【使われない担保】
【使われない担保】
この魔剣は、これと共に作られた「必ず開く鍵」を使わなければ開かない。
開けた者はいないのだが、少なくとも開け方はそうなのだ、と伝わってはいる。
最初に、この宝箱にとても大事なものを入れて、この錠前を掛けたそうだ。
それ以来、この錠前は一度も空いていないと言う。
そしてある時、この話を聞いた一人の男は、こう考えたそうだ。
――鍵が開かなくても、宝箱を壊してしまえば良いのでは?
周りもその通りだと納得して箱を壊したのだが、
箱の中身は空であったと伝わっている。
不思議に思う周囲に、男はこう言ったのだ。
――つまり、この錠前が中身を隠しているのだ!
そう言ってこの魔剣を譲り受けた男は、
様々な場所を冒険して、錠前の開け方を探る事になる。
男は遂に錠前を開ける事ができなかったが、裕福にはなった。
そして、家族にこう言い残したと伝わっている。
――俺の代わりに、この錠前を開けてくれ。
少なくとも、記録ではそう伝わっている。
いつしか最初の男が何を隠したのかは、あまり気にされなくなった。
広く知られているのは、この魔剣の価値が、
高まり続けている事実だけだ。
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開かれた事がない宝箱だとも、絶対に空かない錠前だとも伝わる、
大きな錠前の形をしている魔剣。
この魔剣の真価は中に隠された宝にあるのだと伝わっているが、
現在の持ち主は、これを「絶対に壊れない鈍器」として使用している。
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