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Magical Encounter  作者: 朝比奈 黎兎
第四章 『白姫』
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第三十六話   対峙

 それから二週間ほどがたった。真琴は香月に能力を扱う基礎基本を教えてもらい、さらに香月の能力を抑制することを練習してなんとか自分の思い通りに操ることができるようになった。それでも、真琴の力は強いようで時たま暴走してしまう事もあるようだ。そう言う時のために能力封印装置であるあのわっかは欠かせないようで、今は手首につけている。能力を使うときは簡単に外せるのではずすようにしてある。


「ん―――――香月の教え方よくわかんないけど、なんとかわかった気がするよ。」

「ほぅ・・・そいつはすげーなぁ。」


香月の額に青筋がひくついているのを見たが、真琴はあえてスルーすることにした。


「ま、後は自分でやんな。」

「うわ・・・見はなすなんて最低だよ。」

「なんとでもいえ、俺は暇じゃないんだよ。もうすぐ、来るからな奴らが・・・。」

「奴らって・・・?」

「・・・・お子様には関係ないすごい人だからおとなしくお留守番しててな。」

「お子様言うな!!ほんとに本物!?偽物にしか見えなくなってきたんだけど!!」

「残念だが、俺は本物だ。いいか、絶対にこの部屋から出るなよ。じゃなきゃお前死ぬかも知んねーしな。あと、『白姫』だっていう自覚を持てよ?」

「わ・・・わかってるよ・・・・。」


香月はフッと笑うとそのまま部屋を出ていった。真琴は一人、部屋の中で膝を抱えて座っていた。


「そういえば・・・僕の服はどこ行ったんだろう・・・・。」


あの時着替えた服は帰ってこず、代わりに真っ白な着物や袴が毎日新しいものが運ばれてきた。


「それにしても・・・すごい人ってどんな人だよ・・・。すごい人・・・すごい人・・・・スーパーマン?それとも首相とか?いやいや・・・それはないけど・・・。」


 その晩、『不知火』当主のところに翔達の姿があった。そして目の前には実の祖父が悠然と長椅子に足を組んで腰かけている。若く見えるが実際はもう70を超えているはずで、そう見えるのは彼の能力のせいだという噂だ。


「よく来たな、あれほどここに参ることを拒んでいたのにもかかわらず。」

「・・・・・しらばっくれるのもいい加減にした方が良いけどな。もう調べはついてるんだよ。」

「なにのだ?」

「ここに、中澤真琴がいるってことはな。」

「ほう・・・いかにしてそれを知った?」

「そう聞くってことは、是だと受け取っていいと?」

「ふ・・・可愛げのない孫になってしまった・・・・・。そうだ、その少年はここにいるさ。」

「返してもらう。もともと真琴はここには関係ない。それにこんな空気が悪い所に置いておけるか。」

「いってくれる。もし、帰りたくないと彼が言ったらどうする?」

「・・・・・・どういう事だ?」

「どこまでお前らが調べられたのかは知らないが、あの子はここにきて、私のもとに来る運命だったのだ。」

「何言ってんだかわからない。」

「あの子は私のために生まれたようなものだからな。」

「?」

「来たか・・・・。」


入口が開き、入ってきたのは香月だった。どんどん一人で奥へと進んでいく。そして、翔達の横にやってきた。


「どういう事だ?何故お前一人なんだ。」

「俺はそこまで馬鹿じゃない。あんたのもくろみを知ってそれで連れてくると思うか?俺は元からこっち側。あんたみたいに俺を操り人形としか思わない奴よりも、ちゃんと接してくれる翔達の役に立った方が生まれてきた価値ありってやつだろ?・・・・あいつもそうだといいがな・・・・。」

「香月?」

「いや、なんでもねーよ。さ、どうすんだよ?」

「・・・・っく・・・・・。」

「?」

「何?」

「いきなり笑いだしてるー。」

「意味わかんない。」

「くっくくくく。やはりな、大体は分かっていたさ。お前がひそかにここの情報を漏らしていたのはな。あの少年のことを孫に知らせたのもお前だな?」

「あら、ばれてた。」

「正確には僕にだけどね。にしても、あんな複雑な方法使って海外サーバーはしごしてばれないようにしてたのに、どうやって知ったの?」

「こちらにも、お前ほどではないが『接続』能力者はいるからな。」

「なるほどねー。香月、詰めが甘いよー。」

「はいはい、すみませんでしたねー。」

「って、お前らなぁ・・・・・。さ、早く真琴を帰してくんないか?こっちはここに長居する気はない。ついでに、俺はここのトップを継ぐ気もない、以上。」

「翔、言うねー。」

「いいたい放題だな。どちらが優勢かも知らないのは御ろかという者だ。なぁ、繁春。」

「え・・・・?」


香月が先ほど入ってきた入口が開き、繁春と清忠が入ってきた。そしてその後ろからついてきたのは、真琴だった。


「な・・・・んで、なんで来てんだよ。出てくんなっていっただろうが。」


香月が思わず、真琴に叫んだ。だが真琴はなにも言わず、反応もしない。そして、ゆっくりと歩き翔達から離れたところで、繁春達は立ち止まった。繁春の横に真琴は立ち止まった。清忠の周りには二匹の式がいる。特に清忠に威嚇することもなく、逆に懐いているかのようにすり寄っている。清忠は翔達を愉快そうに見ながら、その二匹の頭を撫でている。


「遅かったな。」

「すみませんね、真琴君はともかく二匹に苦戦しましたよ。ですが、御覧の通り。真琴君の意識は私の手の中。そしてそこの二匹は清忠に従うようにしました。」

「なっ!?」

「真・・・・琴・・・・・。」

「お前・・・また琴ちゃんに・・・・。」


護が繁春を睨みつけながら、苦々しく言った。香月も同じように繁春を見ているが、その顔は疑問に満ち溢れている。


「どういう事だ?そいつにはお前の力なんか意味をなさないはず・・・・。」

「ああ、たしかに。なにもない状態ならこの子は最強だよ?でも、これをつけてれば話は別だよね?」


そういって、繁春は真琴の腕をつかみ、上に掲げた。その手首に光る腕輪を見て香月は思わず舌打ちした。あれをはずしてくるんだったと、今更後悔した。


「それって・・・能力封印装置?」

「ああ・・・俺がつけさせてたやつだ・・・・。畜生、俺のミスだ。」

「は?どういう事だ・・・?真琴って・・・・。」


だが、翔の疑問は清忠の声にさえぎられた。


「ほら、あそこにいるのが君たちのご主人さまを傷つけようとしてるやつらだよ。さ、倒しちゃってよ。」


すると、その二匹は前に歩みながら、視線を翔達に向けている。牙をむき出しにし、完全に敵意を現している。


「お・・おい・・・ちょ・・・・。」

「なんかやばい気がするよ。」

「翔―ここは俺達なんとかするからー翔はそこの爺と話してなよー!!!ってことで、行くよ、充、香月。」

「うん。」

「おう。」


充はビャクと清忠の方へ、香月はコクの方へ、そして護は繁春の方へ向かっていった。そして翔は何年かぶりに一対一で祖父と向き合った。諸悪の根源である大谷譲と――――。


ひっさびさの翔たち。そしていきなりの戦闘(?)ですね。


徐々に終わりを迎えようとしてます。

最後までお付き合いくださいまし。

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