【絶対に正しい地図】
【絶対に正しい地図】
――この地図は、絶対に正しい。
酒場で飲んでいた男は、そんな口論に出くわした。
仲裁しながら話を聞いてみると、どうやらこの地図、こんな姿だが魔剣らしい。
行こうとするどんな場所の地図も、必ず正しく読み取って写し込むという。
――なるほど、非常に便利な道具である。
思った事を口にした男は、しかし口論していた両者から全く違う言葉を受け取った。
片方からは、便利だろう? と。
もう片方からは、正しさの証明ができないじゃないか、と。
男は迷った。
なるほど、確かにどちらの言うことにも一理ある。
非常に便利な反面で、この便利さを正しいと証明する事ができない。
確認すればわかるのだろうが、それなら普通の地図と変わらない。
考え込んだ男の様子にどう感じたのか、二人の口論は激化した。
地図に否定的だった男の方が、先に我慢の限界に来たらしい。
話にならんと、肩を怒らせ立ち去ってしまう。
残された男は、あいつも強情だなと言いつつ上機嫌だ。
己を、一緒に冒険に行かないか、と誘ってくる。
どうやらこの魔剣を使って冒険に行くつもりらしい。
――なるほど。これは確かに魔剣である。
この男は、友ではなく地図を見ている。
男は申し出をやんわりと断って、
静かになった酒場で酒を流し込むのだった。
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地図の形をした魔剣。
地図は古びているのだが、線だけは妙に新しい。
ただこの地図、分かりやすい欠点がある。
少しばかりの過剰な自信がなければ、使おうと思えないことだ。
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