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ダークな感じさそれでいい  作者: 濱上翼
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第4話、ワーテルローの戦い

夥しい数の機械兵がマリンフィルから南のワーテルローと呼ばれる野原に集結する。

それを眼下に収めるマリンフィル城主ヨハネは小高い丘から武装した黒剣士を連れ迎え撃つ。

その数は残念ながら千名にも及ばす敵は数万の大軍であった。

機械兵は真っ黒な煤を吐き出し両手に剣と盾を装備している。

大きな鉄の体に心臓部は赤い光が脈動する。開かれた黄色い眼は殺戮に飢えていた。

いつ始まるのだろうか両者待ち切れずワーテルローにて開戦する。

その一方を聞いたのは翌朝であった。ディアバール共和国王都ディアバールは騒然とした。

それを受けた9人の王は民衆を安心させるため即会議開かれる。

ディアバール共和国に名を連ねる顔ぶれが数人集まり多数決で決断を下す。

狼王ダーク:敵は大軍だこちらに断然不利な戦いとなろう。

これ以上同士の血を流さぬため決を取る。

明朝見えない軍団、殺戮生物兵器SUを指導させる。このSUと呼ばれる物は皆の知っての通り我が国の国産物を食べ暮らす黒剣士や農民などには全く効果を表さない。

マスター教会会長獅子王イレイザ:狼王よ実証実験は確実なのだろうな。もし見えない軍団SUを解き放ち人が住めない地を築くことになれば国家は相当の痛みを味わう。

その時我らは確実に失う者も多い。

狼王ダーク:それではどうしろというのだ。我らが死に絶えてもいいのか北の王イレイザよ。

南の事は全て俺に任せるとあの時約束したではないか。

聖戦の時の話だよく思い出せ。

イレイザ:懐かしい話だ。お前が紅王リュークを殺し誰もが崇めると思ったのか。

あの時俺の言葉が無ければただ横から出てきて手柄をかすめ取った卑しい狼人と皆は思っているだろう。

過去の功績は今のところどうでもいい今は国家の危機だ。いずれ北方領土も危うくなる。

国を二分し一つに統治している我だが南の友が助けを求めるのであれば軍隊を動かす準備はいつでもしよう。

狼王ダーク:そんな余裕はない南の絶対防衛を誇っていた虎狼関が屍の王によって痛手を負い

今も交戦中だ。兵の数が足りん補うには我が国が独自開発した見えない軍団、殺戮生物兵器SUを使うお前に借りなどつくれるか。

その隙にもブルガリアの胸壁からはロマリア帝国軍がウェスタンフォードを落としマリンフィルに迫る勢いである。見えない軍団を今使わずに何時使うと言うのだ。

それに意義を唱える男クロス・バン城主クラリスが言う。

クラリス:見えない軍団殺戮生物兵器SUを使用してもし作物や人に影響があるとすれば使用を控えるべきです。

実証実験をして人体に影響が無いという確実な証拠がない限り七都市同盟の名の下にSUの使用を禁止します。

狼王ダーク:七都市同盟だと笑わせるな俺は王だぞ。全ての決定権は俺にある。と液晶を叩き言う。

イレイザ:王の権限は尊重したいが残念ながらこの国には王と名乗る者が9人いる事をお忘れなく。

狼王ダーク:くそならどうしろというのだ獅子王イレイザよ。このまま敵に侵されて行くのを待つのか。

クラリス:我らの王、雷王クロスバン様とウッドの精王フレイ様が軍を動かす手配をしましょう。

狼王ダーク:精王フレイだと笑わせるな。少人数の役にも立たたない。か弱い王に何ができる。

敵は動く鉄の塊なんだぞ。森の木が森の精が助けてくれるとでもいうのか。

血に染まった事のない小奇麗な部隊じゃ何の役ができるのか。

精王フレイ:口を慎め卑しき人狼よ。

狼王ダーク:おぉ聞いていましたかフレイ王よ。敵が攻めてきて亡き母に泣きながら縋っていたと思ってましたぞくははは。

精王フレイ:母フローラを侮辱する気か許さん。とモニター越しから殺気を送る。

狼王ダーク:おぉ怖いしかし南の地の全ての権限は我にあることをお忘れなくフレイ王。

クラリス:お二人とも静かに今は共に力を合わせる時喧嘩は敵が過ぎ去った時にどうぞ。

ここで確認することはSUの使用は保留ということでいいですね。

精王フレイ:当然だこの素晴らしく綺麗な地を人狼ダークの面みたいに汚したくないからな。

言い忘れていた私が到着するまでその汚い面の原型は留めておけよ。

間抜けにも敵に首を晒すような事のないようになふははは。

狼王ダーク:クソ餓鬼が!!!

同時刻ウッドの森天然要塞ユークラドシルにて

精王フレイ:よく聞け皆の者侵略者達が我らの平穏を奪おうとしている。

皆の兄弟が北で多くの血を流している。

そんな横暴は許されないだろう。あの日偉大な母フローラは支配と暴力と戦いこの地に平穏をもたらした。

皆が無情な暴力で悲しむことは許されない。力ある者は侵略者を倒すため武器を持ち我に続け。

目指すはワーテルロー、仲間を助けに行くのだぁー一同立ち上がれ!!!。

小人の子供:お母さんまた争いが始まるの

小人の母:そうよ仲間達のため皆は戦うのよ何も怖くないのよ。だって正義のために戦うからよ。

それを聞いた猫族の戦士:そうだぜ坊や俺達は勇敢な猫の戦士だ。人間の5倍は働く。

悪い奴をこの槍で殺してやる。平和を奪う奴には誰かが鉄槌を下さねばならんのだ。

小人の子供:凄いや皆強いんだね。と八重歯を見せ笑う。

その笑顔に見送られ数千の船でナパームの激流を北上し仲間が待つワーテルローに向かう。

その数総勢五千であった。

同時刻クロス・バンからはダークネスという男が連れる鍛え抜かれた部隊黒い狩人らがワーテルローに向かい出撃した。

その頃ロマリア帝国機械兵団の恐ろしさがワーテルローで戦う黒剣士らの脳裏を覆う。

黒剣士:何だあの兵団は俺らの持つ剣や光矢が全然通用しない。

ガードナーでも動きを止めるのがやっとだ。

刃が通らない体とは例えるなら北方の国ビックモアにいる鋼の僧侶の肌のようだ。

だがこちらにはこの国に数少ない剣聖の称号を持ち現女王の宝石のアリス様がいる。

黒剣士:別名ジュエリークイーンか!!

黒剣士:そら見ろ来たぜ。

その声と同時にロマリア帝国兵は横一列に整列し身構える。

盾を前に出し手に持つ剣を地面に深々と射す。その合間から銃剣隊が一斉に宝石の女王アリスに向かい発砲を繰り返す。

アリスはその銃弾をダイアコーティングされた絹のような物で弾き返した。

ダイアコーティングを纏った騎馬兵数百で一気に機械兵団と衝突し横一列に並ぶロマリア帝国機械兵を吹き飛ばし進む。

それを見た仲間は声をあげ後に続き敵陣中央を突破した。苦戦を強いられていたアリスの叔父ヨハネは言う。

ヨハネ:さすがは姪だワシが苦戦を強いられている時には必ず現れてくれる。と胸をなで下ろす。

宝石の女王アリス:怪我人を早く後ろに下げろここは私達クリスタルベル隊が請け負う。

レッドロー:小癪な小娘がお前の首俺が頂くと炎を纏い現れる。

宝石の女王アリス:ロマリアの紅十字軍大将と見受ける。いいだろう一騎打ちでこの勝敗決しようぞ。と剣を高らかと上げ駆けだした。

レッドローは炎を腕に蛇が這うように纏う火車という技を見せ飛び上がり馬の眉間に拳を叩きこんだ。

しかし馬本来の筋肉とダイアコーティングされた強度に驚きレッドローは後ずさる。

宝石の女王アリス:何だ貴様の力もそんなものか。機械仕掛けのおもちゃで征服できると思っているのだからお笑い草だ。

レッドロー:そうでもないさと怪しく笑う。

その不気味な笑いの後ろでレッドローは機械兵団を操り頭上から剣と斧を振り下ろす。

それに驚いたアリスは落馬しそこにレッドローの攻撃がさく裂した。

吹き飛び愛剣クリスタルガイザーを放したアリスは能力のないただの女武人となった。

宝石の女王アリス:油断してしまった。

それを見た後に続くクリスタルベル隊メンバーはアリスに駆け寄り傷ついたアリスを後方に下げてマリンフィルまで退避した。

卑怯な一騎打ちに勝利したロマリア帝国軍は敗走する黒剣士らを笑った。

レッドロー:汚いも卑怯もないこれが戦だ。

マリンフィルに敗走した黒剣士らはアリスの力でダイアの柱を立て全ての門を塞ぎ援軍が来るまで籠城することを決断した。

アリスは空爆機を恐れマリンフィルを覆うほどのドーム型の防壁作ると疲れた様子で寝室に入った。

空爆が続く夜を迎えるダイアの強度を誇るオーブに守られたマリンフィルに風穴を開けることは困難であった。

次第にロマリア帝国軍にも焦りが見え始める。

そんな中シャロー将軍は冷静に判断を下す。地上部隊に連携をとらせマリンフィルを包囲する。

シャロー将軍:ダイアのオーブで守られた街を落とすのは難しいが時間をかけ確実に兵糧攻めにする。

マリンフィルの物資輸送隊を見つけたのならば直ぐに排除せよ。

マリンフィルを餓死者の群れで埋め尽くすぞ。

もうすでに食糧物資が絶たれ1ヵ月が過ぎていた。

虎狼関防衛に黒剣士をほぼ導入していたため数少ない援軍はロマリア帝国軍の多さに意気消沈していた。

そのことに決断を迫られた宝石の女王アリスは自分の命と引き換えにダイアンオクトパスと呼ばれる兵器に意識を合わせ同調させることを決断した。それは事実上彼女に突き付けられた死でもあった。

宝石の女王アリスは豪華な宝石でちりばめられた冷たいクリスタルの棺に身を任せ眠るように息を引き取った。

それと同時にマリンフィルを覆っていたダイアのオーブを突き抜け数千本の触手が頭上から焼夷弾を浴びせる飛行機を破壊した。

そして周りを取り囲む機械兵団を一回のなぎ払いでバラバラに破壊する。

それを見て驚いたロマリア帝国軍兵士は一斉に退却した。

それを追うように黒剣士らは誓いの剣を抜き敗走するロマリア帝国兵を追尾する。

ダークネス:もう追うことはない我々の勝ちだ。

その声に同調し辺りにいた黒剣士が勝どきをあげた。

その頃虎狼関では第三回目の激闘が幕をあげた。

夜更ける頃、大地を覆い隠すほどの巨体を揺らし大鬼と呼ばれる種族が突如濃霧の中現れた。

地鳴りのような呻き声を上げると怪力で虎狼関の城壁を吹き飛ばした。

その隙間からあっという間に泥兵がなだれ込み半日も経たないで虎狼関は陥落して行く。

私ラスティーユは眠気が抜けぬまま剣を握るが虎狼関内は既に混乱していた。

慌てる仲間を諌めロウハンは仲間を連れ崩れ落ちる虎狼関から退避した。

ロウハン:皆落ち着いて対処しろ。

ガウディ:伝令兵が数人瓦礫に飲まれた。誰か手を貸してくれ

リリア:ここはだめだ。逃げるぞガウディ行くぞ。

その時だ窓を突き破り大鬼の手が数名の仲間を握り潰した。

リリアとガウディは手を引きながら崩れ落ちる階段を下へ降りていく。

その後ろでラスティーユとレドは必死に走りルシルダは手すりを氷漬けにし足で滑って加速し下っていく。

先に逃げていたバレルとファーゼルが皆を手引きする。

ファーゼル:こっちです皆さん

その時だ天井が崩れ落ちてきた咄嗟に覆面を脱いだコルセットが爆撃でそれを破壊した。

コルセット:大丈夫か皆ウッドの森に逃げろ私は虎狼関に残った者を救助してから向かう。

皆死ぬなよ。

レド:はっはいー行くぞ皆ぁーと慌てて皆よりいち早くウッドの森に駆け出す。

その後泥から生まれた泥兵や屍兵らが虎狼関を陥落させマリンフィルに進軍した知らせを伝令隊長ガウディが語る。

ガウディ:くそぉーだめだ虎狼関は全滅だ。他の奴らもどうにか逃げてたらいいが連絡はない。

リリア:まさか大鬼というカードを使ってくるとは

ルシルダ:卑怯といいたいけど夜襲は極めて良い策と言えるわ。

その戦いに生き残ったラスティーユら小部隊は雑談を交えウッドの森に退避していた。

ラスティーユ:くそぉーあんな非常識な大鬼なんてあり得るかよ。

レドはガタガタ震えいう。

レド:逃げて正解だ。あんな化け物とどうやって戦えというんだよ。

ファーゼル:1000人以上いた仲間が100名いるかいないかなんて。

ロウハン:落ち着けウッドの森には鬼除けの木がある。ここまでは追っては来れないだろう。

我々のこれからの進路だが王都ディアバールまで行く。

コルセット:遅れました。それより黒い絆の情報ではマリンフィルにてロマリア帝国軍を撃破したらという。

ラスティーユ:それは凄い

ルシルダ:この状況で浮かれないで。

ロウハン:そうか王都まで行けば何とかなるだろう。だが問題は森の番人らの許可なく侵入してしまったことだ。

このウッドの森にはかつて紅眷族らが失敗作で生み出した得体も知れない輩がいるという。

何とか精王フレイ様に会えればいいのだが。

その時だコルセットの頬を掠め矢が飛んできた。

見上げると山賊のような風貌の男剣士が言う。

狂獅子ブラッドロア:そこで止まれ俺たちはここいらを縄張りにしている赤風特攻隊だ。

ラスティーユ:山賊か相手になってやろうか。と腕まくりし興奮する。

その声に黒い羽で覆われた服を着るクロウディアがいう。

クロウディア:身なりから脱走兵のようだ金品は持ってなさそう。

ブラッドロア:確かにみすぼらしいやつばかりだ。だがやつ等が共通して持ってる剣を見てみろ。

血のように赤い剣あれは黒剣士の誓いの剣だ。

クロウディア:へぇーこいつらが黒剣士か、貧しい者から多額の金や食料をぶんどって生活するカラスのようなやつらと聞いていたが。

ロウハン:我々は値打ちするような物は持っていない。静かに通してくれるならありがたい。

ブラッドロア:じゃかしい黙っていろ。

クロウディア:行くぞこんな奴らに構っている暇はない。

ロウハン:ありがとう。

謎の部隊赤風特攻隊と名乗る者に会い何事も無かった。

その後霧深まり森の番人に会うこともなく気づけば我ら小隊は無事に王都ディアバールへ帰還した。

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