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魔剣蒐集録Ⅰ  作者: 健康な人
4章:本質と異質の寓話
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【減らない黄金林檎】

【減らない黄金林檎】


 とある高名な魔術師が、晩年に一つの計画を打ち立てた。

 この国から飢えを無くしてみよう。

 なんというか、そういう荒唐無稽な計画だった。


 消費されるものが、消費されない。

 そんなこと不可能に決まっている。

 誰もが鼻で笑ったが、しかし貧民街の住人は期待した。

 もしかすると、これは凄いことになるのではないか、と。


 やがてしばらくの時間が経ち、

 旅から帰った魔術師は不可能と思われたことを可能にした。

 なんと、本当に絶対に減らない林檎の木を作り出したのだ。

 その実はたっぷり蜜を蓄えて、まるで黄金のように輝いていたそうだ。


 最初は話を信じて飛びついた貧民街の住人が。

 次にその動きを見て興味の湧いた平民たちが。

 そして最後に味を聞いた王侯貴族がその林檎を口にした。


 林檎は、天に上る様な味だったと伝わっている。

 皆が林檎を求めたし、その林檎は全く減らないのだ。

 皆が魔術師を湛え、その様子に満足した魔術師は、

 最後の旅の疲労がたたり静かに息を引き取った。


 魔術師の名は各地に広まり、

 他国からも林檎を分けてほしいと使者が訪れた。

 その林檎は「成功の証」と呼ばれるようになった。




 ~~~~~~~~~~~~~~~


 甘くおいしい黄金の林檎を実らせていた――と、伝わる林檎の木。


 この林檎の木があったから、人々は森の恵みを考えなくなった。

 林檎は減らないのだから、他の実りは些細なものに見えた。

 林檎は毎日、黄金色に実っていたから。

 砂に呑まれた廃墟の木に、実った林檎を見た者はいない。


 ~~~~~~~~~~~~~~~


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