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魔剣蒐集録Ⅰ  作者: 健康な人
4章:本質と異質の寓話
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【正直者の槍】

【正直者の槍】


 ある時、戦いに赴こうとした若者が居た。

 若者は旅の途中で休憩しながら先に進んでいたのだが、

 その道筋で怪しい商人に出会う。

 その商人が言うには、己が持っている槍が魔剣だから買い取らせて欲しいと言うのだ。


 若者は、それは違うと答えた。

 これは今日の朝に買った何の変哲もない槍で、魔剣などではないと答えた。

 そうすると商人は、ますますその槍を欲しがった。

 積まれた金は、今から村に逃げ帰っても歓迎されるような額だった。


 しかし、若者は槍を譲らない。

 その様子にますます商人は確信を強め、更に倍の金額を提示した。

 それでも若者は、己はこの槍で戦い国を守るのだと、頑として譲らない。


 若者の言葉に感心し、商人はようやく諦めた。

 そして気持ちよく分かれたのだが、そんな若者に別の人間が声をかけた。

 ――その槍、ほんとはどんな凄い槍なんだ? と。


 それに、若者はこう答えた。

 ――知らないけど、目立ったら狙われるじゃないか。




 ~~~~~~~~~~~~~~~


 この槍は、正直者にしか気づかれない魔剣である。

 この魔剣を持つものは、嘘つきから姿を隠すという。

 正直者とは、もしかすると何者でもないのかもしれない。


 ~~~~~~~~~~~~~~~



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