【異質なる魔剣】
【異質なる魔剣】
これは、異なる場所に一滴だけ混じった想像だった。
いや、果たしてこれは異なっているのか。
星を見て描いた星座に間違いが無いように、
きっと想像の翼は誰にだって生えている。
故に、この魔剣はなにもない。
数多の物語の中に埋もれ、ずっと日の目を見ていない。
少なくとも多くの者は、この魔剣が実在するとは信じていない。
だから少しだけ手間を惜しんで、考えるのではなく誰かに聞いた。
返ってきた答えと速度に満足し、彼らは納得と共にこういった。
――なるほど、これは便利である。
この瞬間に人の翼は軽くなり、魔剣の翼は重くなった。
その翼は、かつて何と呼ばれていたのか。
噂? 伝承? それとも神話?
しかしそれは、今では「想像力」と名付けられているに違いない。
その魔剣は、今はまだ誰にも抜かれていない。
だから誰も傷つけていない。
誰かがどこかで頼んだ想像が、
誰にも見えない真っ暗な電子の深海に降り積もる。
この魔剣は、自ら人を傷つけない。
しかしきっと、いつかこの魔剣は人を傷つけるのだろう。
あらゆる魔剣が、人によって望まれ産み出されたように。
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古に曰く。
魔剣とは人の何かを奪って産まれると言う。
便利さの中にあってこそ、魔剣は強大に育つそうだ。
そして人は己の代わりを、危険ではなく便利という。
少なくとも、その便利さが己を傷つけるまで。
故にこの魔剣は、きっと便利さで翼が傷つかない者が抜くのだろう。
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