【愚か者の魔剣】
【愚か者の魔剣】
ある時、鍛冶屋に一つの命令が届いた。
その命令を聞いて、鍛冶屋は驚愕した。
なんと、魔剣を作れと言われたのだ。
鍛冶屋も魔剣の話は聞いた事がある。
不思議な力を持つ武器や道具であり、
そしてそれらは一つの例外もなく、人としての何かを切り取るそうだ。
鍛冶屋は考えた。
王は魔剣を作れと言うが、魔剣は意図的な効果を狙って作れるものではない。
どちらかといえば、いつの間にか魔剣になっているものなのだ。
最初から考えた通りの魔剣が作れるなら、
世の中には魔剣が溢れかえっている。
そうして考え抜いた末に、鍛冶屋は一本の剣を作った。
そして、鍛冶屋は王にそれを献上し、こう説明した。
――この魔剣は、恐るべきことに誰にでも使えるのです。
王の注文を知っていた家臣一同は心の中で悪態を付いた。
この鍛冶屋、なんてものを作ってくれたのだ、と。
しかし、王は激怒して鍛冶屋の首を刎ねてこう言った。
――私にだけ使えるようにしろと言ったであろうが、と。
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何者にでもなれ、誰でも使える魔剣。
誰でも振れて何にでもなれるが故に、
この魔剣は「あらゆる魔剣の二本目」になれる。
しかしその代償は、「何者にもなれない」事だと伝わっている。
嘘か真か、これを作った高名な鍛冶屋は、
不敬を働いた国民として処刑されたと語られている。
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