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ダークな感じさそれでいい  作者: 濱上翼
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第11話、誓いの剣とムートンの約束

オークバレイの五番街に店を構える鍛冶場ムートンの憩いの場について店の前で雪ダルマのような体格のムートンが鼻歌を歌いながら溶かした鉄と鋼を激しく火花を散らせハンマーで叩いていた。

煤だらけの厚手の手袋で顔を擦ったため頬に煤がついている。

細い職人の眼には誕生する剣を真剣に見つめどこか黄昏ているようだ。

ラスティーユが作業中のムートンに声をかけるとびくっと体を震わせ怯えた表情を見せた。

勝気なムートンは直ぐに動揺を抑え言う。

ムートン:なんだいお客さんかい驚かさないでくれよぉー注文の品ならもうすでに出来ていますぜ。

完璧な仕事がなされた剣を今出しましょう。と鼻歌を歌いながら言う。

その時だ広告塔の液晶画面からダイア紙幣暴落と金貨の値段高騰の報道が入る。

ニュースキャスター:今入ってきた情報です。先の戦争で失ったマリンフィル立て直しにあたり難民が増えダイア紙幣の価値が七王都中で暴落しています。それに比べて先の取引市場ではオーガ金貨の値段が高騰しています。

ムートン:なんだってダイア紙幣暴落だってガーン昨日では1ダイアでオーガ金貨3枚の価値だったじゃないか。今の価値で1ダイア銀貨5枚だって大損じゃぁー銀貨10枚で金貨一枚かよ。

これはドクダミ茶を飲んで自決しないといかんどうしよう。蝉取りの子に払える額は用意できない。と鍛冶場の足代に足を置き鉄骨から吊るされた縄を握りしめ息を吐き首を差し出そうとし我に返る。

ラスティーユ:くそー金貨二枚おいてきたけどこっちも大損だよ。

ムートン:そうだ貴方たちいいところに現れた誓いの剣の代金はいらないから一つ仕事を受けてくれないか。ルーク紙幣でお代は払うから。ウッドの森に住む蝉取りの子ジャスに会って仕事を手伝ってくれないか。ただ虫網と籠があれば簡単にできる仕事なんだ。その子と約束したんだ魔よけの蝉のブローチを作って大儲けしてミッドガルの風俗店で豪遊しようってね。そのためにダイア紙幣を集めていたんだが今のニュースを聞いて愕然としている状況だ。個人的なお願いで申し訳ない。

こんなことを頼めるのは黒剣士さんしかいないんだよ。そうじゃないと虫取り連中からボコられて明日にはナロの川に浮いてるかもしれない。どうかおじさんを助けておくれ。

男として彼らの約束を破るわけにはいかないんだ。

その代価に500万ルークする誓いの剣をタダにしよう。どうだいいい話だろ。

ラスティーユ:5っ500万だって剣一本がそんなのぼったくりだよ。

ムートン:僕の時給は高いんだぜだって一流の鍛冶師だからね。鉄と鋼はミスイラル鉱だぜ。

そりゃ値もはるしそこらへんの親父が打ったしょうもない剣じゃないんだぜ。

カリス:はい分かりました誓いの剣の代金の代わりにその仕事受けましょう。

ラスティーユ:正気かいカリス。もじゃもじゃの蝉をとるんだぞあんな気色の悪い者触りたくもないね。

カリス:それじゃお金がない私達がルーク紙幣500万払えますか。姉さんのメンツを立てるため仕事を受けましょうよ。

ラスティーユ:はいはいあんたには借りがあるからね。

その声にムートンは眼を輝かせ特注の虫取り網と虫かごを用意してくれた。そしてジャズがいる山小屋までの情報を黒い絆にデータ通信した。

涙目のムートンに見送られ両手に虫取り網と籠を持ちラスティーユは憂鬱な表情を浮かべる。

私カリスは出来上がった朱色の誓いの剣を自慢げに見つめ何回か素振りをしながら獣道へと向かった。

山にはせわしく蝉が鳴く、ラスティーユはその鳴き声を聞いて耳を塞ぎ辺りに殺気を放ち言う。

ラスティーユ:天下の黒剣士が蝉取り馬鹿げている。

こんな気持ち悪い虫けらを捕ってブローチを作るだって変態の域を超えている誰が買うのさあのバカムートンめ人の足元見て面倒な仕事を依頼しやがって。

真っ黒く淀む獣道をひたすら歩くと開けた場所に山小屋が見えた。

杉の木で作られた丸太の山小屋の玄関に落ち込む表情の少年が座っている。

多分彼がジャズだろう。私達はジャズに話しかける。

カリス:貴方がジャズさんですか?私達はムートンさんの依頼で来た者です。

ジャズ:そうかいあんたらが蝉取りの・・・ムートンの親父から連絡はもらっているよ。

そんじゃ早速ですまないが全身虹色の蝉を見つけてもらおうか。

そいつを十匹仕入れたら仕事は終わりさ。まぁこの山舐めてると死ぬけどね。

運が悪ければ大熊は出るし虹の蝉の飛ぶ速さが尋常じゃないしね。

あんたら蝉取り初心者には難しいと思うけどね。まぁ頑張って僕は用事があるから失礼するよ。

ラスティーユ:おいおいお前も手伝ってくれるとかないのかいこっちは蝉取りなんてしたことがないんだ。

黒剣士で剣一本で飯食ってきた蝉取りなんてダサいことしたことがないのさ手本とか見せてくれるんじゃないのかい。

ジャズ:何甘いこと言ってるのさ。蝉取りに手本なんてない。子供でも考えればできる仕事だよ。

カリス:一つ質問があります。虹の蝉って餌とかでおびき寄せたりできますか?。

ジャズ:そいつは無理だね。そもそも虹の蝉って言うのは成虫になる瞬間にしか現れないんだ。

蝉として生まれる瞬間に捕えてこの特殊な液体をハケで縫って任務終了さ。

この山は広い今日生まれてくる蝉を見つけるのは至難の業だがあんたら黒剣士なら軽い仕事だろ。

足は普通の人間より早いし聞いた話では黒剣士は空も飛べるんだろ。

カリス:確かに俊足は使うけど空は飛べません。

ジャズ:そうなのかいまぁいいや頑張って。といい小瓶を投げ渡しさりげなく去って行った。

ラスティーユ:感じの悪いクソむかつくガキだねぇー。しかし簡単な仕事じゃないよ。

蝉が生まれる瞬間なんて想像もできない仕事だよ。

カリス:これは骨が折れそうですね。手分けして生まれてくる蝉を見つけましょう。

ラスティーユ:あぁ私はこっちの獣道から順番にあたっていくよ。

しかしこの歳になって虫取りとはどうも気が進まないね。

大の大人がやる仕事ではない一体蝉を使ってどのような効力があるブローチを造ろうとしてんだいまったっくさと愚痴る。

カリス:それも立派な仕事ですから嫌がらず速やかに任務を遂行しましょう。

私はこっちから探していきます。10匹ほどだったら昼ぐらいには終わるでしょう。

さぁー仕事仕事とラスティーユに激励を込め話しかける。

ラスティーユ:そうだここで黒剣士の移動術をお前に教え込もう。木の合間を縫って走る術を教えよう。

名付けて俊足だ。だがお前は体にガードナーを宿しているのかい?。

カリス:はい黒剣士ですから当然ですと臍のピアスを見せる。

しかし勉強不足でまだオーラを具現化できません。

ラスティーユ:はぁーそうかいなら教えることは多いな。とため息を吐く。

まず足に体重を乗せオーラを地に這わせる感覚を覚えろ。

草木から微量の生命エネルギーを集めううん何と説明していいか。まぁいいやとにかく私のするとおりにやって見ろ。

そういうとラスティーユは足に力を込め足全体に赤いオーラを溜めた。

辺りの草木から吸い寄せられるように生命エネルギーが集まり地面を踏み鳴らした。

少しジャンプし身軽になったように足を前に出すと地面を力いっぱい蹴り上げ走る。

ラスティーユは軽く弾むように走ると、赤いオーラを全身に纏わるりつかせ残影を残し木々を走って見せた。

赤いオーラを手にも通わせ木に熊の樋爪のような跡を残しながら私の背後に立つ。

どうだい楽しそうだろ。なぁーに簡単さお前ならすぐ飲み込めるはずさ。と強化した手でカリスの背を叩くとカリスは後ろ頭を金属バットで殴られた衝撃を受けよろめいた。

それを見たラスティーユは笑いながら言う。

ラスティーユ:あぁすまない少し荒療治が過ぎたか。

カリス:いてぇーと涙目になりながらも鬼のようにゲラゲラと笑う姉さんの顔を見上げ言う。

凄い痛いけどそこまでなるには一体どれくらい修業が必要なのですか。

ラスティーユ:そうだなぁー二年と半年くらいかな。まぁ走る程度なら個人差によるが二日かな。

全然覚えが悪ければ戦場で死ぬまでだ。このくらい見習い黒剣士なら当たり前にできることさ。

カリス:そうなんですか黒剣士って凄いですね私も頑張ります。と自分に気合を入れる。

ラスティーユ:しかしねこれを覚えた所でどうせ私達は黒剣士なんだ。一生剣誓会にこき使われ蚊と同じように死んだかくたばったかと言われるのさ。誰にも愛されることはないのさ。

カリス一人強くなってらないでお前も大切な仲間と共に歩みなさい。

友の数は自分を強くしてくれるからね。多くの人達と分かち合いなさい男でも女でもいいからそしてお前は最後に自分が覚えてきたことを弟子たちに教え受け継がれていくのさ。これが黒剣士なんだとね。

今は分からないかもしれないが多くを学ぶことを私は願っているよ。

さて仕事に移ろう早く覚えられるといいねそんじゃy私はこの山の西側から行こうかね。といい速度を強化し走り出した。

風を切ってラスティーユは消える速さで獣道をかき分けていく。

冷たい風が吹き荒れる。姉さんと私の実力の差を感じさせられた。

カリス:風を切って走るってどういう感じなのだろうか。私も死なない程度に努力しようと思う。

早速やってみよう今の私の力量では靴裏に集めることしかできないが。といい蒼いオーラを靴裏に通わせた。

するとカリスは地面に張り付いて動けなくなり棒立ち状態となり足掻いた。

足が全然動かないまるで粘着テープに縛られたようだ。

くそーといいながらもオーラを弱めるとガムが靴裏に引っ付いた程度になりねばねばと足を上げた。

そうだこれでオンとオフを切り替えて木を駆け上がればいいんだ。

少し調整してみようといい足裏を滑らせまた地面を転げ足を救われた。

地面に顎をぶつけ仔馬のように立ち上がり自問自答を繰り返す。

氷の上を走る感覚をカリスは覚えた頃には二時間が経過していた。

蝉取りの仕事そっちのけで足掻くこと二時間自分なりの移動術を覚える。

オーラのオンオフを繰り返し木々を渡れるようになっただが大変疲れるので頭に熱を帯びてきた。

そうする頃には蝉らが徐々に蛹の姿から成虫に変える時間が訪れる。

蝉の蛹は二つに割れ湿った羽根を従わせ虹色の成虫へと進化を遂げる。

私はこんなにも美しい生まれ方をする虫を見たことがなかった。

心の中で思わず綺麗な生まれ方をするのだと思った。

それを殺すのも仕方ないが薬品を塗り三匹捕まえ姉さんに黒い絆で連絡することにした。

ラスティーユの黒い絆が振動するとラスティーユが答える。

ラスティーユ:なんだいもう捕まえたのか。私は疲れて昼寝をしていたよ。藪蚊やハブに襲われて顔や手や足を噛まれたところさぼこぼこになりながら蝉を12匹は捕まえたけどね。

いい感じの色合いだね蝉の成虫を見て感動したよ。

記念に私も何匹かもらおうと夢中になり捕まえたさお前は3匹かこの勝負私の勝ちだねはははと高笑いした。

そう言い放つと姉さんとの実力の差を思い知らされ私達は小屋に戻り生意気なガキにジャズを叩き起こした。

ラスティーユ:ほら捕ってきてやったぞ小僧と虫かごに虹色の蝉を詰め込み投げ渡した。

ジャズ:おおしかし酷い顔だなお二人さん。数が多いがまあいい。

そんじゃ代金だと金貨が詰まった袋を渡した。

小銭を数えながらラスティーユは言う。

ラスティーユ:一つ虹色の蝉のブローチを記念に貰いたい家に飾ろうかと思うのだが。

ジャズ:魔よけの蝉のブローチかい。蝉の数も多いしタダでやるよ。

だがこいつの効果は余り期待しない方がいい。期待されるとおいらが嘘つきと思われかねないからね。

黒剣士の仕事って凄く危険なんだろ修羅場をくぐり抜けるんだろ。

こんな蝉一匹の幸運じゃ守り切れないと思うよ。

カリス:いいんです姉さんとの思い出の品として大事に扱いますから。

ジャズはしぶしぶ蝉のブローチを作りながら二人に渡した。

蝉のブローチを見てラスティーユは呟いた。

ラスティーユ:蝉は可哀想だな何年かかけて眠りから覚め夏になると精一杯鳴き喚く人によってはうるさく感じるだろう。だがそれが奴の仕事なんだ。蝉は可哀想な生き物だな。最後は地面に落ちて蟻の餌になるんだから。私はそんな生き方は嫌だな。落ちてくるのを待って蟻から食われるなんてね。

カリス:蝉ってなんのために生まれてくるのですかね。

ラスティーユ:そうだな皆に恵みを与えるためだろうな。

そういうと寂しそうに二人は蝉のブローチを眺めた。

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