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魔剣蒐集録Ⅰ  作者: 健康な人
3章:伝承と喪失の寓話
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【真実を語る耳飾り】

【真実を語る耳飾り】



 この耳飾りを付けると、本音が聞けるそうだ。


 それを教えられた時、男は心が躍った。

 この魔剣を付けていれば、その言葉が真実なのだとも理解できたからだ。

 そうして男は魔剣を買い取り、交渉事の際には必ずこれを付けるようになった。


 そして、暫く使っていると、この魔剣の厄介さに気が付いた。

 この魔剣――確かに便利なのだが、便利なだけなのだ。

 本心を知っていても、譲れない条件は幾らでもある。

 その癖に聞きたくない言葉は、つらつらと幾らでも聞こえてしまうのだ。

 最初は便利だと思っていたが、やがて嫌になって手放してしまった。



 そうしてしばらくその魔剣の事を忘れていた男であったが、

 ある時を境に、この魔剣が持ち主に出会ったという噂を聞いた。

 件の人物が気になった男は、その人物に会いに行って、心の底からの疑問を投げた。

 ――こんな話ばっかり聞いていて、気が狂わないのか?


 男の言葉に、魔剣の持ち主は心底不思議そうに首を傾げた。

 ――なんだ。お前さん、建前が聞きたかったのか?


 彼にとっては、愛の告白も殺意の吐露も、ただの音と言葉の羅列だった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~


 耳飾りに見える魔剣。

 この魔剣を使いこなすには、非常に強固な自我が必要となる。

 その強固さは、あるいは無関心と呼ぶのかもしれない。

 人が人として生きるには、きっと建前という名の配慮が必要なのだろう。


 ~~~~~~~~~~~~~~~




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