【選択肢の看板】
【選択肢の看板】
この看板――というよりも、看板の柱に使われている金属の棒は、魔剣である。
旅の商人曰く、かつてこの分かれ道を間違った方向に進んだ人物が、
己と同じ失敗をしないように、と残していったんだ。
商人と同席していた旅人が、ふと気になって聞いてみた。
――何故そんな事を知っているのか?
すると商人は、笑いながらこう言った。
――俺がその失敗した人物だからだよ。
旅人は驚いた。
そして、呆れてこう言った。
――失敗してるなら、進む前に答えを教えてくれよ。
商人は言った。
――お前が選ばなかった方を、俺は選ぶ。だから教えられない。
旅人は、その言葉に納得した。
商人と話し終えた旅人は、少し悩んでから来た道を戻った。
そんな選択をした旅人の背後から、嬉しそうな声がかかった。
――賢そうなやつに声をかけて良かった。やっとこれが持って帰れるよ。
振り返ると、そこには看板も商人も居なくなっていた。
どうやら自分は、賢い選択をしてしまったらしい。
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とある旅人が見かけた、と書き記している魔剣。
書かれた言葉を信じるのであれば、何かをやり直す事ができるようにも見える。
しかし進まなかった者には、やり直す機会自体が存在しない。
あるいはそれを、人は賢さと呼ぶのかもしれないが。
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