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魔剣蒐集録Ⅰ  作者: 健康な人
2章:神と伝承の寓話
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【選択肢の看板】

【選択肢の看板】


 この看板――というよりも、看板の柱に使われている金属の棒は、魔剣である。

 旅の商人曰く、かつてこの分かれ道を間違った方向に進んだ人物が、

 己と同じ失敗をしないように、と残していったんだ。



 商人と同席していた旅人が、ふと気になって聞いてみた。

 ――何故そんな事を知っているのか?


 すると商人は、笑いながらこう言った。

 ――俺がその失敗した人物だからだよ。



 旅人は驚いた。

 そして、呆れてこう言った。

 ――失敗してるなら、進む前に答えを教えてくれよ。


 商人は言った。

 ――お前が選ばなかった方を、俺は選ぶ。だから教えられない。



 旅人は、その言葉に納得した。

 商人と話し終えた旅人は、少し悩んでから来た道を戻った。

 そんな選択をした旅人の背後から、嬉しそうな声がかかった。

 ――賢そうなやつに声をかけて良かった。やっとこれが持って帰れるよ。


 振り返ると、そこには看板も商人も居なくなっていた。

 どうやら自分は、賢い選択をしてしまったらしい。



 ~~~~~~~~~~~~~~~


 とある旅人が見かけた、と書き記している魔剣。

 書かれた言葉を信じるのであれば、何かをやり直す事ができるようにも見える。

 しかし進まなかった者には、やり直す機会自体が存在しない。

 あるいはそれを、人は賢さと呼ぶのかもしれないが。


 ~~~~~~~~~~~~~~~


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