【貪食者の顎】
【貪食者の顎】
旅の戦士がとある村に立ち寄った。
その村は肥沃な土壌と暖かな気候に恵まれている、とても豊かな土地であった。しかし村には痩せた人々しかおらず、倉庫にある貯えも一冬越すのが関の山と言った有様であった。
それを不思議に思った戦士は、酒場で飯を食いながらやんわりと己の疑問を口にする。戦士の質問を受けた酒場の主は戦士の疑問に答えた。曰く、この地で取れる食料の殆どは、この地を支配する巨大な竜への貢物として捧げているのだとか。
その話を聞いた戦士は、腕に覚えがあった事も手伝い竜の討伐へ乗り出した。
竜の住処へ辿り着いた戦士は、大きな竜と相対する。
戦士を飲み込もうと大口を開ける竜の下顎を切り落とし、ぶくぶくと太っていた竜の腹を難なく裂いた戦士は、呆気なく竜の討伐を成し遂げてしまう。
村人たちは戦士に感謝し、近くに寄れば是非村に立ち寄って欲しいと、別れを惜しみながら旅立つ戦士の背を見送った。
数年後、かつて竜を討伐した戦士は偶然あの村の近くを通りがかっていた。
いつかの出来事を思い起こし、懐かしい気持ちになりながら戦士は村に立ち寄った。
戦士が目にしたのは、緑に覆われた田畑、自由に駆け回る家畜たち。そして、戦士に気づく事無く口に食べ物を運ぶ、手足がついた肉の塊であった。
~~~~~~~~~~~~~~~
何かの生物の顎の骨を打撃部とし、持ち手は堅い木で作られている大型の打撃武器。
生え揃った歯は白骨化した後もしっかりと固定されており、単純な打撃だけでは生み出せない必殺性を有している。それは人が忘れてしまった、非食者としての恐怖を思い起こさせる。
~~~~~~~~~~~~~~~




