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ダークな感じさそれでいい  作者: 濱上翼
33/39

第31話、花の都に寄り添う二人

レスポワール行きの奴隷女を積んだ船を見送る狂彗の元に夜桜隊の密偵が忍び寄る。

狂彗はそれを横目に刀を抜き密偵と霧立ち込める船着き場で刃が飛び交う。

狂彗:いきなり仕掛けてきやがるのか!!。

密偵黒剣士:そうさ狗龍会残り八つの頭の一人死に花の狂彗お前を葬れば話は終わる。

狂彗:お前只者ではないようだ黒い籠手に傷がある黒剣士か。名を名乗ってから始めようか?。

黒い籠手に傷がある女黒剣士は言う。

黒い籠手に傷がある女黒剣士:名前か名乗るならカリス=グローバン、夜桜先行隊所属の黒剣士だ。

カリス:さぁ始めようかと誓いの剣ナックルブレードを握り言う。

二日前・・・・

謎の信号がカリスの黒い絆にかかる。

その声は冷たく透き通った声だった。謎の女からの助言がカリスの頭を支配する。

氷結のルシルダ:ラスティーユの弟子カリスか、お前にいい話をしてやろう。

カリス:なぜ私の通信番号を知っているのですか?。知り合いの番号じゃありませんよね?。

氷結のルシルダ:そんなことはいいから話を手短に言う。

マスター教会がお前のことを消そうとしている。近い間に刺客がお前達二人を確実に消すだろう。

剣聖の称号を持つお前だが多分消される。その前に断って夜桜舞の傘下に入り手柄を立てろ。

それがお前の生きる道へと繋がる。条件が揃えば私の方で刺客を足止めする。

それは約束しよう。

カリス:条件って何ですか?そもそも刺客って?

氷結のルシルダ:狗龍会の花の都支部総帥の死に花の狂彗を手にかけろ。それが絶対条件だ。

狂彗の命を葬る代わりにお前を襲う刺客二人をこちらが引き受ける。

三爪の龍を生かすも殺すもお前の仕事ぶり次第だ。以上指令を送る。と黒い絆の通信が切れる。

カリスは黒い絆の淡い光が切れると一瞬顔がこわばり上の空になる。

カリス:刺客?私はマスター教会から消されるのか・・・。

アクロス:カリス姉さん怖い顔してどうしたの?

カリス:あぁ何でもない大丈夫だ。

アクロスは不思議そうにカリスの顔を覗き込むがカリスの顔からは血の気が無いように思えた。

銀色の髪に少し青みがかったカリスの髪色が変貌するとカリスの目つきが変わる。

カリス:私達にマスター教会が刺客を放ったらしい。私達の残された選択はもうこれしかないだろう。

アクロス:なに?マスター教会が刺客を俺達に放った。上等だよマスター教会!!!やってやろうじゃねぇか。

カリス:声が大きいぞアクロス。とそっとアクロスの唇にカリスが一本指を立て声を遮る。

多分予想するが相当な手慣れだ。と考えながらアクロスの前を行ったり来たりし考える。

アクロス:サファイアさんクラスの黒剣士かぁー勝てる見込みはないな。とじっとカリスの行動を眼で追い言う。

俺達の旅もここで終わりか・・・。師匠を恨んでも死にきれない。

もっと自由に生きたかったなぁー。

カリス:諦めを言うのはまだだ。一度夜桜隊に身売りをしよう。仕事をこなせばマスター教会も私達の価値を認めてくれるだろう。

アクロス:カリス姉さんは仲間を集めるんじゃなかったのか?三爪の龍はどうするつもりだよ。

カリス姉さん師匠を助け出すんじゃなかったのか俺達はこんなことで時間をまた無駄にするのか?。俺は命乞いなんかきっぱりごめんだ。

カリス:勝てるか相手を見て判断しよと思うがな、死んでは夢は果たせないだろ。

アクロス:あんな酷い条件を突き付けてきたマスター教会の連中に王の威厳を見せる日は遠いいのか。

俺達は何故こんなにも不利益を被るんだろう。頭が悪いからか?。

カリス:消される殺されるはともかく後退はない前に進むしかない。

私も黒剣士だ自分の命を守る剣を持っている以上戦うしかないだろう。お前の覚悟を聞いているんだ。

アクロス:今更覚悟って・・・二人だけの問題じゃないだろ。

俺はただの寄せ集めの黒剣士集団で終わるつもりはないし楽な生活もしたい。死ぬなんて考えたこともなかった。

黒剣士になって色々見えてくる物もある。死とは隣り合わせ何だなって・・・・。

上の気に食わない奴は消されるのかと思うと戦うしかないのかなって思う。

だってそうだろ生きたいように生きれないんじゃなぁー。

出鱈目したのは師匠だし俺達が代償を払うと思うと何だか頭にくることもある。

カリス:だが仕方ない。私達が選んで弟子になったのだから文句は言えないだろ。

所詮どう生きればいいかなんて教えてくれる人なんていないんだ。流されるままじゃ嫌だなって思う。

アクロス:型に嵌って生きるのも嫌だよ。俺達を消しにくる黒剣士なんかに負けてたまるか。と奮起する。

二人の意見と決意が固まるころ八重の桜一門の本部事務所兼住宅密集地にて夜桜舞がある決断を下す。

夜桜舞:密偵集団、闇を放ってあの二人の内情及びマスター教会の周辺を調査依頼お願いします。

私としてはあの若い芽を摘むようなことはさせたくありません。

闇:カリス=グローバン、卓越稀な素材だ、アクロスの方は下民上がりの黒剣士二人を監視して思うのだが結束が固い。闇連盟としては彼らに仕事を任せて三爪の龍とは別れさせたい。

まぁ要するに吸収合併という形になるな。そこまでしても失いたくない人材でもある。

一弦将軍:マスター教会がまさかX剣士を送りつけてくるとはな。骨が折れそうだ。

夜桜舞:幼い黒剣士に重荷は背負わせたくありません。

綿菊:でもどうするマスター教会に私達が睨まれたら・・・。

一方ユー大陸各地では髑髏査察団のアスラ率いる精鋭部隊が国境を封鎖し取り締まりを強化させていた。

アスラ:手荷物検査をしてあげて怪しい奴から資金を調達して逆らう旅人は殺してもいいよ。

だって私はローザ女王の孫なんだから。何でも好き勝手に夢は叶えられる。

ダークおじ様が亡くなった今基盤を固めて一大組織髑髏査察団を結成した。

私に逆らう者はない。人喰い連中も私の傘下に収める。

執事:アスラお嬢様・・・今日は人喰らいが造る樽一杯の血のワインの生産工場を視察します。

アスラ:そう分かったは

執事:それから不穏なお動きがあります。夜桜隊と狗龍会が小競り合いをしているそうです。

そして問題を引き起こした張本人の名前はごほごほ。

アスラ:あぁカリス=グローバンね真っ直ぐな眼をしている生かすかない奴だよ。

あいつがまた問題になってくるのよねどうしましょ?。と首を掲げ鋭く尖った手を首元に置きじっと行き交う人ごみに眼をやり考える。私からの心情、懐かない犬は絞殺すのがいい。マスター教会も刺客を送るなんて贅沢して。と淀んだ丸い瞳で手下の顔を眺めため息をついた。

アスラは人差し指を前に出し言う。その話より国家の一大事新たな王を立てる話は進んでいるの?。と疑問の声を手下に投げかける。

王がどこを探してもいないのよね。と手下から眼をそらし地面辺りを見て言う。

執事:この世界は混沌しています。王になり替わる素材は集まりつつある。

新たな王は戦いの中から血の泉から沸き上がった者を王とする。

これが王伝来でございます。と分厚いルールブックを閉じ言う。

アスラ:血の上に立つ王か・・・そんな人今の時代にいないな。

そうねロマリア帝国との交渉もそろそろ始めましょう。王不在の中での話し合いどきどきしてきた。

四魂会の連中の意見も聞きましょう。と黒い自家用車に駆け寄り乗り込む。

執事が運転座席に座るとアスラは後部座席に乗り涼しい風を纏う。

足元の誇りをハンカチで払い車を発進させるように執事に命令する。

アスラの目線は髑髏査察団の手下が振り翳し鉄の棒で殴られ悲鳴を上げる市民をジッと運転席のミラー越しでありそれを見つめクスッと笑った。

気分を良くしたアスラは黒い絆で仲間内に電話をかける。

その頃カリスとアクロスを罪人として追う忘却剣士アシュレーと眠り姫ディアの目の前にルシルダが雇った黒剣士3億ルークの賞金首サファイア=マルシアの姿を捉えた。

サファイアは王護衛の印である青い色をした誓いの剣を携え二人の前に立つ。

それを見たアシュレーは言う。

忘却剣士アシュレー:元王護衛の黒剣士サファイアか今は何者にも雇われる暗殺者気取りですか。と鼻で笑う。

眠り姫ディア:3億ルークの賞金頂きますと赤い誓いの剣を抜き構え先駆けに斬りつける。

サファイアは冷気を纏った拳でそれを払いのけ片手に握った青い誓いの剣でディアの体を横に薙ぎ払った。

サファイア:脅しは聞かないようだね。と赤い眼が語る。

忘却剣士アシュレー:こちらは一対二ですよお忘れなく。

眠り姫ディア:いてぇ斬撃くらっちた。でも脳に痺れる一撃でした脳を眠らせて痛み軽減しました。

サファイア:さすがに手慣れだね斬撃と同時に放ったアイスキューブを全て破壊するとは。

中々見どころがある子だ。お前死ぬ前に名前くらい名乗れ。と頬に受けた傷を触り言う。

通りがかりの村人が今の二人の攻防を見て驚き解説する。

通りがかりの村人:あんな短時間でシャボン玉と冷たそうな四角い何かが同時に破裂したのが見えた。

シャボン玉を放った子供の黒剣士が赤い眼で青い髪の女黒剣士の頬でシャボン玉が弾けるのを見た。

その後その女黒剣士は冷たい斬撃をあの子に与えて吹っ飛ばしたように見える。

一瞬の出来事でおらには何が起こったか説明のしようがない。

眼のよく見えるおらだから捕えられたが凄い攻防だった。

忘却剣士アシュレー:さすがにすんなりとは通してもらえませんか。

サファイア:お前らを足止めし手負いにするのが契約内用だすまないが少し遊んでもらおうと片耳の髪の毛を耳の後ろにかけ横向きに身構え剣を軽く構えた。

忘却剣士アシュレー:ディア援護射撃を頼む。

眠り姫ディア:はいよ

その掛け声と共にアシュレーは誓いの剣ルークスナイパーを抜き出し眠り姫ディアは誓いの剣クールスリーパーを抜いた。

アシュレーは無言で空中で回転剣を使いカマイタチのような飛剣を飛ばす。

頭上でアシュレーが舞う頃地上では無数の七色に輝くシャボン玉が風に向かい漂う。

サファイアはそれを見ると大地を凍らせる居合斬りを見せると同時に頭上から放たれたアシュレーの剣を止めた。

サファイアとアシュレーは鍔迫り合いを始めサファイアが薙ぎ払うと駆け出してくる小柄な娘黒剣士ディアも攻防に参加する。

サファイアは冷徹の木槌というガードナー技を真上に放ち襲わせアシュレーの剣を空間凍結で足止めし援護射撃する眠り姫ディアの七色のシャボン玉を打ち消しながら進む。

地上で三つ巴の状況かサファイアは二人の剣を凍らせ後ろに下がる。

それを見た村人は荷馬車の後ろに隠れその戦いの行方を伺う。

サファイア:あぁーうざいコンビネーションだこと今の攻防で指が脱臼したよ全く。

手負いになったのは私だけじゃないのがよかったところだ。

忘却剣士アシュレーは嘔吐しながら悶える。

サファイアが空中に放った冷徹の木槌を交わしディアは足に鉛の重さを抱え剣を構える。

サファイア:はっさすがの私もこんな二人を押し付けられて迷惑だ。迷惑料上乗せしてもらうか。

そんじゃ私はずらかるよと斜面の畑を駆け下りながら言う。

眠り姫ディア:待て私の3億・・・と重たい左足を引きずり手を拱く。

忘却剣士アシュレー:あれが王護衛黒剣士の実力か心臓と胃袋が同時に揺れる斬撃を食らった。

肝が冷えたとはこのことかと落ちたサングラスを拾い言う。

眠り姫ディア:空中から木槌が降ってきていきなり剣を凍らせられて止められ反撃のチャンスすら与えて貰えなかったくそぉーならず者ぉーと土煙を起こすケリを地面に放つ。

気づけば頭に無数のたんこぶイライラする。と唇をかみしめ悔しがる。

その攻防から一時間後夜桜舞がカリスとアクロスに声をかける。

夜桜舞:カリス、アクロス貴方たちの身に危険が及ぶ可能性があります。

闇という隠密集団からの話は聞きました。貴方たちは何も悪くはありません。

マスター教会が刺客を放とうとも私達が貴方たちの盾になりましょう。

私達はこんな貴重で若い人材に重荷を背負わせるようなことはしたくはありません。

私達の手の中で自由に羽を伸ばせばいい。寄せ集めの仲間意識の低いそんな輩のために命を張る必要はない。最初に私達はマスター教会の五老聖のやり方に反発してできた組織です。

形は剣誓会に留まっていますが私達は数が集まればロウハンのように大きな組織を作りたいという志があります。誰かが貴方たちに危害を加えようとするなら私達が黙ってません。

苦しむ必要などないのですよ。重荷を背負うのは年上の私達で十分です。

その代わりに貴方たちはこれから私達の力になってください。

悲しい現実のこの世の中を一緒に変えていきましょう。

一弦:俺達が三爪の龍の頭目カリス、アクロスを引き受けよう。死ぬには惜しい人材だからだ。

王なんかに騙されるな俺達がお前の盾になってやる。

夜桜舞:カリスとアクロス、三爪の龍は諦めなさいだって語れる仲間は何人いましたか?出会って意気投合しましたか?貴方達の名前は知ってても貴方達の性格とか仲間がどんな人だったか細かく答えられる人は何人いましたか?それにその人達とどんな会話をしてどんな楽しい事を共にしてくれましたか。そんな輩は仲間や友ではないましてや仕事仲間でもないそんな人たちを取り巻きと言うんです。そんな人達と共に三爪の龍なんて名乗る必要もありません。

今から出会う人に求める事は何か考えてください。

師匠の為に損を引くことはない。新しい組織で活躍すればいい。

カリスとアクロスはその一言に喉を詰まらせた。

一弦将軍:そうだわし達と来い師匠を助ける算段もたててやるだが仕事を担ってもらうぞ。

カリスとアクロスは夜桜舞と一弦将軍の強い思いに体を痺れさせられ二人の胸を強く打った。

自然とカリスの眼から涙が零れていく。

せせりなくカリスにアクロスは胸を貸した。

夜桜舞の説得に応じカリスとアクロスは晴れて八重の桜一門に一時身を置くこととなった。

そして新たに命令が下される。死に花の狂彗との死闘である。

死に花の狂彗の稼ぎを全力で潰すことからカリスは始め密偵黒剣士として狂彗傘下の組織の一員として潜入する。カリスの肩書は始末屋という女の遺体を処理する役柄を得た。

狂彗が手掛ける事業は花の都で裕福に暮らす女性をターゲットとし浚うか、仕事を紹介し利益を得るかだ。利益として賭博場に女を流し女をギャンブル依存症にすることだ。

そしていい女は金を持つ人喰らいという連中に与え利益を得る。

そして売上金の一部を恵まれない下層の子供らに配り育て構成員として雇う。

そのサイクルが構築され5万の頭目死に花の狂彗と崇められている。

一度黒い戦闘服を脱いだカリスとアクロスは先に潜入していた上官の手引きを経てカリスとアクロスは死に花の狂彗が手掛ける経営が落ち悩むクラブの用心棒としてアクロスは雇われカリスは死体遺棄現場で毎日働いた。

毎日明け暮れることなく運ばれてくる女の死体にうんざりしながら遺体に特殊な薬品をかけ遺体を解体しミンチ機械に遺体を運んだ。白い手がミンチ機械に吸い込まれて刻まれるのを見ると助けてくれと拱いているように思える。肉片になった女の遺体を箱いっぱいに詰め込み真っ赤な肉汁が床一面に鮮やかに流れ排水溝に流れ落ちる。

ゴム手袋とゴムエプロンが真っ赤に染まる。

それを見るたび何だか無性に腹が立った。

血なまぐさい匂いが体に染み付く頃僅かな給料を手にし日夜狂彗の動向を探る。

狂彗の手掛ける組織には仲間内で会話は無く私としては話さないで楽な方だ。

下っ端の顔は覚えたが名前は疎かだ。まぁ直ぐに殺すから覚える必要もない。

何の関心も無くただ遺体を消し続ける仕事を担う。

カリス:可哀想に首だけが無いどんな事をされて死んだのだろう。

女としての意見だがこんな酷い状態の遺体は見た事がない。

助けてやれなかった事に悔やみながらも遺体を倉庫に運び消す作業をこなす。

あぁーあここにいる連中は無口な奴ばかり状態の良い死体は解体して豚の餌にしているようだ。

ここの街に並ぶ肉は絶対に口にしたくないな。と呟く。

ここの連中は仲間意識がないようだ与えられた仕事を着々とこなす工場員のようだ見れば皆肩に下級民の印が彫られている。

そんな日常を過ごしながらアクロスを思う。

一方アクロスは陽気に酒を提供する風俗のお姉さんと二階のベットで喋っていた。

アクロス:俺もう黒剣士止めようかな。と店の二階にあるベットで二人の女を抱え天井を見上げる。

アクロスはカリスの事をすっかり忘れた気分のようだ。黒い絆が淡く点滅し震えるのも無視して賑やかなネオン溢れる外を窓から見下ろす。

下の階には酔っ払い連中が騒ぎアクロスはその声を消すように音楽のボリュームを上げる。

快適空間にいるアクロスは両脇の女に言う。

アクロス:こんな面白い世界があるのか。黒剣士なんてただ戦闘教育を施された鉄仮面部隊だ。

女なんてくれるわけがない。こんな飲み食い自由な組織考えられない。

騒ぎが起これば人を殺してもいい。なんて自由なんだろう。

女:それよりさぁー私達二人を買ってくんない。あんたお金持ってる方だよね。とアクロスの股間をまさぐる。

アクロス:ふたりかぁーどっちも良い女だよな。それよりお前達どこから売られてきたの?。

女の過去を知るためアクロスは両脇の女の眼の中を覗く。

真っ黒に淀んだ眼の中に僅かな光を見つめ悲しい女の過去を見返す。

アクロス:小さな時に浚われたようだ。殆ど記憶も無いのか。下で働く女も何か記憶の一部を破損させられているようだ。

アクロスは上半身裸で頻繁にうるさく鳴る黒い絆を手首に嵌めカリスの声を聞いた。

カリス:潜入して一ヶ月弱が経過した。お前の方は楽しそうだなこっちは毎日豚の餌づくりだ。

女抱いて楽しそうだなとアクロスの眼の中にガードナーを流し込みアクロスの動向を見渡し言う。

アクロス、女でも与えられて気を違えるなよ。と一括する。

アクロス:へいへいカリス姉さんは真面目ですからね。でそっちはどうなんですか。

カリス:あぁ顔姿を変えて男装しているから女とはばれてない今度人浚いの仕事を行うらしい。

アクロス:そうですかここの女全員何だか様子がおかしいです。

眼の中を覗き込むと何者かに操られているようです。日夜女を観察していると分かるのですが心を破損しているようです。女連中は金を運ぶよう何者かに仕向けられているようです。

狂彗の事を聞くと機嫌が悪くなり暴力的になる事は分かっています。

何とかして助けてやりたいですが強力な暗示をかけられているようです。

僕達が学んだどれとも違うような技術のようです。

カリス:暗示かぁー私もここの連中を見ると誰も会話一つしないまるで人形のように働いている。

気持ち悪くて吐き気がする。

連中と食事している時が苦痛でたまの休みに合わないか。

アクロス:カリス姉さん会うと言っても僕のいる場所は・・・

カリス:一番街に来い明日の夜に上官も同行する。お前だけ楽しい思いをしてるのも癪に障る。

アクロス一つ忠告するがその両脇に抱えた女大事にし過ぎるなよ。

女は都合の良い生き物だからな。と笑い言う。

アクロスは赤くなりながら衣服を着て言う。

アクロス:遠く離れてどこまで監視してるのやらと空中に浮遊する小さな蛇を手で払い言う。

泡煙を上げながら小さな蛇を眼から引っ張り出すと落ち着きを取り戻しアクロスは深呼吸した。

翌日の朝、花の都に灰色の花が咲く頃カリスは人ごみで溢れる市場の路上で人浚いの経験をする。

毎日街灯に立って行き交う人を観察する。

花の都の中央塔を見上げ湿った階段で腰を下しただ観光客を見渡す。

カリスの眼には白い帽子を被る15歳くらいの少女が父親に手を引かれ家族ずれで観光を楽しんでいた。下民街には綿毛のような生物兵器が舞う中に中央街は人ごみに溢れている。

こんな落差の中私は背中に組織から渡された銃を背負い片手にはナイフを持ち歩きその家族に声をかける。

後方には二人の男が黒い車を用意して下っ端のカリスをニヤニヤと笑いながら腕を組んで待ち構える。

私は考えるへその下にある宝石でグルグル舞うガードナーを出せば人浚いなど軽くできるが三人同時をガードナー無しで戦う事は初めてましてや人浚いの経験などない。

仲良く買い物を楽しむ少女を拉致して運ぶそんな役目は負いたくない。とナイフを手で転がせ迷う。

人ごみの中遠ざかっていく家族の後をつけ狙いいつやろうか考え尾行する。

その家族がレストラン街に向かうと路地の壁際に背を預け家族を伺う。

指先に青白いガードナーを通わせ糸状にして白い帽子の少女の両肩に差し込み少女の体を思いっきり引き寄せ龍糸鉄線と言う技を試みた。

ギザギザの返しがある糸状のガードナーが少女の両肩を射抜く。

父親の手から白い帽子の少女が一瞬で放れるとカリスは人ごみの中を凄い早さで駆け抜け少女を強奪した。

父親の眼にはどう映ったか分からないが少女の口元を路地裏で塞ぎ父親と母親が騒ぎ駆け寄る前に少女を用意された車へと押し込めた。

カリスは少女を拉致に成功し人ごみをかき分けて追いかけてくる父親と母親と対面する。

カリスは悪びれることなく手の中でナイフを転がし口論になる前に暴力でかたずける。

殺しも自由な世の中その父親は剣を構え堂々としている。母親は銃を構えた。

しかし私は黒剣士だそんな事に脅えは見せない。片手に纏う龍糸鉄線で武器を絡め捕りもう一方の手で二人の首筋狙う。ナイフと繋げたガードナーで鞭のようにしならせ二人同時に首元を掻っ切った。

倒れて口から血を噴き出す二人を見下ろし唖然とする市民ら旅行客を振り分け逃げ出す。

騒ぎを聞きつけた警備兵の汽笛信号を耳にして嫌な思いの中橋の下まで逃げ延びる。

そこでため息を吐き行き交う船を眺めながら組織の事務所を徒歩で目指す。

こんな不快な仕事は初めてだっただが手が震える事も無かった。

殺すことに楽しさを見いだせないまま歩き高級ホテル街を見上げる。

富裕層の雑談が耳を楽しくさせる。私も気軽に楽しそうな暮らしを味わいたいと思いながら羨ましく思い富裕層の貴族を眺める。

あんな暮らし出来たらなと念頭に考えながら古ぼけた事務所の階段を上がる。

カリス:ほっと一息仕事は終わりました。

そこの事務所を支配する男ドルトンに一礼しカリスはグダグタになったボロのソファーに体を預けた。

メガネをかけた事務処理の男アーマインドがカリスを見下ろし言う。

アーマインド:おい新人次の仕事が待っているぞ休まず働け。今日中に後三件仕事を終わらせろ。資料はここにあるからなとカリスの顔に投げつける。

カリスはその行動に一瞬殺意の眼で見返し眼を一瞬だけ赤く染めた。

怒りを収めソファーから身を起こし汚れ曇った窓に眼をやる。

日暮れ時照り返す直射日光がカリスの顔を指す。

古ぼけたビルと高級ホテルの貧富の差を露わすこの一番街で私はいつまでここに居なくてはいけないのか疑問を自分に投げかける。


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