【冒険を中断できる羅針盤】
【冒険を中断できる羅針盤】
この世界では、一人で旅をしてはいけないと伝わっている。
襲撃を警戒する野営、話し相手がいない孤独、困った時に差し伸べられる手がない等々。
理由はまあ何とでも言えるのだが、これ自体は唯の警句である。
そしてこの羅針盤を使えば、
なんと冒険の途中で安全な場所へと戻る事ができるのだ。
しかし対価に、羅針盤を使うため「冒険した記憶」を捧げる必要がある。
つまりこの羅針盤、冒険を中断できるのだが、中断するまでの冒険を忘れてしまう。
羅針盤を使った者は、自分が冒険を中断した事実を覚えている。
しかし同時に、「どこで中断した」かを覚えていない。
命の危機に瀕したから戻ろうとしたのか。
休憩するために戻ったのか。
足りない道具を求めて戻ったのか。
サッパリ何も覚えていない。
だから結局、この羅針盤が正しく使われる事は殆どない。
再開された冒険があったかどうかを、覚えている者はいない。
ただ一つ知られていることは、この羅針盤は一人用だということだ。
要するにこの羅針盤を持つ者は、必ず一人で冒険することになる。
おそらくそれが、ただ一つの欠点だ。
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古い見た目の羅針盤。
冒険を中断できる不思議な効果を持つのだが、
この羅針盤が魔剣に分類される理由は別にある。
一人用のこの羅針盤を持ってしまうと、人は古い警句を無視してしまう。
その結末がどうなるのかを、羅針盤だけが知っている。
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