第10話、戦場の疫病神
その頃眼を白黒させながら大蛇の毒気にやられたラスティーユはカリスの治癒石の治療と吸出しや酢で傷口を洗う応急処置を受け病院に運ばれた。
ラスティーユは小汚いベットで悲鳴を上げていた。
カリス:直ぐに毒を吸い出して酢で洗い流したのですが。それでも苦しそうなんです。どうにかしてやってください。
医者:すまないねここに髑髏査察官が来て必要な薬品は全部取り押さえられてね。
髑髏査察官の館で申請をしないと薬は一切出せないんだ。苦しむ患者を救ってやりたいがあの方の視察は厳しいのが現状なんだ。心苦しいがあの方には逆らえない。子供を平気で殺すような方だ何か手違いがあったなら私だって殺されるかもしれない。私達の苦しみを分かってくれ。
カリス:そんなその髑髏査察官の館はどこにあるんですか。
医者:近くだと大都市ミッドガルだね。そこに陰険な女アスラがいるよ。その方と話を通してくれ。
点滴に繋がれ絶叫を上げるラスティーユのため私はサザンクロスに乗り込み髑髏査察官のいる館を目指すこととなった。
カリス:待っていてください直ぐに助けます。姉さん死なないでください。とサザンクロスに乗りハンドルを回した。
バイクのエンジン音が高鳴りオートマモードで走り出す。
バイクの正面にある液晶画面の案内板がミッドガルドまでの道のりを示す。
私はその道順を確認しサザンクロスの速度を上げた。
塗装されてない凸凹道に腰の筋肉が悲鳴を上げるが速度を緩めることはなかった。
ミッドがルドまで1000キロの道のりは遠く過酷なものだった。
雲の隙間から雨が降り注ぐとジャジャブリになり黒い戦闘服と黒いローブが水を吸い重くなった。
風も冷たく凍える手でハンドルのグリップを回す。
車輪は左右にブレながら速度を落とす中やっと半分までの距離を稼ぐ。
その道中髑髏の顔をした不健康そうな霊が話しかけてくる。彼女は全身緑色の顔に片目が赤く光っている。そよ風を浴びたべったとした長い髪が特徴的だった。
私は彼女を見て驚き急ブレーキをかけた。
戦場で彼女に会った者は悲運な生涯を閉じるという。そう彼女の名前は戦場の疫病神だ。
戦場の疫病神ルーシー:あららそんなに慌ててどうしたの?。と真っ赤な片目を光らせ髑髏顔がこちらを覗き込む。彼女は人の心を多少読めるらしい。
それを察して彼女は言った。
戦場の疫病神ルーシー:そうそうなのね誰か大切な人が死にそうなのね。うんうん分かるわ。
誰も死ぬのは怖いモノネでも大丈夫それも自然の摂理なのね。
カリス:うるさい死霊私は急いでるんだと睨みをきかせる。
戦場の疫病神ルーシー:あら怖いしかし大蛇の毒を全身に受けている師匠は後数日で確実に死ぬわね。ミッドガルまでの長旅の道中行けば行くほど師匠は助からわないはよ。私にいい考えがあるは大蛇の毒に聞く特効薬があるのそれを飲めば師匠はきっと元気になるわよ。
カリス:それは本当か!?
戦場の疫病神ルーシー:うんうん本当よ急いで道案内したいけど私のスピードは風任せ追い風だったり迎え風だったり気分次第ね。
カリス:場所を教えて頂きたい。
戦場の疫病神ルーシー:うんうんいいわよでもあそこの崖に生えてる藻が必要よそれと約束の滴がいるわ。
カリス:約束の滴初めて聞く薬だ???。
戦場の疫病神ルーシー:約束の滴は私の涙、私を悲しめることができるか爆笑させることができたときに流れる涙の事ね。
カリスはサザンクロスを道端に投げ出し剣を戦場の疫病神ルーシーに放った。
戦場の疫病神ルーシー:まだ自己紹介もしてないのに本当に貴方は失礼な奴ね。
そんな剣術じゃ痛くもないけど結構疲れるのよ人体再生は・・・・。
私の名前はルーシー皆は戦場の疫病神というわといい片目を赤く光らせた。
所で貴方の名前聞いてなかったわねとカリスの飛ぶ斬撃を交わし言う。
カリス:私は世界を股にかける黒剣士志望の見習い黒剣士カリス=グローバンだ。といい剣を空に滑らせた。
ルーシー:あらら鋭い剣捌きねでも下がお留守よと透き通った緑の足でカリスの足を引っかけくすくすと笑う。
カリスは地面に顎をこすり付け剣を投げ出した。
カリス:全然私が培ってきた剣術がきかない。
ルーシー:黒剣士なら俊足という足技を覚えないと後ガードナーとの攻守を覚えておかないとね。
まず俊足は自分のオーラを足に集めて筋力疲労を軽減させ素早い足技を使うこと。
それを覚えたら今度は足と手にオーラを通わせ剣の強度と素早さを上げるのよね昔苦労して覚えたわねぇ懐かしい。この体になって100年は経つけど貴方を見てると必死に戦場を駆け巡った時を思い出すわね。
カリスは地面に腰を下ろし足にオーラを集中させる作業に移る。素直なカリスは直ぐに俊足を使えるまでに成長したが二箇所のオーラの使い分けまでは難しかったようだ。
時々剣がぶれ飛ぶ斬撃が微かに弱さを見せる。それを見た戦場の疫病神ルーシーは鬼の形相でカリスに鬼軍曹的な指導を続ける。
しかしその頃ラスティーユは心肺停止の危篤状態であった。病院が騒ぐ頃カリスは黒剣士としての術を戦場の疫病神ルーシーから指南を受け楽しく成長を遂げた。
戦場の疫病神ルーシー:うんうん関心関心私は成長したあなたを見て感動したわといい約束の涙を流した。
カリスは息を切らせてずたずたになった体から血を滲ませていた。
銀色に束ねな髪を見出し約束の涙を小瓶に貰い急いで急斜面を登り崖に生える苔を採取した。
そしてサザンクロスを走らせ戦場の疫病神ルーシーは白いハンカチで涙を拭いながらカリスを見送った。
彼女は号泣するとすっきりしたように風に舞い心を躍らせ消えた。
カリスがオークバレイについた頃にはラスティーユは白い棺桶の中に入り中には野花が敷き詰められていた。
カリスはラスティーユの死を受け入れられずラスティーユに約束の涙と崖に生えた苔を配合し作った物を口に流し込んだ。
そしてカリスは心の底からラスティーユの魂を呼ぶ叫びをあげた。
その叫びが聞こえたのだろうか部屋中が一瞬真っ赤に燃え上がり一瞬にして静まり返った。
するとラスティーユの体がぶるぶると震えラスティーユは眼をかっと開いて蘇った。
ラスティーユ:なんだ私の体か、誰か呼んでいたのはお前だったか。どうやら私は一回死んだようだ。
だが不思議なことに呼び戻されたみたいだね。未熟な弟子を残していくもんかい。と涙を浮かべるカリスの頭を軽くさすり言った。
カリスは号泣しラスティーユの体を抱きしめた。ラスティーユは体を起こし言う。
ラスティーユ:時間は潰せたようだそろそろ出来上がっているだろうさ取に行こうか。
安心しなお前が誓いの剣を受け取る所を見ないで死ぬもんかい。一世一代の黒剣士の始まりの儀式だよ。さぁ行こうカリス。といい棺桶から這い出し立ち上がった。
なんだいこのセンスのない安い花はこんな最後はごめんだよ全くといい黒装束についた花や草を払い言う。
しかし威勢のいいラスティーユは空腹から足をもつれさせよろめいた。
ラスティーユ:その前に腹ごしらえいいかい。
医者:本当に死人が生き返ったぞどうなっている。と驚いた表情を見せる。
カリス:大丈夫ですか姉さん
ラスティーユ:あぁ食ったら治るよといい病院を出ていく。
何事もなかったような表情で普通にレストラン街を行くラスティーユを見てカリスは彼女の凄味で驚くばかりだった。二人は一軒のレストランに入り普通死んだんのにこんなめちゃくちゃな量の注文するかよと思う。レストランの注文票にある料理の殆どを頼み。ナイフとホークをカチカチ鳴らし子供のような表情を浮かべる。
眼と耳は全ての状況を判断し料理が作られる工程をまるで見ているように言う。
ラスティーユ:あぁそこはもうちょっと塩コショウで味付けして・・・早く来い私は腹が減って死にそうなっだよ。と無邪気に涎を垂らし待つ。
首元のナプキンを何度も直しながら料理を皿ごと喰うかの如く平らげる。
チキンの骨を口から弾き身だけを口の中で分け器用に食べる。カリスが料理に手を伸ばそうとすると鋭い眼光が威嚇してくるような感じに襲われる。
姉さんは次々に料理を口に運ぶが綺麗に食べる方なんだと思う。
豪快な食べ方なのに口の周りにつくソースの影さえない。私がそれを見て動揺してナイフを落とすと鋭い眼光と拳が飛んでくる。
ラスティーユ:黒剣士たるもの食事は迅速に食べ物は無駄にしてはいけない。
音を立てるのもはしたない。出された料理は全て完食以上。といい食べ進める。
後ナイフとホーク捌きは剣より旨くなるように。さぁーて遅いと食いそびれるよ覚悟しな。
カリス:はいぃ!!!といい目の前に置かれた料理に必死で向かう。
ラスティーユ:食べながら喋るなよ口の中の物を処理して話したい時は話すように以上。
カリス:一度死んだ人とは思えないほど元気な方だ。
姉さん戦場の疫病神ルーシーから手ほどきをしてもらい姉さんを生き返らせる秘薬を調合したんだけど。
ラスティーユ:何あの野郎のおかげで私は生き返ったって言うのかい冗談じゃないよ。
あいつとは古い付き合いだがそんなことは聞いたこともない。
あいつは最低な屑野郎だってことは確かだ。あいつに何人仲間が嵌め殺されたことか思い出すだけで気分が悪くなるよ。
あれは数十年前ウッドの森奪還作戦の時だったか。その頃私は黒剣士になりたての時で奴と出合った。
上官が死霊の情報で戦を進めたのさ。その頃ウッドの森は悪い猫族のたまり場で黒剣士は毎日激闘を続けていたのさ。
猫族は森の精霊と話ができて木人を動かしていてね。あれにはほどほど手を焼いたよ。
不死鳥派の黒剣士総動員してウッドの森の大半を焼け野原にするほどの戦だった。
その時後方支援していた私は戦場の疫病神ルーシーから仕入れた情報で動かされた。
敵の後方に出る獣道を紹介されたのさ。それが大きな間違えだった。あのまま後方支援だけしていれば仲間は死なないで済んだのさ。
獣道の続く先は想像通りさ敵のど真ん中さ。私は必死に誓いの剣を振り戦った。
猫族の血の生臭かったことは今も覚えている。このワインより濃いべっとりした濃い血だったよ。とワイングラスを回し真剣な表情を浮かべ語る。
その頃右も左も同じように見える森の中、死への恐怖心は胸を覆うし信じていた上官は猫族の槍に射抜かれ死ぬし死への恐怖で誰が誰だか分からなくなるほど追い込まれ錯乱していたよ。
精霊の声は今でも耳に残っている。奴らは死を誘ってくるのさ。
こちらは100人足らずの小部隊だった敵は軽く1万は超えていた。一キロ先には味方の黒剣士部隊が戦っている声はだけは聞こえる。あそこまで行かないと私達は全滅さ。
そんな状況で私は戦ったのさといいテーブルの肉にホークを突き立てた。
私はそんな状況下に投げ出され仲間に獣道まで戻ろうと言ったんだ。私は正直敵の数を見て怖気づいたのさ。
だが奴は違った。あの糞野郎、戦場の疫病神ルーシーさ。仲間のガードナーを暴走させて敵陣に突っ込ませやがったのさ。私はまだその時ガードナーも使えない素人同然だった怖かった。
仲間が苦しそうな表情を浮かべ怒りと狂喜に変えられていく様を。
もしそこでガードナーを切り離したら黒剣士としての運命は終えるだろう。
黒剣士としてガードナーを失う怖さは死に近いことを知っている。
ガードナーを使えない黒剣士は上級の黒剣士と言えないのだからな今まで培ってきたものをそう簡単には捨てられないだろ。
そして私は皆に掻き立てられるように敵陣ど真ん中を必死に戦い敵を斬り殺して行ったさ。
先頭切って猫族の首を数百吹き飛ばし怖気づいた心を癒すようにして血で血を塗り固め黒装束に血の匂いを染みつかせたさ。心に言い聞かせたさ。剣を止めた時点で自分は死ぬんだと。
その時神は救ってくれたよ仲間の別働隊が斬り込んでくれたのさ。
私は助かったと思い気が抜けて安心からか小便を始めて漏らしたさといい笑った。
まぁ戦場の教訓は死人良い奴はいないってことだよと苦笑した。
さぁそろそろ行くかあぁー腹が膨れる喜びに感謝します。ごちそうさまでした。と手を合わせた。
そしてテーブルに金貨を置くと彼女は足早に店を出る。
カリス:姉さんちょっとまだ食べ終えてないんですけど。と店から出るラスティーユを追いかけた。
澄ました顔で歩く姉さんは街角のデータ通信社に入った。
データ通信社の中は白い本棚にレコードのジャケットのような物が所狭しと並ぶ。
アニメの絵が描かれた物や難しそうな字が書いた物、種類は様々だ
その中でラスティーユは毎週配信されるお気に入りの新刊のデータを手に取った。
それは漫画のイラストが描かれた四角い封筒だった。
ラスティーユはニコニコしながらそれをすかさず手に取ると店のレジに向かい会計を済ませた。
そして入口付近で袋とじを開け中身の小さなデータ媒体を取り出し黒い絆に差し込んでインストールさせた。時間にして5分待ちそれをタッチパネルの四角い黒い箱とコードに繋げた。
画面をなぞると絵が現れそれを指でなぞった部分が声優の声を発し躍動感ある物語を語る。
姉さんは一人の世界でイヤホンを耳につけニコニコと笑う。
姉さんは楽しそうだ私はつまらない様子で姉さんを見上げた。
私は姉さんが漫画を読破するまでしゃがんでため息を吐き待った。




