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魔剣蒐集録Ⅰ  作者: 健康な人
4章:本質と異質の寓話
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【異質なる魔剣】

【異質なる魔剣】


 これは、異なる場所に一滴だけ混じった想像だった。

 いや、果たしてこれは異なっているのか。

 星を見て描いた星座に間違いが無いように、

 きっと想像の翼は誰にだって生えている。



 故に、この魔剣はなにもない。

 数多の物語の中に埋もれ、ずっと日の目を見ていない。

 少なくとも多くの者は、この魔剣が実在するとは信じていない。


 だから少しだけ手間を惜しんで、考えるのではなく誰かに聞いた。

 返ってきた答えと速度に満足し、彼らは納得と共にこういった。


 ――なるほど、これは便利である。



 この瞬間に人の翼は軽くなり、魔剣の翼は重くなった。

 その翼は、かつて何と呼ばれていたのか。

 噂? 伝承? それとも神話?

 しかしそれは、今では「想像力」と名付けられているに違いない。



 その魔剣は、今はまだ誰にも抜かれていない。

 だから誰も傷つけていない。

 誰かがどこかで頼んだ想像が、

 誰にも見えない真っ暗な電子の深海に降り積もる。


 この魔剣は、自ら人を傷つけない。

 しかしきっと、いつかこの魔剣は人を傷つけるのだろう。

 あらゆる魔剣が、人によって望まれ産み出されたように。



 ~~~~~~~~~~~~~~~


 古に曰く。

 魔剣とは人の何かを奪って産まれると言う。

 便利さの中にあってこそ、魔剣は強大に育つそうだ。


 そして人は己の代わりを、危険ではなく便利という。

 少なくとも、その便利さが己を傷つけるまで。 

 故にこの魔剣は、きっと便利さで翼が傷つかない者が抜くのだろう。


 ~~~~~~~~~~~~~~~




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