第十二話 翔の過去
ここから少しずつ本題のほうに入って行くかな・・と
そうなると少し恋愛からは遠のいちゃうかもしれません・・・
いえ、私は諦めてません。ちょくちょく入れていきます。
広いだけの屋敷は当時の彼にとってはただの家に過ぎず、彼はそんな家を毛嫌いしていた。ちやほやしているのは周りの手伝いだけ。実の親は見向きもしない。いや、本当は気にかけてくれていた。彼らなりの自由をその子供には与えていたのだ。だが、当時の子どもにはそれは伝わらなかった。彼は次第に、親が嫌いになってしまっていた。彼はその家でいつも一人ぼっちで過ごしていた。次第に手伝いの人たちにも一切心を開かずにいた。そしてその子供はある時、自分と同じ状況にある二人の子供に出会う。彼らは、まるで本当の兄弟のように、仲良く暮らした。だが、彼らは知ってしまった。自分達についての親が隠し続けてきた秘密を。それを知った時、彼らは驚き、うろたえた。自分達は普通じゃない。そして、そんな自分達は所詮先へとつなげる道具でしかないことも。何もかも信じがたいことだった。だけども、信じられないからと言って、自分達を利用しようとしてくる大人に、良いように扱われることが嫌だった。だから、時が来たら、三人でこの家を出ようと誓った。三人だけで、誰も自分らを利用しようとする人がいない、そんなところに行こうと。そして彼らは高校を卒業したのち、家を飛び出した。それでも、親や親族の強大な力から、完全に逃れられるわけではなく、彼らは監視されながら生きていくことになった。だけど、監視されながら生きていくのもいやだった。そんなの普通じゃない。だから、彼らは動き出した。親たちの組織ではなく、独自の立場で、敵対する存在と相対するために。そして、親族の組織をつぶすために、彼らはその疎ましくもあった力を使うことを決めた。そんな暮らしが、もう5年はたとうとしていた。
「最近さー、『不知火』の動き、変じゃない?」
「大人しくていいじゃんかよ。何か問題か?」
護のつぶやきに、翔が答えた。ここは家がある街から数十分ほど離れた街である。二人はいま、仕事の合間の休憩中だ。それぞれのバイクに身を預けながら、翔はコーヒーを、護は緑茶を飲んでいる。充は一人、別行動だ。時間は真夜中である。家にいるであろう真琴はすでに寝ているはすである。
「なんかさ、俺達を監視する目が少なくなった気がするんだよね。俺達はどうでもいいみたいな感じ?」
「あっちも必死なんだろうな。あれだけ探しても見つからないんじゃ、爺がしびれを切らすのも無理ないだろうしな。」
『不知火』。それは翔達親族が結成した特殊集団だ。表向きは巨大な企業だが、その内部は、特殊な仕事を行っている。そこに勤めている全員が翔達の親族で、その大半がとある特殊な力を持っていた。翔達も例外ではない。
そして、その『不知火』はいまあるものを探していた。それも巨額をつぎ込んでだ。それは物ではなく、人であるのだが。これがなかなか見つからないらしく、探し始めて3年経つのだが、未だに見つかってはいない。かという翔達も独自に調査し、誰よりも早く探しだそうとしているのだが、手がかりのかけらすらみつからない。それは非常に珍しいことだ。とくに充の能力『接続』は、パソコンに自らを接続し、あらゆるネットワークに接続してどんなものでも探り出すことができる。インターネットに接続したり、監視カメラにつなげたり、その接続先は多種多様に及ぶのだ。そんな充でさえ見つけ出せないほどの存在。
その存在は『白姫』と呼ばれている。姫と呼ばれるその存在だが、詳細はそれ以外、その能力以外は全くの謎に包まれている。
「『白姫』・・・・どこにいるんだろうな・・・・。」
「そうだねー。出来ればこの日本にいてほしいかなー。」
「そう言う問題じゃないぞ・・・・。特に『黎明』の奴らよりは先に見つけねーとな。それはなんとしても阻止しなきゃなんねし。」
「そうだね。ま、俺ら最強トリオだし。なんとかなるっしょ。」
そんな楽天的な護の言葉に、翔はため息を吐いた。
二人が休憩を取っていたそのころ、とある某所では充がパソコン10台と己を接続させ、情報を絞り出していた。銀色の充の髪の毛に、ディスプレイの光が青白く反射していた。そして、能力発動中の彼の眼は怪しく青紫色に光っていた。
「無い・・・・無い・・・・・ここも・・・あそこも・・・無い・・・。」
頭の中を数十種類の情報が流れていくが、そのどこにも、探し求めている『白姫』を探し当てることはできない。しかも、手元のパソコンでは、本家『不知火』のパソコンをジャックしようと、パスワードを解析中なのだ。
これくらい充にとっては朝飯前なのだった。そして、なんとかパスワードを解析することに成功した。そこで充は、必要そうなデータを片っ端から移し替え、全ての電源をオフにした。暗闇に染まる室内。
ここはとあるホテルの一室だった。ぼふっと、ベットにだいぶした。そして、今手に入れた本家のパソコンのデータの一部を思い出し、その顔を曇らせた。
「なんで・・・本家のパソコンに・・・。もう少し調べてみないと。」
彼ら三人が家に帰ったのはそれから4時間後だった。と言ってもみんなバラバラに帰ってきたため、会話を交わしてはいない。そして、改めて顔を合わせたのは翌朝・・・ではなく、正午を回っていた。真琴は出掛けているようで姿はないが、しっかりとご飯を用意してくれていた。
「そう言えば・・・昨日、本家のパソコンジャックしてさ・・・・・。」
「え・・・できたの?」
「なんとかね。そこでさ、こんなの見つけたんだけどさ。」
そういって、机の上に出したのは、とある人物のデータだった。その資料に添付されている写真を見
て、翔と護は目を見開いた。
「なんだよこれ・・・どういう事だ?」
「わかんない。けど、同一人物かどうかはわからない。これ以上は探れないから・・・。」
「なんでー?」
「プライバシー保護のためってやつだよ。個人データはそれだけ機密性が高いんだよ。」
充はその資料をしまって、再び昼食を食べた。
「だけど、もし今のがそうだとしたら・・・・。」
「ちょっと気になるよな・・・。どういう事なのか・・・、おい本家の奴らは今の知ってると思うか?」
「わかんないよ。結構膨大な量のデータの中に在ったし。しっかり調べなきゃ見落とすから。僕と同じ能力の奴がいれば気づくかもしんないけどね。あとはよっぽどの几帳面な奴。」
「だといいけどな・・・・・。」
「そーいえば、もうすぐあの日だね。」
「・・・・・・・ああ・・・・・。」
翔の顔が急に曇った。思い出したくもない、忌々しいあの日の事。あの日は11月の真っ黒い雲が空を覆っていた日だった。そして、室内はそれとは異なる赤い空間が広がっていた。そこに横たわるは、両親の骸。
「お墓参り行かないの?」
「・・・・・・・・気が向いたらな。」
「そっか、行くなら俺らの分の花も備えて来てねー。」
「お前はおまえでいけよ。ついでに仲なおりでもしたら?」
「それは無理。一生無理。死んでもやだ。」
それぞれ、親とはうまくいっていない。それどころか、翔の両親と、護の母親は既にこの世にはいない。この三人に関しては親などいないも同然なのだ。
前に更新した話とだんだんかみ合わなくなってきている部分もあると思いますが・・・(前にこれ書いたっけ?と疑問に思ってしまいます)あと、能力の詳しい説明は、またのちに投稿します。