第28話、新たな答え
第三王都花の都ダズリーペシャワールのラベンダー畑を横切りその小川で眼を閉じる見覚えのある女黒剣士3億ルークの賞金首サファイア=マルシアの姿を見下ろした。
私が黒剣士駆け出しの頃その強さに怯えて倒せなかった大蛇に化ける術を持った人物である。
そのサファイア=マルシアは日差しを浴び鼻先に蝶を止めてもイビキをかき眠っている。
スッカリ3億の賞金首という事を忘れた様子である。
私達のバイクの音を聞いて背伸びをして土手に転がり日差しを浴びている。
第六王都をバンディッシュを実行支配するただ一人の王ジハードとの戦いに疲れた様子だ。
次から次へと送られてくる刺客相手に一人で向かうのだから当然だろうと思った。
悪遊戯派とジハードらの目的はその個人が所有する力をアンティークダイアにその身を封印し誰でも力を共有し使うため空間凍結使いのサファイア=マルシアを追い立てている。
彼女も孤独なのだろうかと私は思った。今現在私はあの時と比べどれだけ強くなったのか彼女を超える黒剣士に成長できたのか腕試ししたくなり彼女の眠りを覚ました。
いきなり振り下ろされた赤い誓いの剣にサファイアは眼を開け寸前で横に交わし鬼の形相になり身構えた。
サファイア:いきなりなんだ?どこかで見覚えがあるような?。と素早く青い剣を抜き言う。
サファイアの眼がブラッディ・アイに変貌するとカリスは身構えて空かさず一刀サファイアの頭目掛け放った。
サファイアは体勢を崩しながらも青い剣でそれを受け止めた。
二刀が交差するとサファイアは眼力でカリスを弾き飛ばしすっと立ち上がり身構える。
カリスの剣風にサファイアは頭から出血しながらカリスを睨む。
サファイア:お前いきなりなんだ?。
カリスは無言に斜面の丘を下り次々と剣を放った。
二人は丘の斜面を体勢を崩し土煙をあげ小川へと着水した。
サファイアは水を蹴り上げカリスに蒼い剣を放つと炸裂した水しぶきの残影がカリスの胸に深く刺さった。
カリスは体勢を崩しながらも蒼龍のガードナーを嗾ける。
サファイアはそれを蒼い剣で弾くと四角い透明なアイスキューブを数体放ち蒼い龍のガードナーの動きを止めた。
そして静かに足を音を消し空かさずカリスに剣を放つ。
その間に空中に放たれたアイスキューブは互いに稲妻を放ちその場の空間軸を曲げ時間を止める。
その一部がカリスの足を重くさせ片足の動きを止められたカリスはサファイアを睨む。
足をアイスキューブに奪われながら剣を放つがそれを叩き落とされ誓いの剣が小川に沈む。
カリス:私を覚えているかマルシア、ここで出会ったのも何年目かあの時の屈辱を今晴らしに来たが終わりのようだ止めを刺せ。
サファイア:ふーん覚えているはずないだろう。と蒼い剣を鞘に納め言う。
それは私の勝手だ。弱い自分を恨め。
カリス:さすがに王家に仕えた黒剣士実力の差は埋まらないな。と眼差しから光が消える。
サファイア:あぁ殺す前に聞いておこう。と素早く蒼い剣を放ちカリスの鼻をかすめる一刀を放つ。
サファイアはカリスの首を片手で押さえカリスを地に伏せる。
その時王家のペンダントがカリスの胸から零れ光り輝くのをサファイアは見逃さなかった。
サファイア:へぇーお前そんな弱いのに王家が認めた剣聖か。
王家も落ちぶれたものだな。この私達を差し置いてこんな小娘に。
お前は知ってるだろうか?今まで私がどんなに王家に仕えてきたと思っているんだ。正直裏切られたようなモノだ。お前のような軟な剣聖さまがいるだけで虫唾が走る。
知ってるか綺麗な顔した剣聖、ロマリア戦線の彼方王家の専属護衛の黒剣士で生き残っているのは私らくらいだ。
私には何の恩恵もないのにお前にはあるのか。王家のためにどれだけ苦痛を強いられたことか。
王家はお前を認め私はこのざまか。当分はハグレ剣士さ。
カリス:確かに貴方に相応しい物を私が所有しているのはおかしな話だ。
だが逃げ腰のあんたなんかにくれてやる物ではない。今私は王家復興を目指しているのだ。
だがそれには人数が足りない。貴方ほどの実力があれば・・・。
サファイア:実力?王家復興笑わせるな。今はマスター教会と剣誓会の時代だ。
王家など滅んだも同然。どうせ北の孤島で一夜を明かすだろうさ。
例え大陸一の黒剣士や兵隊がいても一局を王家に変えられるほどの者はいない。
どこを目指しても王家に立ち直る術はない。
カリス:諦めないで私達と来てください。
サファイア:来てくれだと断るね。王家とは二度とかかわり合いたくない。
それに今は事情があって・・・・と剣先からカリスの心臓に小さなアイスキューブを叩き込みカリスの体を立たせた。
いいかよく聞け命は勘弁してやろう。今から私のために仕事を一つしてくれ。
北の外れに森があるそこには二本で数万ルークはくだらない物がある。
それを殺し運ぶ仕事だ。
その仕事が終わったら心臓に埋め込んだ物を取ってやろう。
そこで怯えているガキも来い。と手招きした。
アクロス:なんで俺達が。と眼にアオタンをつけながらバイクの後ろにサファイアを乗せた。
ノートルダムの自然保護区の看板を横に金網のフェンスの前に二台のバイクを停車させた。
金網のフェンスをよじ登ると三人はノートルダムの森へと入った。
その亜熱帯地域のノートルダムの森の中に群れをなす毛深い生き物がいた。
一見その毛深い生き物は穏やかそうに草を頬張っているがカリスらの足音を聞くと毛を逆立て威嚇の姿勢に入った。
サファイア:あの威嚇の姿勢を見ろと早々と木陰に隠れ言う。
あいつらは異様に鼻が利くようだ。あの小さい筍のような角に数万ルークの価値がある。
まぁ象牙のような物さ。ただ違う所はあれに付着する藻を干して粉にして吸い込むと安堵と達成感が得られる。合成麻薬のような作用がある。抽出するのは請負の組織がしてくれる。
私達はあいつらを斬り殺して積み荷として積むだけ。
明日にはあいつらの遺体を詰めた袋がこの荷台に積み重なる。
それはお前達二人の力量次第だがな。
カリス:ここは自然保護区ですよね。重犯罪を犯してまですることでしょうか。
サファイア:そう真面目ぶるなお前も黒剣士だろ汚れ仕事と思え。
アクロス:僕達には王家復興という大事な使命があります。犯罪行為はご遠慮願いたい。
サファイア:ハグレ剣士のより集めで王家復興などできるわけない。
裏方に入って多くの有望な人材と知り合わなければならない。
アクロス:それは重々承知だ。貴方に言われることではない。
サファイア:素直に従え悪いようにはしない。その先駆けに信用がある軍隊教育された組織を紹介してやろうというのだ。
今そんな組織が五万とある時代なんだ。誰もが資金が欲しい時代だ。王家が資金を惜しげなくばら撒けば王家を守る兵隊は集まるだろう。
王家の強みは何なのかを考えろ。各地から送られてくる上等品の数々それを売り払えばどれだけの資産を生むか。どうせ国民から見放されつつある王家だ。落ちるところまで落ちていく。
いいように考えれば国民から関心度がないということ影は大いにあるということだ。
武器商人と貿易商などを手掛ける奴らと繋がり徐々に力をつけていけばいいさ。だがな私はそこにはいない。お前らがしていくことはそういったものだ。理想国家という瓦礫を高く積んでいくんだよ。
だが私は違う影を背負って目的を果たす。家族一族を殺された恨みを晴らすのだ。
一人じゃ無理かもしれないが近い将来に恩を売っておくのもいいと感じた。
だがお前達の力量も見定めておく必要がある。
いつか私を超える黒剣士を育てるのも念頭に置いておけ。時代は変わり続けていく。
お前は今から人の上に立ち若いながらも苦労していくのだろうな。
私には到底真似できない偉業だと鼻で笑った。
さて仕事に取り掛かろう。密漁前科つくだろうが全て私が指示したことだ。
殺すのは得意だろカリスにアクロス。ここにいる値打ちがある全ての生き物は今日狩り尽す。
眼につく物は全て金に換える。私達に生き物の情などない武器は殺すために存在するのだから大いに使え。と矢じりに鎖がついた武器を獣に投げながら語る。
威嚇を続ける獣の分厚い皮膚に矢じりが食い込むと返しがあり痛々しそうに血を流し狼狽える。
サファイア:威嚇しているようだが大したことない所詮獣の頭臆病な奴だな。と蒼い剣を抜き近づく。
真っ赤な冷淡な瞳が獣の視線を塞ぐと獣は諦めたように自ら動きを止め諦めた。
ゆっくり振り下ろされる剣はじわじわと毛深い獣に突き刺さると軽く悲鳴を上げ息絶えた。
なんとも弱い生き物だろう。何の抵抗もなく何の手応えもない。
ただ手が汚れていくのが分かる。剣に流れ落ちる赤い血がサラサラと剣の上を這っていく。
奥深く剣を突き立て横に切り裂いていくと血が飛び交い私を汚す。
私は殺すたびに暖かい物を失っていくような気がする。
一時は人が苦しむさまが楽しいような気もするだろうがどことなく空しさも感じる。
仕事生きるためと割り切ろうと思うが何だか手の中で剣が躍る。
後悔なのだろうか弱い者達を相手にしていると正直めんどくさい。
だが一方で一人夜を迎える時、命のやり取りの中恐怖と孤独がいつも背中に張り付く。
既に私は病気なんだと思う。ふと我に返り瞳に映る毛深い生き物の息絶える声を捉える。
彼らからしたら一方的に幸せな時間を汚しに来た悪魔のように見えるのだろう。
仕方ないお前達は金になるのだから。文句を言わずに殺されろ。
私の頭の中で一匹殺す旅に声がする。ざわめく声が次第に私をまた駆り立てる。
潜在意識の中子供の声女の声、大人の声、戦士のざわめき様々な声が私を陥れようとしてくる。
多くの手が私の背中を押し剣を止めるなという。
もっと人を救済してやれとでも言うのだろうか。私は様々な人の運命を変えてきた。
多くの死と関わり奪ってきた。こんなに弱い奴の命さえも奪っていく。
二匹目を捉えた所でカリスとアクロスの戦う姿を見る。
彼彼女らにこの潜在意識から聞こえる声が聞こえるのだろうか。私の眼からは楽しそうに踊るように剣を抜き放つように見える。
ズタバタと獣が地面に転がり楽して数分で数百万ルークも稼ぐ。
私はあの輝かしい若い二人を引き込み剣も身も汚してやろうと思える。
強さに憧れを抱くカリスとその取り巻き立ち。王家が私を不幸に追いやってきたのにも関わらずこんな奴に命運を託すなんて歯がゆい。
弱いのに弱いのに弱いのに。雑魚ではないが弱いのに・・・。
獣の血で二人の顔は真っ赤に染まる。
サファイア:どうだ血の味は???どうだ無駄に命を奪っていく感じは罪悪感はあるのか?。
あらかた片付いた時私はその問いを二人に問いただした。
カリス:さすがに三人で倒せば楽勝ですね。
アクロス:さてそろそろ行きましょう。衣服が血で汚れてしまった黒い戦闘服だから気にはなりませんが。
カリス:これでお別れですね。と獣の遺体の足を引きずりながら荷台に乗せ言う。
サファイアは頷き胸に刺したアイスキューブを素手で引き抜き手の中で潰した。
アイスキューブは手の中で溶け水となって指先から滴となり零れ落ちた。
サファイア:もう行くのか
カリス:はい今度会う時は味方でありたいですね。期待していますでわ。
サファイア:素っ気ない奴だな
アクロス:カリス姉さんもう行くの?裏の人達を紹介してもらうんじゃ。
カリス:獣を殺しながら少し面白いことを思った。後で話す。と金網の網を雷撃で溶かし道を開ける。
アクロス:面白い事ってちょっとカリス姉さん。
カリスはトボトボと歩き思いっきりの笑顔を見せた。
考えたのだが王家復興の財源だ上等品を売るのはやめよう。王都主催外れくじ無しのくじ券を販売し三爪の龍の活動資金にあてよう。上等品はそれらに振り分けて行こうと思う。
そうすれば王都に人が集まるのではないのかと思った。
三つ国で宣伝して回ろうと思う。色々な輩が集まる所で仲間を集い情報を流そう。
アクロス機械系統に詳しいお前なら黒い絆で一気に情報を発信できるだろう。
アクロス:それはいいけど。だけど姉さんどうして急にそんなことを言い出すの?。
カリス:獣を殺して思った殺すのも自由、犯すのも自由、そんなのじゃ汚れの王を倒した意味がない。
新たな組織を作ったんだ。ここは大きく出よう。王都だけに滞在者限定の王都くじの販売だ。
そのためには我々が宣伝員となって各地を歩く旅をする。仲間も次第に集まるだろうし王都に人が流れ込むだろうさ。有り余った上等品の処分を兼ねてだ。どうだ我ながら面白そうだろ。
今私が目指す物が見えた気がする。
私が目指すものはごろつきじゃなく本当の仲間意識を高めた組織を私は作りたい。そう私が目指すのは心の同志と家族のようなものだ。不死鳥派の人達みたいな感じだ。
アクロス:でもそう簡単に行くかなぁー。俺達は負け組みたいな組織だぜ。
カリス:そうか?お前はそう感じるのか?。まぁいい早速黒い絆で仲間に連絡して意見を聞いてくれ。
私は疲れたのでこの花のジュウタンで眠ることにする。
アクロス:おいおいカリス姉さん一人だけ眠るのか。
カリス:私は機械が苦手なんでね。じゃぁ任せたぞ。
アクロス:そりゃないぜ今夜は徹夜の作業かはぁー。と黒い絆に言葉を語りながら一人呟く。
カリスは花畑に横になり空き缶からスライムのバクを出した。
バクは嫌がるがカリスの強力で押さえつけられ大人しく枕になった。
夕暮れの雲が流れる谷間を見ながらカリスはこれからの予定を考えて眼を閉じた。
ヒンヤリしたバクの柔らかい感触に頭を預けいつしか眠っていた。
その間にもアクロスは木に背を預け黒い絆に向かい語り広告の掲示板を再構築させる。
アクロス:姉さんの寝顔を始めてみる。こんなにも幼いんだな。と見とれながらも必死に黒い絆に語る。
一時間か二時間か経過したとき花畑の消えかかった街路から荷馬車が勢いよく走るのが見える。
カリスはその音に眼を覚ましふっとその荷馬車を眼で追いかける。
走り去る荷馬車を追う夜盗が二頭の馬で荷馬車を追い立てる。
カリスはその様子を不可思議に見て体についた花を叩き立ち上がった。
ぎろりとした夜盗の眼が獲物を追う。
金銭でも追いかけているのだろうか?黒剣士としては見逃せない光景であった。
カリスはアクロスと二人相槌を打って誓いの剣を抜きバイクを出発させた。
左ハンドルのアクセルを握りしめ誓いの剣を手で回転させ荷馬車を追う夜盗二人に背後から斬りかかる。
夜盗はそれに気が付くと背後は振り返りなんだという眼で私達二人を見た。
私達を凝視し黒剣士だと気づくと荷馬車を追うのをやめ二手に分かれ逃走した。
一人老人商人が鞭を鳴らすそれを静止させ荷馬車の横に出て荒ぶる馬を宥めた。
カリス:もう大丈夫ですよ安心してください。
老人商人は眼と耳があまりよくないらしいカリスに向かって夜盗と間違え鞭でカリスの頬を叩いた。
アクロス:何をしやがるい俺達は黒剣士だぞ。と振り払われる鞭を誓いの剣で巻き付け取り上げる。
老人商人はそれに焦り荷馬車を急停止させた。
老人商人:あんたら殺しも問わない残虐無慈悲な黒剣士だろ私達商人にとっては夜盗の方がましさ。
あんたらに恵んでやるほどこっちは儲かってない。
人を殺して稼いでいる奴らださっさと大事な商売道具の鞭を返しておくれ。と荷馬車から降り強引に鞭を取り上げ走り去る。
アクロス:なんて酷い言い草だ。ここら辺の黒剣士が夜盗同然だって。
カリス姉さんに謝りもしないでそそくさと去っていくなんてあんまりだ。
カリス:ふっ私達は戦争好きな夜盗崩れか。市民はそう思ってやがるのか。
そうか分かった私は黒剣士そのものを変えてやる。と頬にできた赤傷を指で触り言う。
今は少数で形もないが市民を苦しめる夜盗崩れの黒剣士を全員処分してやる。
私に力がついたその日に黒剣士の在り方を変えてやると決意を胸に倒れたバイクに乗りダズリーペシャワールへと車体を走らせた。
その頃、三爪の龍らは全員不死鳥派の黒剣士に護送され王と共に荒れ果てた北の孤島に到着していた。そこで誓いの剣を黒剣士150名は没収され王から新たな王との誓いの剣黄色い剣を手渡された。
ジャネット:本当に古城以外ない所だ。誓いの剣も使うことはもうないだろう。
だが腐っても黒剣士だ護身用にこの剣を。と会釈した。
追い風のラミタス:嵌めやがったな。誓いの剣はく奪なんて聞いてないぞ。
ジャネット:貴重な意見ありがとう。だが王の威厳がある輝かしい剣じゃないか。
黒兎のバニーロック:皮肉ぶった言い方しやがってこんな仕打ちを用意しやがってもっと男気ある奴だと思っていたけど残念だよ。
ジャネットは冷たい表情でバニーロックの横を素通りし老いたイレイザ王の手を引き言う。
ジャネット:偉大な王イレイザ様とそのご子息に敬意を払って・・・。
イレイザ:狭い所に追いやられたな。
ジャネット:何不自由はさせません何かありましたらこの者達に言いつけてください。
イレイザは並ぶ三爪の龍の顔ぶれを見て言う。
イレイザ:ありがとう。ここから始めるとするか。
ジャネット:くれぐれも無理をなさらないようにお願いしますでわ私達はこれで・・・。と凛とした態度で護送車に向かう。
イレイザ:ジャネット王が返り咲く時はあると思うか?。
ジャネット:それは分かりません。一人の分からず屋の王を除いてはです。と足を止め言う。
ですが私達はその先を行きます。剣誓会の礎を造ってくださった王に敬意を表してです。
そんな悲しいことを言わず威厳をもってください。一年に一回会えるじゃありませんか。
イレイザ:その時答えが見えてくると嬉しいな。と古城の木枯らしを浴び言う。
ジャネット:王とは不思議な方だと鼻で笑い護送車の中に座りイレイザ王の後ろ姿を見た。
リック:ジャネットそれが王に対する姿勢だな今に見ていろよ。
俺達はどんな逆境でも諦めない必ず本国に戻ってやるからな。
三爪の龍一同は走り去る水陸両用の護送車を睨みつけた。
その頃カリスとアクロスはバイクを止め花の都ダズリーペシャワールの外門へと入った。
辺りからふわふわ綿毛が飛びカリスはその匂いにくしゃみを連発した。
カリス:なんだこの街は人の気配がしない。
アクロス:黒い絆の電波もおかしい。エラーが出る。
カリス:なんか変だ!!この街に入るのはやめておこう。と後ろに下がりながら口を黒いローブの裾で塞いだ。
アクロス:黒い絆で辺りをスキャンしてみよう。何か分かるかもしれない。とそれと同時にガードナーを放ち辺りを詮索し始めた。
羽毛を纏った龍のガードナーが地面に這いながら進むとその目で辺りを見渡した。
異様な光景だ人の影など全くない無人のようだ。
近くの納屋に入ると壁には真っ赤な血痕が残っている。
カリス:一体ここで何があったのだろう。
一方王家の護衛を押し付けられ北の古城に集結した組織三爪の龍の黒剣士らは古城の荒れ果てた大地を背に北風と大雨に歓迎された。皆は雨に打たれながらも手分けして古城の修繕工事に取り掛かる。
ラミタス:おいおいここ雨漏りしてるぞ。
ラミタスが修繕道具を抱えながら脚立に上り下を見渡しながら言う。古城は大洪水まるで敵から水攻めを受けているようだ。
その様子にバニーロックは陽気にもお酒を仲間と飲み欲し乾杯の音頭をとる。
黒兎のバニーロック:この城と城を与えてくれたクソったれどもに乾杯。と一気にお酒のボトルを口飲みする。
三爪の龍の黒剣士らは古城の中雨に打たれ皆愚痴を言いながら働いた。
メロスディーテ:あらま酷い有様ね。
古城の外壁は薔薇の花と棘だらけ古城の中は水び出しってこんな所に住めるかぁーと息を切らせ怒声を飛ばす。
あぁーむかつく。
リック:ははは王家に対する礼儀など微塵もない。とへらへらと笑う。
リックに掴みかかるように150人が怒った眼で睨み返す。
リック:すみません・・・
リックは無言でそそくさと壊れた古城の修理に取り掛かり皆も古城を住居地にするべく懸命になって働いた。
集められた王家の皆は二階に上がると各部屋へ散った。
その頃王都ディアバールの監獄にラスティーユの姿がある。
誓いの剣も黒いローブも取り外され監修が切るぼろ切れを腰に巻き背中には痛々しい鞭で何度も打たれた生傷が残る。
ラスティーユに自由はない天窓から月日が流れ上をタダ呆然と見上げる。
ラスティーユの唇は乾燥しひび割れている。口にするのは髑髏査察団監修部が持ち込む貧しい食事と僅かな飲み水だけである。
アスラはにやにや笑いながらラスティーユの姿を見下し言う。
アスラ:さすがに血気盛んだったころと比べるとやせましたね。ここは寒いでしょう。
ラスティーユ:あぁ
アスラ:しかしラスティーユさんも馬鹿なことをしてくれました。貴方の仲間らは北へ追いやられ大陸の王を決める争いが始まろうとしていますまぁ貴方には関係のない話ですがねと微笑みその場を去る。
ラスティーユ:カリス・・・と呟き深く眼を閉じ膝を抱えた。
一方姉さんの声が聞こえたような気がしたカリスはダズリーペシャワールの奥へと勇気を持ち踏み込む。
すると一軒だけネオンに輝く賭博場を発見する。
アクロス:市民はいないのにこの店だけ電気水道が通っているぞ。
カリス:何だか楽しそうな雰囲気だな。
そういうと二人は誘われるままその店に入店した。
後ろを振り返ると自動ドアは固く閉ざされカウンター席から太った魚人が現れもぐもぐと口を動かしナマズ髭をピンと立てて笑いかける。
その何とも言えない表情に二人の笑いを堪えた。
ナマズ髭を生やす魚人ドン:いらっしゃいませ当店では一時間100万ルークから賭博ができます。
とぬめっとした手を差し出す。
カリス:賭博目的ではない私達は黒剣士だ少し聞きたいことがある。
アクロス:街の住人の姿が見えないどこへ行ったか知らないか。それとあの綿毛のような物はなんだ。
ドン:うーん説明しようもありませんこの城下町の住人はギャンブル依存症を発生させ代金として私が食べました。
アクロスはそれを聞くと背中に背負う光矢を構えた。
ナマズ髭の魚人ドン:私は暴力は嫌いです。私が食べていくため仕方なかったこと殺される理由もない。
電気水道ガス全て私が賄っておりますし代金として食したまであまり美味しくはなかった。
カリス:この人食いめぇーとナックルブレードを構える。
ナマズ髭の魚人ドン:ひぇーお許しください命まではぁー。と膝を折りながら手を地面に添える。
その手から水蛇を召喚しナマズ髭の魚人ドンは抵抗を見せる。
パチンコ台をぬるぬると這う水蛇は下を出しカリスとアクロスに襲い掛かる。
カリスとアクロスは多くの水蛇を斬り捨て夢中に交戦する頃ナマズ髭の魚人ドンの姿はなかった。
アクロスは息を切らせパチンコ台に背を預ける。
すると残り玉がパチンコ台の釘を滑り確変を引き当てた。
カリスはその音楽に眼を取られギラギラした光が眼に残る。
アクロスは夢中になってその台に座りレバーを取り笑いながらパチンコに熱中する。
それを見たカリスはアクロスの頭を一発殴りナマズ髭のドンの後を追いかける。




