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ネコカーが通ります!道を空けて!

作者: ヒロモト
掲載日:2026/03/13

「……胸が苦しいっ!」


あまりの痛さにフローリングの床に膝をついてそのまま仰向けに倒れた。


「……ヤバい。これはヤバい」


俺の愛猫のマチャドも心配そうに俺を見ている。

どうする?救急車を呼ぶか?

でも『救急車をタクシー代わりに使うな。緊急時以外の救急車の要請は罰金』ってポスターを最近よく見るし、本当にタクシーを呼んでも痛みで普通にしていられる自信はない。

救急車を呼んで罰金か。タクシーを呼んで暴れて胸が痛いまま警察行きか……どうする?


「ネコカーを呼ぼう!」


マチャドがそう鳴いた。

いや、幻聴だ。

猫が喋るか。

ネコカーってなんだよ。


ピーニャー!ピーニャー!うぅぅぅ!

ニャオーーん!


『ネコカーが通ります。ネコカーが通ります!そこの犬!道を空けて!』


外が騒がしいなと思った矢先に玄関の扉をこじ開け、白いヘルメットを被った猫たちが俺の部屋になだれ込んできた。


「……2足歩行!?」


猫たちが俺の全身をベタベタとヒンヤリした肉球で触る。


「血圧は!?」


「知らん!」


「外傷は!?」


「わからん!」


「持病や薬の使用は!?」


「皆目見当つかん!」


実りのない会話だなぁと思っていたら笑えてきた。



……


ベッドの上で目覚めた。

マチャドは隣でまだ寝ている。

いつも通りの朝?

あれ?夢?

胸はズキズキと痛む。夢じゃない?

でも昨夜程じゃない。

仕事帰りに一応病院へ行っとくか……。




……


先生が俺のレントゲン写真を見て言った。


「筋肉痛ですね」


筋肉痛だった。


「後から来るタイプの」


後から来るタイプか。俺も年を取ったな。

日曜日に気合い入れて草刈り機で頑張りすぎたか。


「でも何か……ガンの『痕』みたいな影もあるんですよねぇ」


「先生。やめてくださいよ」


「すみません。ガンは自然治癒なんてしませんよね」


ネーコー!ネーコー!ううううぅ!


「?」


変わったサイレンの音が聴こえる。


『ネコカーが通ります!ネコカーが通ります!そこの犬!道を空けて!よしっ!病院へ移動するぞ!1、2のニャー!患者が担架から落ちた!気にするニャ!』


……いつも犬に邪魔されてるな














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