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page 13 -震える肩ー

海憂の部屋で過ごした日から

一日が過ぎた。

海憂は相変らず波乗りの練習をしている。

この8月20日にはプロテストがあるからだ。


「よ〜し、今日の波は最高だよ〜なんかいい感じ〜」

海憂がそう言いながら砂浜へと上がってきた。

なんだかすこぶる楽しそうだ。俺はそんな彼女の顔をじっと眺めていた。

「あれ〜拓斗、なんかへんだね〜どうかしたの?わかった、Hなことでも考えてたんでしょ?ははは・・・」

彼女がケラケラと笑う。

「そんなんじゃ〜ね〜よ〜、そんなんじゃない・・・」

「じゃ、どうしたの?」


俺は、海憂がプロテストを受けるその日に東京に帰らなければいけなかった。

本当はこのまま、ずっとずっと海憂のそばに居たい。居てやりたい。でも、現実はそうもいかない。

俺は、このことをどうやって海憂に告げればいいのか考えていた。


「あ〜気持ちよかった、この調子ならプロテスト合格出来るかな?ね〜そしたら、拓斗、お祝いしてくれる?」

「海憂・・・」

「なに?どんなお祝いしてくれるの?」

「海憂」「うん?なぁ〜に?」

「その日、8月20日の日は、俺、お前のそばにいてやれない・・・」

「えっ?」

「その日、俺は東京に帰らなければいけないんだ・・・ごめん・・・」海憂の顔から笑顔が消えていった。

「そうなんだ・・・」「ごめんな・・・」

そして海憂は無理やり笑顔を作って「しかたないよ・・・拓斗は東京人とうきょうじんなんだもん、しかたない・・・」

「んじゃ、その日が来るまで楽しく笑って過ごそ!2人でさ・・・じゃ、もう1回、行って来るね・・・」

彼女は、バタバタと走って海の中へと入って行った。彼女の背中は泣いていた。俺だって泣きたい気持ちだ。


しばらくしてから海憂がまた俺のところへと戻ってきた。

「ね・・・」「うん?」「しばらくこうしてて・・・」「あ〜・・・」

海憂は俺の肩にもたれかかり、俺の手を握りしめながらただ黙って隣に座っていた。その時、彼女の肩は震えていた・・・。


「海憂、携帯貸して」

「えっ?」

「俺たちこんなにそばにいるのに、お互いの携帯番号すら聞いてなかった、番号の交換すればいつでも声が聞けるだろ?」

「うん、そうだね、携帯っていう手があったか〜」海憂の顔にようやっと笑顔が戻った。


それから俺たち二人は、俺が東京に帰るその日まで、暇を見つけてはデートを重ね、お互いの家を行き来し

夜の海辺に遊びに行ったり、もちろん愛をたしかめあったり、2人の時間も2人の思い出もたくさんたくさん作っていった。


あなたの唇が触れたマグカップも、あなたがわたしを抱きしめたその腕も、わたしを好きだと言ってくれたその声も

全部、全部、いい思い出になるんだね・・・

そんな風に彼と過ごす1つ1つがわたしには愛おしくてならなかった。


「ね?明日は何時にここを離れるの?」

「たぶん、夕方になると思う」

「そう、じゃ、テストが終わったら真っ先に飛んでいくよ、拓斗の照れた顔が見てみたいから・・・」

「なんだ、それ・・・」

「じゃぁ〜もし海憂が俺が帰る時間に間に合ったら思いっきりキスしまっくてやる〜」

「やだ〜なに言ってんの〜拓斗、すけべ」


そして俺たちはここ石吹島での最後の夜を2人で迎えていた。その夜俺は、海憂との思い出を絶対消さないように自分の心に

刻み込むように彼女のことを思いっきり愛した。




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