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page 16 ー新しい生活ー

海憂みゆう第2章ー

登場人物

古坂拓斗こさかたくと 21歳 俳優をめざして日々がんばっているがなかなか芽がでないでいる

帆苅海憂ほかりみゆう 26歳 拓斗の恋人 拓斗のことを陰日向かげひなたになり支えている

成瀬愛実なるせまなみ 21歳 拓斗の幼なじみ 

斉藤雅弥さいとうまさや21歳 拓斗の同級生 高3の時知り合った美咲と婚約中

山本美咲やまもとみさき21歳 雅弥の婚約者

☆関耕作・聡美(せきこうさく、さとみ)拓斗が高3の時バイトをしていた海の家 潮騒のオーナー

前本康まえもとこう 30歳 海憂のよき相談者 海の家 潮騒のスタッフで6歳の男の子のよきパパで海の男

八坂充やさかみつる  38歳 拓斗をモデルとしてスカウトした人物

山根誠やまねまこと  34歳 拓斗のマネージャー 仕事に厳しい反面 拓斗の兄貴のような存在 俊敏マネージャーという噂も 

石本麻衣いしもとまい 23歳 女優 拓斗の恋人と噂されている                



「う〜さぶ〜」

「ほんと寒〜い、ここってばでっかい建物ばっかで、ビル風ってのがとっても寒いんだもん!」


俺が去年の夏、海憂をあの海に迎えにいってから半年が過ぎた。


「俺と一緒に東京へ行かないか・・・」

「俺と一緒に東京で暮らさないか?」

「いいの?本当にいいの?」

「あ〜、俺は海憂とずっと一緒にいたい・・・」

「拓斗、ありがとう・・・」


俺が21歳 海憂が26歳の夏、俺は彼女にそう言った。

それからほどなくして海憂はここ東京の街へ出てきた。


「石吹はこの時期でもこんなに寒くないもんなぁ〜」

「そうだね、あっちはもう少し暖かいかも・・・」

「海憂?後悔してるか?」

「えっ?なにを?」

「俺とこんな都会のど真ん中で暮らして、お前にとっては窮屈きゅうくつなんじゃないかと思ってさ・・・」

「う〜ん、そんなことは思ってないよ、だってわたし自身が決めたことだもん、それよりあなたとここで暮らせていけることが

今はとっても嬉しい・・・」

「そか・・・」

「お前はコテコテの海女(うみおんなだから、海が恋人みたいなもんだったからな」

「うん、たしかにコテコテの海女うみおんなだったかも・・・」

「?」

「でも、その海に飲み込まれて浮かんでこれなかった人」海憂はそう言って自分の指で自分のことをさして笑っていた。


そう、海憂はプロサーファーを目指して頑張っていた女だった。

プロサーファーのテスト当日、彼女の元彼が亡くなり、それをきっかけに彼女はプロの道へは進まないことを決め、

それから3年後、ここ東京まで出てきたのだった。


「は〜やっと着いたね〜」

俺は海憂が上京してきたことをきっかけに彼女と一緒に暮らし始めてた。

俺と彼女が暮らすアパートはけっして贅沢な感じのとこではなかったけれど、2人で暮らしていくにはさほどふじゅうでもなく

2人で一緒にいられるそんな空間がある、そんなたたずまいの家だった。


俺は俳優なんかを目指していたけれど、なかなか芽がでず、毎日、悶々と過ごす日々が続いていた。

そんな時でも海憂は

「拓斗はぜったいいい俳優さんになる!わたしが保証する!」なんていいながら俺を支えてくれていた。

俺にはたいした稼ぎもなかったからその分、海憂が働いていた。

「拓斗〜ごはんだよ〜!」

「うん」

彼女は自分がどんなに忙しくてもどんなに疲れていても、いつも笑顔でうまいめしを作ってくれた。

彼女のその笑顔、しんそこ大切にしなきゃな、早く彼女を楽させてやらなきゃな・・・


「拓斗?なに考えてる?」俺が寝ているその横で海憂が聞いた。

「海憂の幸せ考えてた・・・」

「うそ・・・」

「うそなもんか、海憂をもっともっと幸せにする方法考えてた・・・」

「ば〜か!」

俺たちはたとえ苦しい生活の中でも互いを必要とし互いを求めあい互いの幸せを考えあっていた。

このまま、こんな穏やかな暮らしが続いていくもんだとそう思っていた。

「海憂・・・」

「うん?」

「愛しているよ・・・」

「うん・・・」

降り出した雨の音を聞きながら俺は海憂を抱いた。

彼女が壊れてしまうんじゃないかと思うくらい激しく彼女を抱いていた。

そうすることで俺自身が強くなれるんじゃないかとそんなことを思っていた。








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