第17話、あぁアクロス
一方新たな弟子を押し付けられたラスティーユは玄関口の階段ににへこたれて動かなかった。
ラスティーユ:これで稼ぎの大半はガードナー手術費に消える。
安月給を恨むしかないな・・・。所でアクロスお前何歳だカリスは確か15だろ。
アクロス:今年で14歳です。
ラスティーユ:そうか手術は受けれる歳だな。お前の育ての親に会って話をすることとしよう。と歩き出した。
行きかう人を交わし外科手術所へと向かった。
ラスティーユは外科手術所の中にガラスケースに入った様々な種類のガードナーを見ていた。
そしてガードナーの母体となるシルバーアクセサリーを見渡した。
カリス:へぇ今はこんなに種類が豊富なんですね。
アクロス:この特殊十字架のペンダント凄くカッコいいですね。
ラスティーユ:自分が気に入れば値段なんて関係ないよと泣きながら財布を見る。
カリス:姉さん見栄を張らなくてもいいんじゃ。
ラスティーユ:もういいよどうとでもなれだ。その代り自分の飯は自分で稼げるようになるんだよ。
アクロスは幼げな表情でハイと答えると不思議そうに店内を見渡した。
ラスティーユ:ここは爬虫類系のガードナーしか置いてない店だからね。
お前に言っておくが古龍派門下の黒剣士になるんだよ。だから獰猛で俊敏さがある奴でいいんじゃないの。そんな高い奴は買ってやれないからねと釘を刺す。
店の主人:いらっしゃい
ラスティーユ:今日初めて手術を受けるので商品の説明をこの子にしてやってください。
店の主人:この店は古龍派黒剣士お抱えの店です。爬虫類系のガードナーを主に取り扱っています。
爬虫類の色によってランクがあり分類され一番希少な白色は高値で取引されております。
ガードナーの色も様々で赤、青、紫、緑、黒と全6色に分類され大半のお客様は自分が出すオーラの色に合わせてお求めします。まれに二色のオーラを持つ特別な方もいらっしゃいます。
爬虫類系最強はやはり人気の龍でしょう値段もそう高くはありません。
後は気性の粗さや賢さは自分自身の心となります。
ガードナーも様々で液体型、物理型、気体型があり、液体型は自在に姿を変化させ攻撃し攻撃範囲が狭いが敵を包み込み窒息されることも可能です。あとガードナーの滴という飲料水として活用できます。
ただ弱点は砂漠の水がない所では全く使うことができません。大気中の水分で自在に姿を現すことができるからです。
一方物理型は攻撃と守備の二つの特性を持つガードナーで幅広く使われます。出し入れ自由でオーラの分量で敵を噛み千切ったり薙ぎ払ったりできます。弱点は動きがあまり早くないことです。
それに加え気体型は俊敏な動きで敵の吸う酸素を一気に奪い窒息死させることも可能で毒ガスを撒いたり暗殺に適したガードナーです。ただ銃弾など物理攻撃に大変弱く守備は最弱と言ってもいいでしょう。遠距離支援を選ぶならこのガードナーはお勧めです。
そちらの方々は全員物理型ですね。私なら液体型を選ぶな。
後オーラ検査薬を飲んで自分のオーラがどの色かも判断しないと。
オーラも様々で清純はであるは白、残酷無慈悲であるは黒、冷徹であるは青、闘志に満ち溢れているは赤、八方美人であるは紫、向上心を持っているは緑、ほんと稀に黄色やオレンジといった特殊なオーラがありますが特殊オーラと呼んでいます。これは1億人に一人の割合でガードナーを持つことが許されておりません。何故なら殺しに適した者と位置付けることができないからです。
今の技術ではそれが何故なのかは解明されておりません。これは古からの決まりなので絶対にガードナーを授けることは禁忌となります。
アクロス:僕も物理型でお願いします。
店の主人:分かったそれではこちらの検査薬を飲んでくださいとアクロスに説明を終えカプセルに入った一錠の検査薬を渡した。
アクロスは小さな特殊十字架を握りしめその検査薬を飲み干した。
すると赤いオーラが体から溢れて出した。
それでは手術台の方へと小さな特殊十字架の母体を右胸に埋め込む手術を受け無事に終えた。
体中の赤いオーラが小さな特殊十字架に流れ込むと赤い毛に覆われた龍のガードナーがアクロスの首筋から地面に這いづりまわって小さく鳴き声を上げた。
瑠璃色の眼で優しく主人を見つめアクロスは微笑んだ。
ラスティーユ:羽毛龍か珍しいふわふわして気持ちいいなぁーとアクロスのガードナーを触ると羽毛を逆立てラスティーユに威嚇した。
ラスティーユ:おぉっと凄い気性の粗い奴だ。
カリス:でもなんだか優しい目をしてますね。と触ろうとすると甘噛みされた。
全然痛くない子猫に甘噛みされたようです。ほんとにこの子アクロスを守ってくれるのでしょうか。
店の主人:羽毛龍かぁー珍しいな攻撃性だが生まれたばかりだから何とも言えんな。
古代の辞書には素早く飛び尾で敵の首を刈る。と記されておる。と分厚い古代辞書を見ていった。
アクロスは羽毛龍をマフラーのように巻く。
そして店内の開けた場所でゴミ箱から空き缶を拾い空き缶を一列に並べ少し離れて羽毛龍を素早く放ち遊んだ。
羽毛龍は主人の言うことを聞き胴体を伸縮しびゅんびゅうと音を鳴らし飛び頭を振り子のようにして尾で並べてあった空き缶列を薙ぎ払った。
カリス:アクロスは器用ですね並べてあった空き缶を全部薙ぎ払っています。
ラスティーユ:片目で生きてきたんだ。視力が悪い分耳がいいそれに手が器用だ。奴はまだ気づいてないが瞬刀使いになれそうだな。
カリス:瞬刀とは?
ラスティーユ:瞬刀とは間合いに入った者を眼で追えない速さで斬ることを言う。
最初は敵に深手を負わせることはできないが訓練次第で神風の域に達するだろう。
神風と呼ばれる瞬刀の最高位を極めれば間合いも広がり一瞬にして敵を絶命できる。
後眼が悪いから耳を頼りに遠くのを察知することもできる。
音を聞き分ければ敵の行動を素早く判断でき先読みもできるだろう。
ただしガードナーの眼が使えない事が弱点となる。アクロスは私達みたいに遠くの景色をガードナーで見ることができないんだ。
だから鍛えないと戦闘において同士討ちなど様々な障害が出てくる。
アクロスを観察していると眼に頼ってない耳を頼っている。空き缶が宙に浮いた後空き缶を間入れず弾いているだろ。一撃目は片目で確認するがその後は耳を頼りに攻撃をしている。
空き缶の弾ける斬音を聞いていることがここからでも確認できる。
カリス:確かに笑って楽しそうですね。私達と別の物を音を聞いているようですね。
ラスティーユ:常人の耳では聞こえない音階をアクロスは聞いているんだ。
音を使う技を教えた方がいいな。
ラスティーユ:うーん敵の動きを察知し脅したり惑わしたり錯乱させたりする業だ。
耳がいい奴は心の波動で音を作るんだがそれには心臓を鍛えるしかない。
あとアクロスには離れ業を教えようお前みたいに果敢に剣を振るうことはあのか細い手では無理だ。
下級市民上がりのアクロスは剣の重みに耐えれる骨格が今はないし握力も弱い。
だからお前みたいな妖刀は重くて無理だ。見るからに私達みたいな混合種ではないしなぁ。
人間味が強いアクロスには脇差二刀流と弓を引かせることにしよう。戦闘慣れすれば飛び技の天才になれるかもしれない。アクロスが達人になれば間合いに入った所で瞬刀のガードナーで斬られることになるな。
カリス:するとアクロスに勝つにはどうしたらいいんですか。
ラスティーユ:ガードナーを吹き飛ばすほどの斬撃刃を飛ばすかだな長接近戦は奴に軍配があがる。
物理型ガードナーを選んだのは間違えない。例えばマフラーで自分の体を覆えるほどになれば守りは螺旋階段のようにして守ればいいし攻撃では瞬刀を使えば太刀打ちできない。
攻めと守りを兼ね備えた逸材となろう。私はとんだ恐ろしい拾い物をしたよと笑う。
一番弟子は素直で謙虚二番弟子は威勢があって豪胆か。育てるのが楽しくなりそうだ。
空き缶を吹き飛ばして遊ぶアクロスに姉さんは輝いた眼をしていた。
私はちょっとアクロスに嫉妬を覚えたのではないかと思えた。
ガードナーを胸に埋め込まれた特殊十字架の母体に収めたアクロスは五番街のムートンの憩いの場に連れていかれた。私は空き缶に押し込めていたバクを地面に這わせ足持たせにしてレストラン街の店外カフェの椅子に座り光を遮る大きなパラソルの下でカフェラテを飲みながら時間を潰した。
行きかう人は皆明るく見る私は皆どこに向かって歩いて何の目的があって生きているのだろうと思う。
私は強くなって一人前の黒剣士になるのが目的だがそれもほど遠いような気がしてきた。
一方ムートンの憩いの場にて・・・
ムートン:今日もハレルヤーふふふんと鼻歌を歌い一人黄昏暇そうに店番をしている。
ラスティーユ:ようムートンの親父儲かってるか!!?
ムートン:うわぁぁラスティーユ様ぁー先日はどうもと軽く会釈した。
ムートンの眼ではラスティーユが恐ろしい悪魔のように見えるらしく怯えた。
ラスティーユ:そんじゃこいつが私の新たな弟子アクロスだ。こいつに似合う誓いの剣の二刀を作ってほしい。それと弓もお願いしよう。
アクロス:お願いします。と照れて笑う。
ムートン:二刀流で行かれるのですか。ふーんとアクロスを観察し言う。
重量は1.5キロが妥当だな。切れ味の良さも普通程度、刃の長さは脇差程度でいいね。
ラスティーユ:それと私の誓いの剣も手入れしてくれないか。
ムートン:はい素晴らしいちょっと拝見します。重花丁子か焼頭が二重に分かれ八重桜の花びらのように華やかな刃紋であれますな。真っ赤な血のような色に綺麗な夜桜が入ってまさに名刀のような美しさ。
これを作成したのは一体誰ですかここまでの妖刀は見たことがない。
ラスティーユ:山小屋に住む変わった爺さんだ。まぁ話せば長くなる。
ムートン:妖刀を作り半ば30年生きていてよかったと実感しました。
分かりました私もこれを超える妖刀を作ります。
少し時間をください。と気合を入れて頭にねじり鉢巻きをし言う。
ラスティーユ:誓いの剣だから赤塗りで頼むよ。
ムートン:はいうーんそうだうーんこれかな。と鋼を打ち出した。
一時間後・・・
暇ですることがなくムートンの憩いの場の前にある公園で缶コーヒーを飲みながら待つと頭を焦がしたムートンが叫びをあげ近づいてくる。
ムートン:でっできましたこれは凄い力作の二刀です。
ラスティーユ:ムートンちょっと貸してみろ確かに刀剣二刀は撓っていいが最初はリンゴを斬るのも難しいなまくらのように見える。気に入らないね打ち直し。
ムートンは愕然としトボトボと自分の鍛冶場に戻り憎しみを込めて脇差を撃ち抜いた。
ムートン:脇差やめて打刀にしてやると悪魔の笑みを浮かべ打刀を打った。
一時間後完成した刀剣二刀をアクロスは抱え後ろに大きな弓と矢を数本抱えていた。
アクロス:この誓いの剣をクロス・シューターと名付けよう。
ラスティーユは磨き研ぎ澄ました夜鳴華月をマジマジと見て黒い鞘に納めた。
そして二人はカリスのいるレストランで合流し3人と一匹は楽しそうに夕食を囲った。




