【背徳の連鎖】
【背徳の連鎖】
ある国に、親を知らない双子の兄妹がいた。
妹は歩く事もままならず、横になるのが常であるほどに病弱であった。
妹の兄は優しく、言葉足らずの妹の言葉を聞き分けられる聡明さを持っていた。
妹の心は、兄に向いていた。
最初は憧れだったのかもしれない。
しかし女へと成長した少女の心には、子どもが物語の英雄に憧れるような感情は既にない。
少女は求めていた。兄を。兄の心を。兄と呼ばれる男を。
大地が紅く燃え上がり、痛々しく広がる大地の亀裂から灼熱の溶岩が噴き出した。
焦土と化した灰の大地で暴れ狂うのは、双頭の片方を失い燃え盛る深紅の血を流す紅く巨大な竜であった。竜から逃げ惑う人の流れに逆らい、鮮やかな紅髪の青年が竜に挑む。
暴れ狂う竜はその顎で青年を喰らい、歓喜の咆哮を上げた。
国が焦土となって十数年、生存者が作った村の片隅には一つの孤児院が建てられていた。
孤児院の庭では今日も子供たちが元気に走り回る。
子どもたちの中には体が病弱な妹と聡明な兄の兄妹が居た。
彼と彼女の髪は、鮮やかな赤色だったそうだ。
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柄尻を太い鎖で繋がれた、二刀一対の肉厚の短双剣。
鎖は何処までも伸びるが、刃同士が離れるとその距離が遠ければ遠いほど強力な炎を纏い、急速に元に戻ろうと縮み始める。
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