第16話、茨に巻かれた毎日
ユー大陸の南側には今でも古に築かれた茨の守りが施されている。
ここ数百年その向こうに行こうとする者はいない。
行こうとする者は茨の棘の毒で動きが止まりやがて死を迎えるからだ。
それを利用し髑髏査察団は働けなくなった老人ら重篤な病人、国家に必要が無い者らを髑髏の谷と呼ばれる所に投げ捨てる。
そんな現状で皆は髑髏査察団から送られる死のカードが届くのを恐れて暮らす。
髑髏査察官アスラ:税金滞納者は殺しますよ。皆死にもの狂いで働き税金支払日を楽しみに。
生きるということは金を国に収める事です。役に立たない奴は死にましょう。
遊ぶ暇はありませんよ。元気よく働きましょう。と号外して回る。
そんな嫌気がさす毎日に私達も税金を引かれた予算残高を見てため息を吐く。
ラスティーユ:こんだけ体を張って稼いでも税金が高い。と通帳を見ながら呟き愚痴る。
カリス:中央の貴族連中はいいよなとミッドタウンの中央街を見上げる。
街の片隅では死のカードを渡された住人が我狼派黒剣士と衝突し暴動を鎮圧するため出動している。
老人ら:ワシャまだ死にたくないまだ働けます。死ぬのは嫌だぁーと泣き叫ぶ。
リック:落ち着いてください施設に入るだけですから。誰かこの興奮して暴れる老人らに鎮静剤を打ってあげてください。
老人ら:国はわしらを騙して髑髏の谷に投げ入れるんじゃ。働かすだけ働かせて下級民のわしらを殺そうとするんじゃ。下級民はいつだってそういう者なんじゃ楽に死ぬこともできないんじゃ。
リック:謎言を吐かないでください落ち着いて話し合いをしましょう。
老人ら:嫌じゃ何を言われても施設なんかに入りたくない。
リック:しょうがない人達だ髑髏査察団に皆騙されているんですよ。施設のパンフレットを見たでしょ。
今まで働いてきた人にそんな直ぐに死を与えるなんてことしませんよ。
ゆっくり余生を娯楽施設で楽しんでください。
ラスティーユ:表向きは娯楽施設だがどうせその施設で数年遊んで投薬の実験体に使われるのだろうと心の隅で語る。
私も用済みになればそうなるか最悪の場合ハグレ剣士に陥れられ仲間の手にかかるかだなと思う。
そうならないためにも賢い考えで私を守ってくれる一派を立ち上げるしかないのだと奮起する。
それを実現させるためには多額なお金がいるんだ。弟子を多く輩出し国家に貢献した者の称号を得るしかない。25歳でやっとアメジストのブローチを胸に飾っているしがない黒剣士だがな。
まぁ今はこの子を育てていくしかない。私に初めてついてくる可愛げがあるこの子を・・・・。
ふっとそんな事を思いながら街の飲食街を見ると威勢のいい額にゴーグルをした男の子が権幕をたてている。
ゴーグルを額にした男の子:じいちゃんは無銭飲食なんか絶対にしてない誤解だよ。
太ったコックが包丁を振り上げ怒り言う。
太ったコック:お前らどう見ても下級民だなお前らの吐く言葉は全部嘘だ。
金も払わないで食い散らすとは言語道断叩き切ってやるから二人とも覚悟しろ。
老人:手持ちが足りなかっただけだ金は後で払う。アクロスお前は関係ない黙ってなさい。
話はわしがつける。
アクロス:こんなチャーハン一杯食べただけで金貨一枚なんておかしいよ。と怒鳴る。
それを聞いた太ったコックが頭に血管浮き出て怒りを上げ言う。
太ったコック:家の店のチャーハンは高級志向なんだ。下級民が食える食べ物じゃねえんだ。
貴族風の野次馬達:金貨一枚も払えないんじゃほんと下級民丸出しだなと微笑み見張る。
そのいざこざを見たラスティーユは貴族風の野次馬の隙間を縫い通り一瞬にして120キロはある太ったコックの首を片手で掴み上げ言う。
ラスティーユ:チャーハン一杯が金貨一枚とは一体どんなチャーハンだよ。私にもそれと同じ物作ってくれるかな。と腕に血管を脈打たせ言う。
太ったコックは怖気づき言う。
太ったコック:黒剣士様が食べる物ではありません。
ラスティーユ:そうかいそうかい私に出せない物をこの子には出せるのか。と片手に抱えた太ったコックを地面に下し鳩尾を一発殴り言う。
カリス:ちょっと姉さん。
ラスティーユ:黒剣士なめんじゃねえぞ金貨一枚あればそこら辺のうまい物は食えるんだ。田舎者なめんじゃねえぞおい。とコックの調理帽子を掴み上げ頬を平手打ちした。
太ったコック:ひやぁー殺される誰か自警団を呼んできてください。黒剣士に殺される。と地面を這いづって叫びをあげた。
その騒ぎにホイッスルを鳴らし自警団の男が2名駆け寄る。
自警団の男:道端の暴力は犯罪ですやめましょう。
ラスティーユ:暴力じゃない指導だ。それにお前達に法を裁く権利はない。金貨一枚だったよなくれてやるよと太ったコックの目の前に投げ捨てる。
さぁーおひらきだ帰った帰った。
老人:ありがとうございます。
ラスティーユ:いいんだちょうどムシャクシャしてたからな。それに小僧弱いのに大変勇気があるな私は感銘を受けた。
アクロス:なんとお礼を言ったらいいか。
カリス:大丈夫ゴーグルにヒビが入ってるよ。
アクロス:あぁ本当だ形見のゴーグルが。
ラスティーユ:形見のゴーグルかさっきの奴に請求してやろうと息巻く。
アクロス:いいんです。
ラスティーユ:そうか。お前所で眼が悪いのかいと指一本を差し出し言う。
老人この子片目がなんか見えないんじゃないのかい。
老人:そうなんです。強制労働の際に事故で片目が見えずらいようで。
ラスティーユ:眼科には行ったのかい?。
老人:いや私達の稼ぎでは病院なんて。
ラスティーユ:ちょっとこの子借りて行っていいかい。ちょっと合わせたい人がいるその人なら無料で眼も直せるだろうしね。人の心臓を拳で止める人だ。
眼位治せるだろうし。
そういうとアクロスの手を引き剣誓会本部に向かった。
カリスは歩みの遅いバクの頭を特殊グローブで掴みラスティーユとアクロスの後を追った。
剣誓会本部にて・・・
七つの剣が合わさった印のひざ元でヒンヤリした室内にて二階の階段を上がる。
ワインブラックの分厚い木の扉を開けると電子掲示板を眺めるロウハンが驚いた様子で振り返る。
ロウハン:なんだお前かどうした何か相談か。と革張りの椅子に腰かけ言う。
カリスはロウハンの姿を初めて見た。
丸渕の老眼鏡に不似合いなドレッドヘアーの黒装束を着る男だった。
ロウハン:それがお前の弟子か。随分と若いな。気迫から相当鍛錬しているように見える。
古龍派の認可がないのにまた勝手にガードナーを宿しているようだがね。
また自分勝手に弟子を増やしてお前はいつもそうだなラスティーユ。
その片目が見えずらそうな子もお前の弟子かね?。
ロウハンはラスティーユが口動かす前に心を読み言う。
ロウハン:そうかそうかまた厄介事を持ちかけてくるんだな。お前の才能を見抜く眼感心するよ。
それで眼を治せばいいんだな。そしてその子も不自由じゃなくなるしお前も両手ができるわけだ。
古龍派とはなんと寛大な組織なんだろうなと小言を言い終える。
ラスティーユ:もう小言は終わりましたか師匠。
ロウハン:師匠!?もういい見てあげようとアクロスを念力で引き寄せ立たせた。
視力を回復する目薬を一日数回十日に分けて注せばすぐ直る。
度重なる栄養不足で一時的に見えずらいだけよかったなお前の弟子は直ぐよくなる。
ラスティーユ:アクロスは弟子ではありません師匠。
ロウハン:おいおい私はてっきり弟子にするのかと思ったぞ。それに彼の隠れ住む才能は計り知れないと予言鯉が昨日告げている。
お前がでたらめしてくるだろうとな。それに狗龍会が出てくるとは報復は本気で覚悟するしかないのかな。
最近の古龍派の黒剣士育成は充実し犯罪の検挙率も向上しているが死人もたくさん出ている。
殉職した黒剣士の見舞金をどうしようか慰霊碑でも立てようか迷わされる日々を送っている訳だ。
これ以上厄介事はごめんだが私は奮い立っているんだ。
君と同年代の古龍派黒剣士の育成担当者達は日々精進している。近いうち君も参加した合同訓練を開こうか迷っている。世界に散らばって好き勝手やってるのは君くらいだぞ。
勝手に弟子は作るは裏の仕事に手を染めるは暴力沙汰を頻繁に起こすは頭が痛い。
それを穏便よく解決してくれる不死鳥派の皆さま方にお礼を言ってきてくれよ。
さてと本題に移ろう。古龍派黒剣士の皆さま方に胸に刻んでほしいのだがと電子版に語り掛ける。
悪蔓延る世界を無くすこれが古龍派黒剣士の大義名分である事を確認したい。
悪人が悪事で儲けた所を力で検挙し汚い金を総取りし未来ある黒剣士達の育成に使うため協力願おう。
皆仕事もそれぞれあるが一年に一回剣誓会本部に報告書を上げてもらう事を決定した。
マフィアや貴族の横暴な振る舞いなど断固として許しはしない。自分勝手に金を求めるのもいいが悪党をのさばらせてはいかん。気に食わない奴はどんどん上げて刑務所に叩きこむか市民階級はく奪も余技されない。手段は択ばなくていい悪い奴は全て陥れましょう。
裏の仕事を請け負う皆さま方にはぜひ協力していただきたい所存である。と全国ネットの電子版に向かい唐突に言う。
これを何人真面目に黒い絆で受信しているのだろうとカリスは思った。
そうすると後からロウハン了解や師匠了解などの声が電子版から聞こえてロウハンは頷き笑った。
あと適当な相打ちを打った者には寛大な処分を下すから覚悟しなさい。
カリス:えぇー!!と驚いた。
ロウハン様って一体何人の頭や心を読めるんだよ。
最悪なケースでハグレ剣士ってこうやって決まるのかなと思う。
ロウハン:そうそうアクロス君と言ったかね。君は黒剣士試験に合格しましたおめでとう。
明日からこの馬鹿垂れの弟子となる可哀想にと思えるが辛抱してくれ。
アクロス君に改めてガードナー手術を受けてもらいガードナーを授ける。
それと一番弟子のカリスさんには黒剣士の認可を授けると拍手した。
頑張って二人を一人前の黒剣士に育て上げることを望んでいるぞ。
アクロス君大事な話がもう一つある給料の事なのだが。剣誓会は月額振り込みなのだがそれが緊迫して非常に給料が少ないのが現状なのだよ。副業を込めた給料で生計を立ててくれ。
ラスティーユ君喜びたまへ二人の弟子が加わったことでその内に黒剣士の等級が繰り上げられることとなった。カリスさんの力を認めざるをえない。ということでこれを授与すると引き出しから一枚のカードを出した。後はコルセット副官に説明してもらいなさい。と一枚のカードを渡された。
副官室にて・・・
覆面剣士コルセット:そのカードの説明ね。おぉっとそれは黒剣士がどこでも行ける通行書です。バス、モノレール、路面電車が全て無料、要塞都市だってそれを見せればどこでも顔パスなはず。立ち入り禁止地帯でも行きたい放題の便利な通行書です。それを授与されています。生け簀かない髑髏査察官なんかの許しなど乞うことはない。
ラスティーユ:はぁありがとうございます。
覆面剣士コルセット:元気がなくないかね。そんなに不満かね。
ラスティーユ:私の稼ぎで弟子二人と一匹はちょっと・・・・
覆面剣士コルセット:人数多ければ過ごす日々も楽しいはず剣誓会の助成金も受け取れちゃうんだよ。
それではお仕事頑張ってちょうだい。
内線電話にて・・・
ロウハン:それでラスティーユは帰ったかコルセット。
コルセット:やはりロマリア帝国に送り込む人材はかなり絞り込めてきた。ロマリア帝国は貴族会合で土地を少し分け与えてやるだとさ。それで表面上は丸く収まるが復讐は必ず果たす。
ロウハン:そうだな貴族がなんと言おうと死んでいった者の弔いは誓いの剣にかけて果たす。
後とは王とそれを取り巻く月夜の重臣らを中央から引きずり落とす算段だな。
犯罪に流れる金の出所を追うと必ず貴族に繋がっていることは確実だ。
王は悠長に食事でもしているのだろうが必ずやその化けの皮剥いでやる。
コルセット:ダークネスの二の前だけはなりたくない。一度は王を助けて剣誓会の結成の承諾を飲んでもらったがね。
ロウハン:剣誓会が主体となる国造りは始まっているんだよ。王は二度死んでもらい苦汁を飲んでもらうじゃないか。今は裕福な貴族にも罪は償ってもらう。それが本来の目的だということは分かってもらいたい。もうこの国に王や貴族はいらないのだから。




