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おっとりの秘訣は夫を窓から落とすシミュレーションをしているから〜一人旅で出奔、のはずがずっと夫がついてくるので〜  作者: リーシャ


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92/119

92どかしてくれと言ったあとにすぐ卵を融通してくれという

動かす気はないということはよくよく理解していった。


「こ、コレス殿……あ、エレラ殿」


もしかして、その顔はどうにかしてほしいという意味?


いや、うん、無理かなぁと思ったので笑った。


「別に暴れて破壊するわけではないですし。逃がすことなんてないでしょうし、様子を見てみればよいのでは?できることは誰にもないみたいですし」


王はがっくりと首を低くして「そうだな」と苦い顔をしていた。


「ところで……ものは相談なんだが、卵をこちらにゆずってはくれないだろうか」


「今さっき、どこかへやれと言った舌の根も乾かないうちに。言っている意味がわからん」


「そ、そこを、な、なんとか!わ、詫びよう!心からっ。だから、是非ゆずってほしいのだ」


いつでも食べられるようになるので、貴重でないことには気づいていたらしい。


確かに調子が良すぎる。


さっきまでここではない場所、違う場所へやるように言ってたのに。


コレスはふーんと足を組んで目を細め、王を見た。


卵が惜しくなる気持ちは有り余るほど理解できるものの、もう少し期間をおけばいいのに。


せめて。


王たちは、諦めきれないのか、こちらに懇願するように見てくる。


しかし、それをすることは絶対にない。


自分の食べる量は決まっているから、寄越すのは自分が食べる量を減らすことと同義である。


エレラは何も聞かないふりをして、懇願をさらりと避けた。


「料金は良い値で払う」


「本当に払えるのか」


「ん?その、どれくらいになるのだろうか」


という男の問いにコレスは紙に値段を書いて渡す。


それを王らが読み取ると飛び上がった。


「こ、こ、これは、その、高すぎないか?」


「飼育費、人件費、維持費」


「ぐぬ……!」


トカゲドリの卵が高いのはトカゲドリが馬鹿強く卵を取るのが命懸けで、そこに行くまでや帰るまでも命懸けな道のりだから。


因みに、取る人は高ランクじゃない場合も多い。


取るだけならば、連携で親鳥から卵を取れるから、命を張る部分があるとすれば親鳥に出会ってしまった場合。


「いつも買っている値段よりも高い」


そうなると、安全に取れるから安くなるだろうという頭の隅にあった値段とはかけ離れた値段になっている。


ぼそりと王が呟く。


「お前達が買えないのは、流通している量があまりに少ないからだろう。それと値段はなんの関係もない」


いつもその値段で買っていたのならば、同じ値段を払っても文句など本来はないだろうと言外を含ませて、付け加えていくコレス。


エレラはトカゲドリの卵なんていう珍味で手が届かない値段のものを食べたことなどないので、いつもどれほど支払っているのかなど知らない。


「いらないなら買わなくていい。買えとは言ってない。そっちが勝手に買いたいとと言い出したから仕方なく、涙を飲んで譲ってやるという意味での値段だが?」


案に流通や希少だから、値段が跳ね上がっているわけではないとトカゲドリを持ってきた彼は言う。


恩着せがましくいう、男の話術に内心舌を巻く。


「ぐぬぬぬぬ」


悩みに悩む王には、いつ買えるかわからない卵を待ってあせくせ交渉するよりも、ここで買った方がいいとみんな思っているだろう。


少しこっちの方が高くても。


コレスは期間を決めて、優先して売ることを契約書に盛り込むという内容を口にする。


早い者勝ちだからね。


優先権があると、楽だと思う。


「条件はある。自分達の金で買うことだ。税金なんかで買われたら万が一のとき、原因になるこちらが恨みの対象になって背負う必要のないトラブルが起きるからな」


王は悩みに悩んで目をカッと開ける。


「わ、わかった!よし!買おう!」


という威勢のいい声音を大音量で発して、お金を用意するようにと誰かに言いつける。


「コレス殿の言う通りにしよう」


「もし、トカゲドリの卵を寄越せと言われたら、王族に優先権があると言うからな」


「ああ、こちらの名を出してもいい。そんなことを言うのは大体にして我が国の貴族たちだろうしな」


王は疲れた顔を見せた。


「トカゲドリの卵は直接届ける。落ちて割れて誰かが責任を持たされるのも酷な話。それに、大仰にされたら卵を融通していることが知られて自分達もとなる。キリがない」


「なるほどなるほど」


王の側近らが頷く。

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