第14話、投げ捨てられた一枚の金貨
ミッドタウンの留置所に放り込まれ剣誓会狼我派の厳しい事情聴取を受けこりごりだと思った。
二人が留置所から解放され武器を返され二日も留置所を体験した。
ろくな飯も提供されなかったので二人は行きつけの黒山羊亭へと向かった。
片目が眼帯のゼノムが笑いながら言う。
ゼノム:酷い格好だ二階のシャワールームにでも行ってください。その間食事は用意していますから。
ラスティーユ:あぁそれと肉は分厚くレアで。
カリス:それじゃ姉さんが風呂なら私はレモンサワーを飲みながら仕事探しします。
ゼノム:最近ダークネス卿の残党がいい値段で手配されてるよ。
黒い狩人ナンバー2だった男黒剣士名前はルービスと言って弓の名手らしいです。
弓を引かせたら奴の右に出る黒剣士はいません。
しかもその弓が危険なんですよ。一度当たれば魂が抜けるとかなんとかで・・・・。
カリス:魂が抜ける弓使いかぁー一撃即死かぁーレートは?
ゼノム:レートは確か手配書にと電子版を出し言う。
7500万ルークと金貨500枚、ダイア石6000粒ですね。
相当高額で狙っている黒剣士は多いと思います。今の黒剣士らは実力がないから多人数で向かうのでしょう。
その話を聞き風呂から上がったラスティーユが頭をバスタオルでゴシゴシと濡れ髪を拭き言う。
ラスティーユ:高額な奴は一回痛い目をを見ているからね。気が進まない。
カリス:それなら仲間の交流を深めましょう。
ゼノム:王都でも回ってみては行ってはいかがでしょうか。七王都は広いし仕事もたくさんあります。
小さな山だったら半年は暮らせて行けますよ。ハグレ剣士とか悪鬼狩りとか魔女狩りとか。
今世界は悪い奴は山ほどいますから。最近窃盗団も幅を聞かせています。
カリス:まず仲間を増やしましょう。そして私はガードナーを出せるまで努力し修業します。
ラスティーユ:そうだねだけど信用できる仲間かぁー難しい問題だ。
金でもめたくないしね。金払いのいい奴どこかいないかね。
ゼノム:マフィアの令嬢の護衛なんかも募集してますし戦争の傭兵業も人気ですよ。
後は工場のアルバイトとか輸送護衛なんかもありますよ。
ラスティーユ:商人の輸送護衛に志願しようそれなら二人でやれるしそうしよう。
ゼノム:条件は三食飯付で報酬は500万ルークです。
無事に積み荷を届けてくれればさらに200万上乗せです。
カリス:ゼノム君仕事申請宜しくお願いします。
ゼノム:はい分かりましたと慣れた手つきで電子版に入力する。
それではミッドタウンの港の東側一番倉庫に行ってください。
深夜12時を過ぎた頃私達は黒装束の男から仕事内容の説明を受けた。
黒装束の男:おぉ来たかアタッシュケースだ。これを受け取り輸送船に乗ってくれ。
運が悪ければ荒くれた海を渡りオリバー島を実権支配する海賊と戦闘になるかもしれないな。
武装強盗団にも注意してくれ。アタッシュケースの中身は絶対に水没させてはいけない。
それともう一つ取引側の人間が来たらペンライトで取引の合図をしてくれ。
小さな島で取引を終えたら船長が無事にここまで送り届けてくれる。
もし取引が成功しなかった場合賠償金をお前達に請求するがいいかな。
カリス:そんな話聞いてないですよ。
ラスティーユはカリスの言葉をさえぎるように手を出し言う。
ラスティーユ:カリスいいんだ。その話で仕事を進めよう。
黒装束の男:それではこちらへといいアタッシュケースとラスティーユの腕に手錠をかけ輸送船へと招いた。
ラスティーユは胸にアタッシュケースを抱きかかえカリスを後に輸送船へと乗り入れた。
ぐらつく海上に足を取られそうになったカリスは言う。
カリス:本当に無事に帰ってこられるのでしょうか。
ラスティーユ:後先の事を考えても仕方ないさまぁいい気楽に仕事を終えよう。
夕闇と静けさの中で輸送船は汽笛を鳴らし海を走り出す。
海上の静けさが二人に不安を煽る中、少しして船長が声を荒らげ言う。
船長:確り掴まっていろよ今から大渦海流の中に突っ込むから少し荒れるぞ。
投げ出されたらもう生きては戻れない覚悟しろ。
次第に暗雲が立ち込める中船内に身を移した二人はため息を吐き言う。
ラスティーユ:黒いローブがずぶ濡れだクリーニング代は別に請求しよう。
カリス:それにしても海は初めてで足元が覚束ない。
船長:お二人さんあの小さな島が見えるか。あそこが取引場所だ。身を引き締めておけよ。
ここの海域では何が起こるか分からないからな最後まで気を抜くな。
ラスティーユ:はいはいと軽い返事をし船内に流れ込む塩水にさらされアタッシュケースを持ち上げ両手をめいいっぱいあげ言う。
カリス:海の水を初めて飲みました。塩辛いですね。あぁ喉が渇く。
大渦海域を抜けると月光に照らされた小さな島の白い浜に船を乗り上げた。
二人は小さな島に上陸するとアタッシュケースが濡れてないか目視し確認した。
カリス:アタッシュケースは何とか無事ですね後は取引相手が来るのを待ちましょう。
ラスティーユ:しかし蒸し暑い島だね。それにこの重たいアタッシュケースと手錠に繋がれた腕を下し言う。
足元には赤い子ガニが無数に這いまわりアタッシュケースを浜辺に下すとぐちゃっといい数匹が潰れた。
その音を聞きカリスは咄嗟に身構え笑った。
カリス:なんだ子ガニの群れを潰した音かといい安心した表情を見せた。
黒いブーツの裏をよく見てみると子ガニが這いまわり何匹か踏み潰した跡を確認した。
それにしても遅いですね。
海の潮風が吹き荒れる中暗闇から数人の取引相手らしき人物が現れ声をかける。
取引相手:すまない時間に遅れてしまって。それではこの鍵で手錠を解除しよう。
ラスティーユ:こんな厳重に一体中の物は何なんだい?。
取引相手:時価総額数千万はすると言っておこう。この世界を変える物とでもいうかまぁ見ていろ。
ラスティーユはアタッシュケースを取引相手に無事に渡すと取引相手が一枚の金貨を投げ捨て言う。
取引相手:試作段階の剣誓会新兵器の実力をといいアタッシュケースを開きながら言う。
それに反応したアタッシュケースの中身の者が暗闇を駆け抜け飛び出した。
不思議な物体が金貨をあっという間に体内に取り込みドロドロに溶解しゲップした。
その緑色の者はプルプル震えるながらこちらに這いずって鳴き声を上げた。
その人工生物は真っ黒な垂れた眼に波打った口が特徴的なゲル状の者であった。
彼は怯えたようにこちらを見上げ鳴く。
カリス:なんですかこの生き物は?
取引相手:これが剣誓会が実験段階の人工生物ゲルスライムだ。飛び交う物に反応して体内に取り入れ溶解する。飛び交う銃弾もその目で捕え対ロマリア戦で活躍するため作り出したのだ。
怯えたように見えるが彼は至って真面目なようだ。
彼はサンプルだが特に優秀な検体だ。これとガードナーを合わせた黒剣士は無敵の兵となろう。
だがまだ幼稚なようで言葉を発する機能が無いように見える。
今から彼を連れてここを根城にしている海賊の討伐を別件でお願いすることになるがいいか。
検体の優秀さを判断したいのだ。謝礼ははずもう。
どうだね最新兵器の始動をお願いする形になるが。データ次第では500万ルーク上乗せしよう。
何ならず者の海賊風情だアメジストを胸に飾っているあんたなら楽勝な仕事さ。
断るのならばそれはそれで構わない。無理強いはしないよ。
カリスは地を這う緑色のゲルスライムを健気に見て言う。
カリス:おいで怖くないからと両手を差し伸べる。
取引相手:おっと気を付けろそいつは何でも溶かす素手で触ることは危険だ。この特殊素材でできたグローブを着用してくれよと焦って告げる。
ゲルスライムは悪びれることなく口をぶるぶる振るわせ欠伸しやる気がなさそうな眼でこちらを見上げる。
ラスティーユ:本当にこいつが私達を守ってくれるのか。なんだかやる気が感じられないなぁー。
カリス:姉さんと同じだねと小さく笑い言う。
ラスティーユ:いやこいつと同じ扱いはごめんだね。私はこいつよりやる気はあるよ。
そうだこいつに名前を決めようその方がこいつのためだ。
食い意地が張った感じだからそうだなぁー。
カリス:バクバク食べそうだからバクがいい。呼びやすいしこの子の名前はバクにしましょう。
バクおいでぇー。とグローブを両手に装着しながら頭をなでると照れたように体をデロンとさせた。
ラスティーユ:こら勝手に名前を決めるな。と大声を上げる。
カリス:姉さんバクが怖がっていますよ。こんなにプルプル震えて地面に同化しています。
ラスティーユ:本当に臆病な奴だなお前はさ。こいつに背中預けて大丈夫なのか?。
こうして姉さんと私とバクとの旅路は始まりを迎える。




