第四十二話 目覚め
最近思ったんですけど・・・真琴がメガネかけてる設定が空気になってる気がしました。
メガネっ子なんですよ一応は・・・・一応・・・・orz
目が覚めて最初に見えたのは天井だった。
白くて規則的に点がつけられたそれを始めてみて此処がどこだか分らなかった。きょろきょろと無理をしない程度に首を動かすと、なんとなくだが、ここが病院であるという事が分かった。そう言えば前に護の見舞いに来たことがあった時に見た感じがするからだ。もう十年くらい前になるだろうが、それでも病院という物は変わらないのだろう。
次に気がついたのは、小さな寝息だった。そっとその方に身体を起してみると、見慣れた小さな姿があった。床に膝をついて、顔をベットの上に出して、自らの腕を枕にしながら、両手で翔の左手を包んで寝ていた。
「真・・・・琴・・・・・・・・・。」
そうつぶやいて、あの時の記憶がよみがえってきた。そうだ・・・自分は・・・真琴のことを・・・・。
「っ・・・・・・。」
びくりと、自分の身体が震えたのが分かった。その振動が伝わったのか真琴が目を覚ました。ゆっくりと体を起こした真琴は、翔の顔をじっと見つめた後、安心したかのように微笑んだ。
「目、覚めたんですね。あれから一週間もたってるんですよ?ちょっと待ってて下さい、優さん呼んできますね。」
「ちょ・・・お前・・・眼鏡なくても見えてんの?」
「はい。もともと、僕の視力が弱かったのは僕が持っていた『抑制』の力が原因だったようで・・・。いまはこれをつけてるから視力も回復というか・・・以前よりもはるかに見えるようになりました。人並みには見えてます。だから、安心して待ってて下さい。」
これとは、真琴の手首についている、能力封印装置のことである。
「え・・・あ・・・おい!」
翔の呼びかけたのも空しく、真琴は病室を出ていってしまった。翔は身体を起こし、枕を背もたれにして座った。先ほどまで真琴に握られていた手が、ほのかに暖かく感じられているが、翔の内心は酷く冷めきっていた。
俺は・・・なんてことしたんだ・・・・。
「調子はどうだい?」
優が一人で病室に現れた。翔の怪訝な目に、優は苦笑した。
「そう言う顔をしているという事は、もしかして全て覚えているという事かな?」
「・・・・・・・そうですね・・・・俺は・・・ほんとに刺したんですね、真琴を・・・この手で・・・・。だから真琴も・・・入院服着てたんだ・・・・。」
「そうだね。覚えているのなら、あえてごまかす必要もないね。真琴君は、正直危なかった。臓器の一部やあばら骨は壊れ、大量出血でもあったから、死ぬ確率は高かった。要一でも危なかったよ。ぶっ倒れるまで力を使わなければならないほどね。あ、要一はその次の日に帰ったから大丈夫。真琴君はそれから三日間寝たままでね、起きて最初にとび起きて、真っ先に此処に来たんだよ。」
「・・・・・・・・。」
優は、ベットのわきにあった椅子に腰かけて、再び話し始めた。
「そして、僕が此処に駆け付けたとき真琴君ったら丁度ここら辺に座り込んで笑いながら泣いてたよ。『よかった・・・よかった・・・。』って言いながらね。真琴君の傷は、もう跡形もなくなってる。要一のおかげでね。・・・どうかしたのかな、そんな顔してさ。」
「・・・・俺は結局、なにもできないんですよ。肝心なところで能力に振り回されたり、守れなかったりするんですから・・・・。俺はもう・・・真琴の傍にいる資格なんかないんです・・・・。」
そう言い放った翔は、カーテンの隙間から覗く陽光のさらに奥を覗き込んだ。優はその横顔を見つめ、ふぅと息を吐き、椅子から立ち上がった。
「屋上で待ってるから・・・・だってさ。」
「え?」
「真琴君がそう伝えてくださいってね。そこで言いたいことがあったら言うといいさ。真琴君に、君の言いたいことを全てね。じゃ、僕は仕事に戻るからね。」
優が去ったあと、翔はしばらく動かなかった。だが、行かなければならないと思い、翔はその重い腰を上げるのだった。
次回最後になると思います。
今さらですけど、エロの要素皆無ですね。
期待されてた方すみません。m(_ _)m