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page 21 −心の隙間ー

海憂みゆう第2章ー

「ただいま〜!!」

「海憂、今、帰ったぞ〜い!」

「拓斗〜おかえり〜」俺はひさびさに海憂の待つ家に帰っていた。


「海憂〜〜〜」

「拓斗!」

「なかなか帰ってこれなくてごめんな・・・」

「うん、大丈夫だよ、今、ここに拓斗がいるから大丈夫」

海憂はいつものように元気にふるまっていたけれどなんだか少し痩せたように見えた。


「あ〜風呂、入っていい?」

「うん、沸かしてあるから入れるよ〜」

「お〜サンキュ!」


<ちゅ!>

俺は海憂のおでこに軽くキスをした。


拓斗が久々に帰ってきたのになんだかわたしはちょっとせつなくなった。

それは彼の洋服にしみこんだきつい香水の香りを感じたからだ。


売れっ子になればなっていくほど外で女の人と会う機会なんていくらでもあるんだろうけど

その現実を感じてしまったわたしは悲しくなってしまった。

彼と一緒にいるはずなのに、やっぱり孤独を感じてしまう。

彼が俳優の道を目指すとわたしに言ったときから、こんな時がいつかくるんじゃないかと覚悟は決めていたけれど・・・

わたしは欲が深い人間なんだろうか?彼がわたしの元に帰ってきたというのにそれ以上のなにをのぞんでいるんだろ?

わたしは、食事の支度をしながらそんなことを考えていた。


「あ〜あち〜久々にいい風呂だった」

「さっぱりした?」

「あ〜」

「海憂・・・」

「うん?」

「こっちへおいで・・・」

「うん・・・」


俺は久々に感じる海憂の肌のぬくもりを確かめたくてそのまま、彼女を抱いた。


こうして彼に抱かれててもどこか物悲しいのはなぜ?

心の隙間を感じてしまうのはなぜ?

拓斗、あなたはちゃんとわたしを愛してくれてるの?

わたしはあなたをちゃんと見ていられてるのかな・・・?


「少し痩せた?」

「え〜そうかな?もしかしたら痩せたかもね」

「よけい胸がなくなちゃったじゃないか・・・」

「よけい、ってなによ?ひどいなぁ、拓斗ってばなんてこと言うのよ・・・」


そんないつもと変わらずに軽口を叩く拓斗を感じて

わたしはさっきまでの不安や孤独は帳消しにしようと思った。


でも、そんな日からほどなくしてその思いを裏切るかのような出来事がおこったんだ。

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