第三十話 嘘
気がつけばもう30話なんですね・・・びっくりです。
この物語もいよいよ佳境に入ってきていますので、最後までお付き合いよろしくお願いします。
入ってきた香月は、中の様子を見て一瞬止まったが、すぐににやりと嫌な笑いをこぼした。
「!っと、なんだ、ほんもんに会っちまったのかよ。あーあー、ここまで連れてきた俺の苦労はどうなるんだって話。」
「・・・・お前、清忠か?」
「ピンポーン。あ、もうばれたんならこの格好でいることないのか。」
くるんと偽香月が回ると全然別人になった。明るい金色の髪の毛、カラコンのようなわざとらしい紫色の目。
「ちび、残念だが、お前が翔と一緒にいて死ぬっての、あれ嘘。」
「え・・・・・・。」
「ま、半分ほんとだけど。お前の力が暴走して、その場に翔がいたらお前ほんとにあいつ殺しちまうぜ?」
「どういうこと・・・・なんで・・・・・。」
「おい、清忠。んな出まかせ言うのはやめろ。」
「出まかせ?いいや違うね。出まかせなんかじゃない。これからありうる未来を言って述べたまでさ。もしそこのガキが能力者だった場合、そう言う事もありうるんじゃねーかと、あの方は考えてるんだよ。」
「そんなもんにお前は協力するってか。はっ、ばっからし。そんなことあったとしても、護と充が黙って見てるとでも思うか?」
「さぁね?つか、そこのちびが言ったんだぜ?ここに来たいと言ったのは。たとえ俺がなにを言ったって、最終的に判断するのはそこのちびだろ?そしてそいつはここに来たんだ。翔達を裏切ってでもな。」
その言葉に、真琴は大きく方を揺らした。裏切った・・・。その言葉が重くのしかかってくる。
「お前はもう、この巨大な鳥かごからは逃げらんねーのさ。」
そういって、清忠はその部屋から出ていった。
「ったくあいつは・・・。あいつは昔からああいう・・・・おい、どうした?」
「っ・・・・く・・・・っぅ・・・。」
押し寄せてくる涙は、真琴の大きな瞳からぽたりぽたりと下に落ちた。涙が眼鏡を濡らし、下の畳をも湿らせる。ぬぐってもぬぐっても、止まらない。香月は真琴の傍らに座った。
「嘘って・・・嘘だって・・・そんなの・・・。なら・・・なんで・・・どうして・・・。ほんとは・・・居たかった・・・ずっと・・・一緒に・・・。でも・・・もうもどれないなんてっ・・・そんなの・・・っぐ・・・っう・・・・。」
「真琴・・・・。」
「やっ・・・。」
真琴は耳を手でふさいだ。そして首を左右に振る。
「え・・・・・・・・?おい、どうしたんだって・・・?」
「その声・・・で・・呼ばないで・・・・。会いたくなっちゃうじゃん・・・。」
そうか・・・俺の声と翔の声はそっくりだったな。そりゃ混乱するのも分かるな。
「わかった。じゃ、中澤。別に一生会えないわけじゃないだしさ、あいつらだって今頃お前のこと探してるぞ?」
「だけど・・・もう許してくれない・・・黙って出て来ちゃって・・・裏切って。」
「お前が裏切ったねぇ・・・・。あいつらは裏切られたからって、すぐには嫌悪するような奴らじゃないと思うけどな。」
「で・・・も・・・あんなに・・・よくしてくれて・・・なのに・・・今ここにっ・・・いるなんて・・・裏切りでしかないもん・・・っく・・・ひぐっ・・・うぇ・・・っ!?」
いきなり香月に抱き寄せられて、香月の肩に真琴のあごが乗っかった。頭の後ろに回った手が、しっかりと真琴を支えている。
「か・・・づき・・・・・・・?」
「泣きたきゃ我慢すんなよ。お前、じゃなくてもちびっこくてよわっちいんだからな。」
一言も二言も多い気がするが・・・いまはあふれる涙が真琴を支配していた。香月の着ている服にしがみつき、久しぶりにおお泣きした。
今の真琴を支配しているのは
後悔と
悔しさと
悲しみと
ほのかな暖かさだった
清忠君のキャラ好きなんですけどね。
私は悪役キャラが好きみたいです。動かしやすいからですけど・・・(笑)
(笑)・・・・最近こればかり書いてますね。