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第二話

 「さて、始めますか!」

 今日は月曜日。沙希さんは普通に仕事に出かけた。私の居候生活一日目。そして、家事初日。とりあえずは掃除から始めることにした。朝ご飯の片づけは「片づけは私がやりますからー」という私に沙希さんが「ああ・・・ついいつものくせで・・・・」と答え、結局全部やってしまった。だからこれが私の初めての作業となる。私がどれだけ家事を行っていたかなどの記憶はないが、掃除くらいは誰でもできることだから、楽勝だろう。それにしても沙希さんの部屋はよく整理されている。そのおかげで、できることと言ったらまあ・・・・掃除機をかけることくらいだろうか・・・・私は押し入れから掃除機を引っ張り出し、プラグをコンセントに差し込んだ。そしてスイッチを・・・・スイッチ・・・・どこ・・・・・?それらしき物が見つからない。これか・・・?それらしきボタンを押してみる。シュルルルルルルルル!という音を立てて、電源コードがすごい勢いで掃除機本体に吸い込まれた。どうやら違うらしい・・・・これか?今度は本体の蓋が開いた。どうやら袋の取り替え時に使うボタンらしい。むむぅ〜〜〜・・・・どこだあ・・・・・おのれ〜・・・掃除機のくせに・・・!人間様をバカにするとは良い度胸!解体してあげるわ!って・・・違う違う・・・これは私の物じゃない・・・電源スイッチどこだろう・・・・と探していると柄の所に押しボタン式ではないスイッチを発見した。ON OFFと書かれている。ONにしたらブィイイイイイイイイイイイイイイン!というすごい音を出して掃除機が作動した。掃除機のスイッチを付けるまでに10分もかかってしまった・・・・ああ・・・私ってこんな・・・こんな・・・って、落ち込んでる場合じゃない!掃除掃除・・・・気を取り直して掃除機をかけ始める。出だしはあんなだったが、スイッチが入ってしまえばこっちのもの!さくっと終わらせてあげるわ!おほほほほほほほほほ!ガガガガ!やっぱ私だってやればできるのよ!って・・・・ん・・・・?なんか今変な音がしたような・・・・まさか・・・私変な物吸い込んだんじゃ・・・・・そう思い、なにか無くなっている物がないか探してみる。といっても、沙希さんの物はすべてきれいにしまってある。となると私の物だが、私が所持していた物なんてなにも・・・・・・・・・・・・ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!大変なものを吸い込んでしまった・・・!取り出さなきゃ・・・・私は大あわてで蓋をあけるボタンを押した。シュルルルルルルという音を立ててコードが本体の中に吸い込まれた。・・・・こっちのボタンじゃない・・・・私はもう一つのボタンを押して蓋をあけ、中から袋を取りだした。袋の中を見ると、予想通りの物を吸い込んでいた。そう・・・昨日沙希さんから、買い物に行く時とかのためにもらったこの部屋の合い鍵・・・ああ・・・・私って相当ドジなんじゃ・・・・そうしてじっくり一時間落ち込んだあと掃除を再開し、無事に終えることができた。時計をみたらもう十一時半になっていた。ああ・・・なんてこと・・・・たかが掃除機をかけるだけで3時間もかかってしまうなんて・・・・・なんか無駄に疲れたような気がする・・・・・なんか眠くなってきたな・・・・ちょっとだけ仮眠をとることにしよう・・・


 ・・・・・ぅ・・・・?なんか夢を見ていた気がする。どんな夢だったっけ・・・?だめだ、思い出せない。まあいっか・・・・・今何時だろう・・・?時計をみたらもう少しで6時を回る時間だった。やばい・・・・・10分か20分くらい仮眠する予定がバッチリしっかり6時間以上も寝てしまった・・・・夕飯の支度しなくちゃ!冷蔵庫を開けて中身を確認する。白菜、えのきだけ、にんじん、大根・・・おお、いっぱいある!よかった・・・とりあえず買い物に行かずには済みそうだ。さて、どうしようか・・・・なんだか今日は冷えるから、お鍋にしよう。さて、いちわさんのドキドキクッキングのコーナー☆まずはお野菜を切ります。ザクザクブシュ・・・・・イタイ・・・早速包丁で指を切ってしまうなんて・・・なんというお約束・・・・うぅ・・・・・とりあえず絆創膏を貼って血を止める。それからさらに3回ほど指を切り、なんとか野菜を切る作業が終了した。あ・・・土鍋用意してなかった・・・・そういえば土鍋ってどこにあるんだろう・・・・まさかここまできてありませんっていうことはない・・・といいな・・・・とりあえず一通り探してみることにする。どこだーどこだー・・・下の戸棚から探してみるが見つからない。となると上の戸棚か・・・・身長の低い私にはちょっと高い位置だが、背伸びをすればなんとか届きそうだ。戸棚を開けると、奥の方に土鍋があるのが見えた。頑張ってそれを取り出そうとするが、手前に両手鍋があってなかなか取り出せない。なんとか土鍋に手が届く。手が届いたことにホッとしたら力が抜けてしまった。そして・・・・

 ガシャガシャーーン!という音を立てて戸棚に入っていた数個の鍋が落ちた。さらに

 「ただい・・・・・ま・・・・・・?」

 ナイスタイミングで沙希さんご帰宅・・・・

 「・・・・なにこれ・・・?」

 沙希さんが無表情で私に尋ねた。

 「あは・・・あははははははははははは・・・・・」

 もはや笑うしかない。笑って誤魔化すしかない・・・

 「いちわさん、これはどういうことですか?」

 ああ・・・・沙希さんの顔が怒りに染まっていく・・・・しかもなぜか敬語・・・こ・・・怖い・・・

 「え・・えっと・・・お鍋を作ろうと思って、土鍋を取り出そうとしたら・・・ガシャガシャーーンって・・・・」

 「それで?」

 「あ・・・・えっと・・・・ごめんなさい」

 「よろしい」

 そういうと沙希さんは散らかった鍋を片づけ始めた。どうやらさっきの怒りは私がドジをした事へではなく、笑って誤魔化そうとしたことに向けられたものらしい。

 「まあ、こんなことになってるんじゃないかって思ったしね」

 グサッ!!沙希さんの言葉をうけ、本日何度目かになる落ち込みモードに私は陥った。ぅう・・・・・

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