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魔剣蒐集録Ⅰ  作者: 健康な人
4章:本質と異質の寓話
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【言葉を整理するインク入れ】

【言葉を整理するインク入れ】


 このインク入れを使っていた学者は、

 言葉を整理すのが下手だった。

 だから何度も何度も書き直しをしなければならなくて、

 最初は使ってもインクが減らない道具として作ったそうだ。


 そうしてインク入れを使っていた学者であったが、

 使っているうちに、最初から整理すればよいのではないか?

 と、考えるようになっていた。

 正しいとされる文章や人気のある表現を組み込んで、

 最初の一つは完成した。


 試してみると、これが中々に、もどかしくも面白い。

 拙い言葉で日記に言葉を書けば、インクが返事をしてくれるのだ。

 おかしなことを聞けばおかしな言葉が返って来て、

 奇麗なことを聞けば、綺麗な言葉が返ってくる。


 望む言葉を引き出すために、まずは自分の言葉を整理する必要がある。

 これがこのインクの本当の力なのだと理解して、

 学者はすぐに思いついた。


 ――これをみんなに使って貰えれば、この論文の完成度が上がるのでは?

 そうして学者は、周りの人物にこれを勧めた。

 自分の言いたい事が整理できる、素晴らしい、と皆が喜んでくれた。

 学者は自身と共に確信を得た。


 そして、問題は暫くして起こった。

 このインク入れについての論文が却下されたのだ。

 便利だと言っていたじゃないかと思い、

 どうしても納得できない学者は理由を尋ねた。

 ――ああ、すまない。有名じゃなかったから読み飛ばしてた。


 中身は読まれていなかったらしい。

 自分が道具ではなく危険な魔剣を作ったことに、学者はようやく気が付いた。

 失敗した。これは違いを理解する力を奪うのだ、と。



 ~~~~~~~~~~~~~~~


 使っても減らず、自分が言いたい言葉を整理してくれる魔剣。

 使うことは禁じられているのだが、使えば恐ろしく便利である。


 しかしこの魔剣の真に厄介なところは、

 複製が容易である上にかなりの数が作られていることだ。

 学者が書き上げた論文は誰にも読まれなかったが、

 魔剣の製法は広く知られている。


 ~~~~~~~~~~~~~~~


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