのですが、ここではゆっくりすることもできませんのでリーリアの城へと来ていただけませんか? 謝罪と感謝の気持ちを込めて精一杯のもてなしを約束いたします」


「あ、あぁ。確かに事情の説明は聞かないといけないしな……。よし、お前ら、この状況をどうにかするためにも、まずは何が起きたのか知らないといけない。てことで城にいくぞ」

「せ、先生。ついていっても大丈夫なんですか? その話が嘘だったら……」

 いつもよりも若干テンションが高い気がする担任に、クラスメイトの女子が質問したが、答えたのは白のローブを身にまとった少女だった。

 

「一切危害を加えないことを誓います。それにここに残る方が危険かと思います。この辺りは生息する魔物がかなり強いため殆ど人が立ち入らない場所なのです。私共は王家専用の転移装置で移動できますが、ここに残る場合は――」


「せ、先生! 私はついていくのに賛成です!!」


 白のローブに身を包んだ少女の脅しともいえる言葉にクラスメイトの女子はついていくことにしたようだ。


「強制はしませんが、助けられる命は助けたいのです。なので皆さんついてきていただけませんか?」


 その言葉に反対するものは出てこなかったため、白のローブに身を包んだ少女はついてきてくださいと告げて歩き出す。

 それに続くようにクラスメイト等はこの広間から出ていった。


「さて、僕達は隠れている人に事情を聞こうか」


「ふふっ、やっぱり気が付いていたんだね。身体的な能力で言えばあの集団の中でも最低だったのに、一番強いってどういった事情があるのか気になるな~」


「単純に経験の差かしら」


 どこからともなく声が聞こえ、その声にユナが答える。

 僕とユナはとある事件の所為でいろいろと経験しているからね。

 

「へえ、今までの宝の持ち腐れだった異世界人とは違うみたいだね。気に入ったよ」


 僕達が隠れていた柱とは違う柱の陰から一人の少女が姿を現した。


「ボクの名はエルリディア。敗北を知りたい盛りの女の子だよ」


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