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Magical Encounter  作者: 朝比奈 黎兎
第三章 『過去』
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第二十六話   さよなら

 

 翔たちが出かけた後、真琴はベットに腰かけていた。二匹が心配して彼の足にすり寄るが、何の反応も示さない。そして、ゆっくりと立ち上がると服を着替え、そのまま部屋を出ていった。二匹もその後に続いた。真琴はそのまま外へと出た。二匹は真琴の中へと戻った。鍵もかけず、ふらりふらりと真琴はどこかへと歩いて行った。そして着いたそこにいたのは、香月だった。


「やっぱ来たか。で、決まったのか?どうするか。」

「・・・・・・・・・・・僕は思い出せない。でも、思い出したくないわけでもない。でも、僕のせいであの人たちに迷惑がかかるなら、僕はどこかに消える。」

「それがお前の答えだと思っていいんだな?」

「・・・・・・。」

「あいつらに関わらないようにしたいなら、本家に来い。あいつらは本家のこと毛嫌いにしてるからな。」

「・・・・・・・・うん。」

「いっとくけど、携帯は置いてきたな?もちろん、俺の事はあいつらには教えてないだろ?」

「うん。」


携帯は机の上に置いてきた。意識が途切れる前に香月がいっていたことも、彼らには知らせなかった。つまり、いまここに真琴がいる事を知っているのはだれもいない。


「じゃ、いくか。」


歩きだした香月の後ろを、真琴はゆっくりと着いて行った。香月にはあえて言わなかったが、真琴は自分の携帯に言葉を残していた。








*真琴の携帯*








【翔さん、護さん、充さん。黙って姿をくらましてごめんなさい。


今までありがとうございました。


僕は、僕を知るために、その家を出ることにしました。どこに行くかは、僕にもわかりません。でも、気が向くままにすすんでいくつもりです。三人や、若奈さん、春奈さん、要一さん、優さんにはお世話になりました。いままで楽しかったです。隆兄ちゃんや、池谷さんにもお礼を言っておいてくれると嬉しいです。僕は元気にやっていくと思います。僕の事は忘れて、元気に過ごしていってください。


あの日、翔さんに会えてよかったです。


 会えなかったらきっと、自分のことを知ることも、知ろうとも思わなかったと思います。家族ってこういうものなのかなって、思えてうれしかったです。


もう会う事はないでしょう。



もう話すことはないでしょう。



ともに暮らすことも、ともに笑う事もないでしょう。



僕はもともと関わりのない人間だったんです。僕にとっては、これ以上ないほどの暮らし。僕は一人であるべき存在。だからこそ、自分を知って、独りで生きていこうと思います。よくこういうときにいいますが、探さないでください。もうこれ以上、僕のことで、皆さんに迷惑はかけられません。心配させておきながら、こんなことを言っている僕を許して下さい。僕を笑って受け入れてくれた皆が眩しかった。それだけで、僕はうれしくて、幸せでした。ごめんなさい、そして、ありがとうございました。


                                 中澤真琴。】







僕は一人、歩いて行きます。過去を取り戻すために。


真琴の決意は運命をおおきく揺るがし、そして核心に迫っていく

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