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俺TUEEE(実はYOEEE)勇者だって言うんだから、そりゃあ勇者だろ。  作者: ささのは


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ep7.しずんだ空気の村

カイザーは、鼻を鳴らして彼らの前へと歩み寄りました。その足音は重く、一切の迷いがありません。


「おい、そこの薄汚い連中。道を空けろ。俺様の歩く道に、そんな情けない面を並べるんじゃねぇ」


冒険者の一人が、お調子者のような笑みを浮かべて見上げました。 「へへっ、旦那、あんたも逃げてきたのか? 無理すんなよ、あの森のワイバーンは化け物だ。俺たちみたいなプロが諦めたんだ、賢く待つのが一番さ」


カイザーの額に青筋が浮かびます。しかし、彼は剣を抜くことさえしませんでした。ただ、圧倒的な威圧感を持って、その冒険者を見下ろしました。

その時です。村の空を覆う巨大な影。 冒険者たちが恐れていたワイバーンが、獲物を求めて村へと急降下してきました。悲鳴を上げる村人たち。腰を抜かす冒険者たち。


しかし、カイザーは動きません。逃げるどころか、あくびを噛み殺しながら、迫りくるワイバーンを**「ゴミを見るような目」で一瞥いちべつしました。


「……五月蝿いトカゲだ。俺様の高貴な静寂を邪魔するな」


カイザーが発したのは、ただそれだけでした。しかし、その言葉に込められた「俺様がここにいるのに、何故そんな端役が騒いでいるのか」という絶対的な傲慢さと自信が、空気の震えとなって周囲に伝播しました。


ワイバーンは、本来なら獲物を食い散らかすはずでした。しかし、眼下に立つ男から放たれる「自分を生物として認識すらしていない圧倒的な格上感」に、本能的な恐怖を覚えました。獲物を狙うための急降下は、恐怖による制御不能の旋回へと変わり、ワイバーンは村の建物に触れることすらできず、パニック状態で空の彼方へと逃げ去ってしまいました。


冒険者たちは、口を半開きにしてその光景を眺めていました。カイザーは指一本動かさず、ただそこに立っているだけで、絶望的な脅威を追い払ってしまったのです。


カイザーは、腰を抜かしたままの冒険者たちに向き直りました。励ましの言葉も、説教もありません。あるのは、魂を削り取るような断定的な言葉だけです。


「見たか。あれが『格』の差だ。俺様が勇者、カイザーだ」


彼は一歩踏み出し、リーダー格の男の胸ぐらを掴んで引き寄せました。


「お前ら、自分が『プロ』だと言ったな? 笑わせるな。お前らが待っているのは『強い誰か』じゃない。自分の無能を正当化するための『言い訳』だ」


カイザーは、まるで汚い物を見るように手を離し、吐き捨てるように言いました。


「いいか、よく聞け。俺様に救われたという事実は、お前たちの人生で唯一の誇りにしていい。だが、次に俺様がここを通る時、まだそんな腐ったツラをさらししていたら……その時は魔物より先に、俺様がお前らを叩き潰してやる。俺の視界に、弱者は必要ねぇ!」


カイザーは、彼らの返事を待つこともなく、ひるがえって村の出口へと歩き始めました。


「さて、次の町へ行くぞ。こんな湿気臭い村、俺様の居場所じゃねぇ。最高の酒と、俺様を称える歓声が待っているはずだ!」


残された冒険者たちは、立ち尽くしていました。 彼らの心には、恐怖と共に、今までに感じたことのない激しい衝動が突き上げていました。


「……あんなに、堂々として……」 「俺たち、何をビビってたんだ? あいつを見た後じゃ、自分がみじめすぎて、もう座ってなんていられねぇよ」


一人の冒険者が、震える手で剣を握り直しました。 カイザーが与えたのは「助け」ではなく、「俺みたいになりたければ、はいつくばってでも強くなれ」という強烈な指標だったのです。


カイザーは、背後で冒険者たちが立ち上がる気配を感じながらも、一度も振り返ることなく、陽光の差す街道へと消えていきました。

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