【真実を語る耳飾り】
【真実を語る耳飾り】
この耳飾りを付けると、本音が聞けるそうだ。
それを教えられた時、男は心が躍った。
この魔剣を付けていれば、その言葉が真実なのだとも理解できたからだ。
そうして男は魔剣を買い取り、交渉事の際には必ずこれを付けるようになった。
そして、暫く使っていると、この魔剣の厄介さに気が付いた。
この魔剣――確かに便利なのだが、便利なだけなのだ。
本心を知っていても、譲れない条件は幾らでもある。
その癖に聞きたくない言葉は、つらつらと幾らでも聞こえてしまうのだ。
最初は便利だと思っていたが、やがて嫌になって手放してしまった。
そうしてしばらくその魔剣の事を忘れていた男であったが、
ある時を境に、この魔剣が持ち主に出会ったという噂を聞いた。
件の人物が気になった男は、その人物に会いに行って、心の底からの疑問を投げた。
――こんな話ばっかり聞いていて、気が狂わないのか?
男の言葉に、魔剣の持ち主は心底不思議そうに首を傾げた。
――なんだ。お前さん、建前が聞きたかったのか?
彼にとっては、愛の告白も殺意の吐露も、ただの音と言葉の羅列だった。
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耳飾りに見える魔剣。
この魔剣を使いこなすには、非常に強固な自我が必要となる。
その強固さは、あるいは無関心と呼ぶのかもしれない。
人が人として生きるには、きっと建前という名の配慮が必要なのだろう。
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