第四十一話 『治癒』
要一もお久しぶりですね。
やっと彼も能力つかえました。
って言っても、護も充もあまりつかってないですけど・・・・
病院の救急搬送用の入口の前に、要一がたっていた。救急車から降ろされた真琴を見て、要一は青ざめたが、すぐに気を引き締め優とともに、手術室に入った。優と、要一の他には誰も立ち入らないようにと言っておいた。病院には能力の事は伏せてあるからだ。先ほど搬送に協力してもらったスタッフは今頃護によって記憶を改ざんされているだろう。
「真琴君・・・待ってて絶対に直すから。」
白かった着物が赤く染まっている。それも全体にわたってだ。傷をだし、要一はその上に手をかざした。要一の目が、緑色に輝く。手元も同様に緑色に輝き、治癒が始まった。
優はその間に輸血用の血を準備していた。真琴の血液型はだれも知らなかったので、すぐに検査した。О型だとの結果が出たので、すぐに病院にある輸血の血液パックを手術室に集めた。
要一は、なかなか苦戦していた。真琴の傷はへそからやや上にあり、胃腸、大腸の一部、肝臓の一部を破壊され、さらにそれらの臓器を覆っていたあばら骨は完全に砕け散っている。まず内臓を元通りに修復しなければいけないのが一番大変だった。外傷はそれでも治すのは簡単だが、内部の傷は治りが遅い。さらに骨まで修復するのはそれこそほんとに骨が折れるのだ。
「でも・・・助けないとね・・・君には助けてもらったからさ・・・・。」
だから死なないで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・絶対に死なせない。
「優さん、ここはまだ時間がかかりそうなので、さきに翔君の方をお願いします。」
「わかった。終わったら声かけて。」
「はい・・・・・・・。」
優は、その手術室から出て、傍にある部屋に入った。そこは普段仮眠室として使われているところだ。翔達は秘密裏にここに搬送してきたのであまり勝手に他の施設を使えないのだ。たとえ優が此処の医院長でもである。そこにあるベットに翔は寝ていた。優が入ってきたことに気がついた三人が、そろって優の方を見てきた。
「琴ちゃんは?」
「いま要一が直してるが、結構時間がかかると言われたからね。こっちを先にした。翔は、能力の副作用ってことだね?」
「たぶんな。ただでさえ『抑制』は人体に影響を及ぼしやすいからな。それをじかに受けたんだからこうなるのは必然だ。」
香月がコンコンと翔のおでこを叩いて言った。
「んー・・・そうなると、医療ではどうにもできないし、要一でも無理か・・・。自然に直るのを待つしかないってこと?」
「そうだな。能力だって永久的に効力があるわけじゃない。それにそんな長く受けてたわけでもないから二・三日ってとこじゃね?」
「そうか・・・。」
「翔にさ・・・・・・・・その・・・・翔に全部話す?」
「どういう意味それ?」
「充・・・だってさ、翔に琴ちゃん刺したのはおまえだって言える?俺なら言えないよ。だってどうなるのさ、そんなこと知ったら。翔は翔自身を許せなくなっちゃうよ?そんなのやだなぁって思ったのさ。」
「・・・だけど、翔がそれを知らずにずっといると思うか?知りたがって探すだろ?後で知るか今知るか。それは翔次第だけどな。」
「そりゃ・・・そうだけど・・・・。酷だなって・・・・。」
それからしばらくして、要一が現れて真琴の身体は元に戻ったと言って倒れた。要一をその部屋の空いているベットに寝かせた後、優が輸血などの最終処置をするために手術室に消えた。それから優の手配で空いている病室ふた部屋を確保し、そこに真琴と翔は入院することになった。どちらともまだ目は覚める気配はない。護達もまた病院に泊まりこむことにした。
翔が目を覚ますのはそれから一週間後だった。
真琴がO型なのはなんとなくです。Aかどっちにしようか悩みました。
ちなみに作者はAっぽく、BぽいAB型です・・・つまりそのまんまってことですね。(ほんとにどうでもいいことですけど・・・)