【幸福の種】
魔剣蒐集録Ⅱの投稿はじめました。
向こうも毎日11時投稿、各話繋がりなしの1話完結型です。
この話込みで、魔剣蒐集録Ⅰはこれでラストです。
読んでくれてありがとうございます。
【幸福の種】
ある時、ある人物は植物を見つけた。
その植物は育つと実りをもたらして、
実りを食べることで腹が膨れるのだと気が付いた。
その人物は、大いに喜んだ。
そして、周りのものに声をかけた。
――一緒に実りを作らないか。
一人で出来ない事が、二人ならできた。
二人で難しかったことが、十人になると安定した。
十人で悩ましかった事が、百人だと知恵を出す者が現れた。
人は、それを様々な名前で呼んだ。
豊穣、効率、力、融和。
名前と共に役割が見えるようになり、
その時に手を取り合う人々は気が付いた。
――この実りは、区切る事ができるのだ、と。
誰かが、実りに柵を立てた。効率よく分け合うために。
誰かが、実りの重さを計算した。皆に行き渡る様に。
誰かが、実りを保管した。もしもに備えて。
誰かが……不安になった。こんなにも、腹が膨れているのに。
そして育ちゆく実りを眺めながら、皆は感じた。
――幸福とは、呪いに似ている。
手放せないような重さを感じるのだから。
~~~~~~~~~~~~~~~
最も古い起源を持つ、と噂される魔剣。
重さを測る秤だったとも、敵を切り裂く刃だったとも伝わっている。
人は、不思議とこの魔剣を見た事がない。
しかしこの魔剣の所為で、人の絆が切り裂かれた……そんな伝承だけが、残っている。
~~~~~~~~~~~~~~~




