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魔剣蒐集録Ⅰ  作者: 健康な人
4章:本質と異質の寓話
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【愚か者の魔剣】

【愚か者の魔剣】


 ある時、鍛冶屋に一つの命令が届いた。

 その命令を聞いて、鍛冶屋は驚愕した。

 なんと、魔剣を作れと言われたのだ。


 鍛冶屋も魔剣の話は聞いた事がある。

 不思議な力を持つ武器や道具であり、

 そしてそれらは一つの例外もなく、人としての何かを切り取るそうだ。


 鍛冶屋は考えた。

 王は魔剣を作れと言うが、魔剣は意図的な効果を狙って作れるものではない。

 どちらかといえば、いつの間にか魔剣になっているものなのだ。

 最初から考えた通りの魔剣が作れるなら、

 世の中には魔剣が溢れかえっている。


 そうして考え抜いた末に、鍛冶屋は一本の剣を作った。

 そして、鍛冶屋は王にそれを献上し、こう説明した。

 ――この魔剣は、恐るべきことに誰にでも使えるのです。


 王の注文を知っていた家臣一同は心の中で悪態を付いた。

 この鍛冶屋、なんてものを作ってくれたのだ、と。


 しかし、王は激怒して鍛冶屋の首を刎ねてこう言った。

 ――私にだけ使えるようにしろと言ったであろうが、と。




 ~~~~~~~~~~~~~~~


 何者にでもなれ、誰でも使える魔剣。

 誰でも振れて何にでもなれるが故に、

 この魔剣は「あらゆる魔剣の二本目」になれる。


 しかしその代償は、「何者にもなれない」事だと伝わっている。

 嘘か真か、これを作った高名な鍛冶屋は、

 不敬を働いた国民として処刑されたと語られている。


 ~~~~~~~~~~~~~~~



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