第十一話 双子姉妹
私の周りには双子が結構います。
いや・・・私というか弟の友達に双子の兄弟がふた組以上いるという・・・なのでそんなに珍しくはない・・・。
しかもいまだにどっちがどっちだよと、ツッコミたくなります。
というどうでもいい話・・・
結局、施設を出たのは夕方近くだった。真琴は電車に乗り、家へと向かっていた。駅から出て、歩きなれた道を行くと、そこで見慣れない光景があった。女の子が二人、三人組の男に囲まれているのだ。明らかに怪しい勧誘である。しかも絡まれている二人の女の子は顔がうり二つなのだ。双子だろうか・・・?だが、どうする?このまま見捨てていくのは、気が引けるが、真琴がかなう相手ではない事はわかる。真琴は本来喧嘩など縁がないのだ。池谷に連絡を取ろうかとも考えたが、来るまでに何かあったら元も子もない。幸い家はここから数分だ。家にあの三人の誰かがいれば間に合うかもしれない。そう思った真琴は速足でその場を横切ろうとした。だが、それを阻んだ人がいた。なんと絡まれていた女の子の片割れである。
「ほら、ちゃんと連れ来たでしょ?こっちの子の連れももうすぐ来るんだから。そういうことよ。じゃあね。」
何が何だか分からない真琴を尻目に、話を強制終了させたその女の子は、隣でおどおどしていた片割れと真琴の腕を引っ張ってその場から離れた。男達は何やら言いたそうだったが、反対方向に去っていった。しばらくしてようやく真琴はその子から解放された。
「ごめんなさいね。巻き込んでしまって。でも、丁度いいタイミングで貴方が通りかかってくれて助かったわ。」
「え・・・あ・・いえ。近くに家があるものですから・・・たまたまですよ。ははは。」
「そうなの?なら、ちょっと休ませてくれないかしら?」
「へ?」
「このこ、私の妹なんだけどね、さっきのでちょっと立ち直れそうにないの。だから、迷惑かけついでに頼めないかしら?」
半ば強引な話である。
「え・・・・あ・・・・まぁ・・・休むくらいならどうぞ。」
「ありがとう。私、龍前若奈。妹の方は春奈。よろしく。」
「よろしくおねがいします。」
「あ・・・僕は中澤真琴です。」
なんか変な双子に出会ってしまったのである。とりあえず、真琴は彼女らを休ませるために、家に向かった。そして、家に着いた時彼女らが驚きの声をあげたのにつられて真琴も驚いてしまった。
「え・・・な・・・どうかしたんですか?」
「ここ・・・・ほんとに貴方の家?」
「え・・・・まぁ、正確にはここに住まわせてもらってるんですけど・・・・。なんでですか?」
「あなた・・・・いったい何者?」
「え・・・・・・?」
「あっれー、琴ちゃん今帰りー?おかえりー。」
そういって、がばっと真琴の後ろから抱きついてきたのは言わずもがな護だ。
「ま・・・護さん!?なにするんですかぁ!?」
「いや、なんとなく・・・・・。」
「なんとなくで抱きつくのやめてください!!」
「えー、琴ちゃんつれないなぁ・・・いいじゃん、人肌恋しいんだよぉ・・・。」
「女の人に言ってください!」
「えぇー・・・だって琴ちゃんなら大人しく抱きつかせてくれるかなぁ・・・って。・・・・・え・・・・なんで若奈と春奈がいんの?」
いまさら双子に気がつく護。おそいだろう。
「やはり、関係してらしたのね。お久しぶりね、護。」
「え・・・・知り合い!?」
「琴ちゃん、この子たちといつ知り会ったのさー。びっくりだよー。」
「いまですけど・・・・。」
「うっさい男たちに絡まれてね?私一人なら蹴散らせたのだけど、春奈がいたから手が出せなくて、そしたらいいところに真琴君が来てくれたのよ。」
「なるほど、巻き込まれちゃったってわけか、納得だよ。ま、とりあえず中入んなよ。」
「ええ、貴方達の家なら遠慮なんかいらなさそうだからね。」
「ひど・・・少しは遠慮してよ。」
うなだれる護と共に、三人は家の中に入った。
「へえ・・・充さんと従兄弟なんですか。」
「そうなんです。母が、充君のお母さんと姉妹で、小さいころから一緒なんです。」
今真琴は、リビングで春奈と話をしていた。若奈の方は、護と一緒にキッチンにいて夕食を作っているが、どうも邪魔ばかりしているようで、護の慌てた声が聞こえてきた。
「でも、春奈さんと若奈さんってほんとにそっくりですよね。僕双子なんて初めて見ましたよ。」
「そうですか?私達はお互いが分かるのであまりそう言うのは気にしたことないんですが・・・。確かに、二人で鏡に並んで映ると似てるなーなんて思いますね。」
「いいですよね、兄弟って。あこがれちゃいますよ。僕一人ですし。」
「そうかもしれませんね。」
その日は翔と充が明け方まで仕事だという事で、若奈・春奈姉妹は泊っていったのだった。
うーん・・・この話はのちに関係してくるんでしょうか・・・
なんで書いたかわからない双子姉妹の話。でも役立たせたい。
だって女の子初キャラだし・・・男ばっかってのも・・・ねぇ・・。
まぁBLなのでいいんですけど・・・。