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魔剣蒐集録  作者: 健康な人
1章:人と神の寓話
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【無銘の魔剣】

【無銘の魔剣】


 戦士は魔剣を求め、長い旅路をしていた。

 「魔剣」の噂を聞いてあらゆる場所を訪れ、ふらりふらりと世界を旅する。

 見つけた魔剣はへし折った。

 折る事ができない魔剣は、誰の手にも渡らないようにと、使いもしないのに背中に背負う。

 旅の理由はあったのだが、語る相手はもう居ない。


 ――ただただ背中が重たくなるだけの、果てなき旅路がそこにあった。



 戦士の旅路は果て無く続く。

 終わりの見えない道半ば。

 たった一人の孤独な旅

 終わりの見えない道筋に疲れ果てながら、戦士は町に立ち寄った。


 ――その町は、どこか彼の生まれ故郷に似た花の匂いが香る、美しい町であった。



 「無数の魔剣を背負った災厄」「人殺しの刀狩り」「関わるべきではない」

 遠巻きに眺められながら酒を飲むいつもの行為の最中に、しかし唐突にその背に声がかかる。

 「黒騎士! この町から出ていけ! お前に勝負を挑む!」

 振り向くと、そこには青臭い正義感を振りかざす、若い戦士が居た。

 まるで昔の自分を見ているようで腹が立った黒騎士は、短く告げる。


 ――決着は、一瞬でついた。


 若い戦士が地面に倒れる頃には、黒騎士は既に背を向けていた。

 そして戦士の背負っていた魔剣を、一本残らずへし折った



 その町の無縁墓地には、何時からか騎士の墓がある。

 墓には無数の魔剣が、墓標のように立てられている。

 魔剣は誰でも持ち出すことができる。


 ――しかしやがて、黒騎士と共に帰ってくるそうだ。



 ~~~~~~~~~~~~~~~


 無骨な作りの大型の両手剣。

 決して折れず、曲がらず、切れ味を落とす事がない。

 そしてこの魔剣を抜いたものは、必ず戦いの中で命を落とすと伝わっている。


 ~~~~~~~~~~~~~~~

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