表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

独りで考えると鬱になるだろ、そりゃあ(1)

 その日、楓は家に真っ直ぐには帰らなかった。帰り道とは逆方向。郊外のショッピングモールのスーパーマーケットの片隅に居た。

 目の前で、残酷な天使のテーゼが鳴り響いているような気がした。

 いや、実際、五月蝿い位に大音量で鳴っていた。

 メダルがジャラジャラと音を立てて出てくる。まだ、100円しか入れていなし、座ってまだ1分とも経たない。

(こういうときに限って出るんだよな。しかも、メダルなんかもらってもナ)

 そうは思ったが、せっかく出てくるというのに、無下に断るのももったいない気がしたようで、楓はじっと座っていた。


 ムシャクシャすると、こうやって意味の無い浪費をするのが、楓の癖だ。

 しかし、こんな時に使う必要の無い運も一緒に浪費してしまうのも楓の「癖」だった。

(勿体無いよ)

 と、楓はずっと思っていた。

 小さい時から、ずーっとこんな感じだった。

 良いことと悪いことが、同じタイミングで来るので、なんだかんだで相殺されてしまう。

 だから、何かを手に入れても、同時に掌の中の何かが出て行ってしまい、一定以上幸福になれない。その逆、一定以上不幸になることも無いから、見方によっては幸せのなのかもしれないが…。

 楓は、自らのこの奇妙な現象を密かに「幸福質量保存の法則」と呼んでいた。

 そう呼んで、独りで悦に入っていた。

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ