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魔剣蒐集録Ⅰ  作者: 健康な人
3章:伝承と喪失の寓話
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【宝王の貴剣】

【宝王の貴剣】


 その昔、財を極め宝王と呼ばれた商人が居た。

 宝王はあらゆる貴金属と宝石をその手に集めた。

 全てを手に入れた宝王は、しかし金属と宝石の輝きに満足できなかった。

 半生をかけて集めた財が、それこそ山のように目の前に積み上げられてはいる。

 しかしそれらを、全てを視界に納めることができない事が許せなかったそうだ。


 全ての宝石が一つになってしまえば、何かを見落とす事などない。

 そう信じた宝王は、有り余る財をつぎ込み、国中の鍛冶を呼び寄せ、

 集めた全ての金属と宝石を惜しみなく提供して、それら全てを混ぜ合わせる方法を考えた。


 誰も出来るなどと思わなかったその試みであった。

 しかし残る人生と財の全てを注ぎ込んだ結果、奇跡とも言える偶然の果てに、

 宝王が求めた一振りは完成した。


 宝王の蔵には何の財も残っておらず、

 住む場所さえ失った彼は、唯のみすぼらしい天涯孤独の老人になってしまう。

 しかしそんな事など気にしない宝王は、剣の出来栄えに満足し工房を後にする。


 宝王にとって、一番大事なものは財であった。

 だから彼は全てを失い、剣だけを得た。

 そしてそれは、彼にとっては満足だった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~


 まるで光を吸収しているような錯覚すら覚える、漆黒の刀身を持つ大型の短剣。

 どれほど堅い物にぶつけても刃毀れしない、

 驚異的なねばりと堅さを備えている未知の金属で作られている。


 しかしこの魔剣は、大切なものを無数に飲み込まなければ使えない。

 きっと宝王のような存在だけが、この剣を正しく振るえるのだ。


 ~~~~~~~~~~~~~~~



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