【敗北の縁】
【敗北の縁】
この商品を売る前に、まずは古い警句の話をしようじゃないか。
その警句に曰く「人は人と別れる時に、必ず負けなければならない」そうだ。
意味が分からない?
いやいや、これからわかる筈さ。
この話はね、「別れを切り出す側が弱い」って意味なんだよ。
多分というか、商人の俺はそう思ってる。
例えて言おうか?
次にお客さんに会いたければ、ちょっとだけ色を付けるだろう?
まあそういう話だと、俺は思ってる。
でもね、ある時負けず嫌いの商人が考え付いたんだ。
――つまり、オマケが得になれば良いのではないか? とね。
それで作ったのがこの短剣さ。
なんと、オマケした、と思ったら少しだけ価値が増すそうだ。
切れ味なのか、魔力なのかは分からないが、
持ち主が何を望んでいるかで価値は変わるんだ。
よく分からない?
まあ要するに、負けているのに勝てる魔剣ってのが大事なのさ。
さあ、あんたはこれを買うかい?
今なら俺が「負けられる」よ。
いい加減、そろそろ売れなくなりそうなんだ。
~~~~~~~~~~~~~~~
親切な商人が売っていた、短剣の形をした魔剣。
商人は、親切にするほど良い結果を生むよ、と言っていた。
しかし現状、この短剣は何の効果も持っていない。
さて、まずは何から「負け始める」べきなのだろうか。
~~~~~~~~~~~~~~~




