【もっとも価値のない魔剣】
【もっとも価値のない魔剣】
その日、商人は悩んでいた。
その理由は、以前から求めていた魔剣の使い方を考えているから――ではない。
手に入れてから気付いたのだが、この魔剣に使い道がなかったからだ。
商人はこの魔剣を使おうとしてそれに気づいたが、
所謂気付くのが遅いと言うやつになっていた。
さて、困ったと商人は悩む。
そこに偶然、一人の若者が通りかかった。
これ幸いと、商人は若者に声をかける。
――お兄さん、魔剣を買って行かないかい?
若者が足を止めてくれたのを喜びながら、商人はそれはもう熱心に魔剣の説明をした。
しかし、要約すると魔剣は1つのメリットとデメリットを持っていた。
――この魔剣は、何とでも交換する事ができる。
――ただし、それは売ってくれるものとしか交換できない。
その説明を聞いた若者は、軽く笑ってこう言った。
――現物と交換すれば良いじゃないか。
その言葉に、商人は頷きながら笑って言った。
――つまり、あんたの銀貨が金貨に化けるって意味だよ。
魔剣は売れた。
若者を笑顔で見送った商人は、さっさと次の町に向かうのだった。
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本来この魔剣は、価値を見えるようにするだけの道具だった。
しかし、人は不思議とこの魔剣に価値を見出す。
肉と野菜を交換しませんか? と聞けば渋るのに、
魔剣と肉を交換しませんか? と聞けば頷くらしい。
そしてこの魔剣、価値がないと気付いた者から手放すそうだ。
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