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78自動販売機、魔導販売機設置

家に置くしか、この付近の土地を救う方法がなさそう。


「わかった。飼おう。私が先に妖精を飼ってるから、そもそもあんまり、言う権利なかったかもだし」


「そんなことはない。お前の家でもある」


「既に妖精がたくさんいるから。鳥が増えたくらいで、色々言うべきじゃないかな」


「言ってもいい。でも、お前も濃厚な卵を食べたいだろ?」


と、どっさりある卵を見せてくる。


ぐはっとなる。


この卵の数。


見ているだけで震えてきそうだ。


コレスはこちらの様子を見て、すかさず吹き込む。


「この卵はダメだが。明日は採れたて卵を温泉に浸けて、半熟温泉卵にしたくはないのか?」


耳に悪魔の囁きが。


完全に落ちたエレラは、ごくりと喉を唸らせた。






次の日の朝、卵が焼ける香りに起こされる。


「いい香り」


キッチンまで体が誘導されていく。


コレスが焼いて皿はテーブルにあった。


妖精専用の食べる場所がテーブルにあるのだが、そこにあるものが直ぐになくなる。


美味しく彼らも食べていた。


「人間社会じゃバカ高いんだから、味わってゆっくり食え」


妖精らに向けて言い含めていた。


言っても理解できるとは思えないんだけど。


椅子に座って見事なつるりとした卵を見遣る。


そこへ鎮座する美しい黄色い色。


昨日はびっくりしすぎて気づかなかったけれど、大きい。


エレラの知っている卵の二倍か三倍ほどの大きさだ。


大きいにも程があると頬が無意識にあがる。


美味しいのに大きい。


食べれる時間が多いということ。


胃袋がこれで満たされる幸福。


「美味しい……最高か。ここは最高の食卓か」


つい、ポエムみたいな言葉が出てきた。


無意識って凄い。


コレスは嬉しそうにたくさんあるぞと、卵をごろごろ見せてくる。


値段を考えたら後ろに倒れそうになるから、敢えて見ないようにしてたんだけど。


しかし、と目線はお皿に。


食べたところから、黄身がトロリと出てきている。


色が濃くて、栄養価が高そうでもある。


卵の黄身は、異世界でも栄養があると食べることを推奨されるほど。


ということは、この黄身はどれほどの栄養を蓄えているのか。


少なくとも鶏の二倍か三倍。


この世界からして、かなりの順位になる。


もしかしたら、一番の可能性もありうる。


それくらい美味。


「ふわぁ……温泉卵」


語彙力を失わないように目的を口にする。


「ああ。ちゃんと準備している」


背負子を手にしていた。


やはり気に入っているのだな、それ。


エレラは仕方ないなー、とかなり楽な移動方法なので否やはなく頷く。


「温泉卵には塩」


「塩も用意している」


「お皿とかもいるね」


お皿もコレスは準備済みだと告げてくる。


準備万端だ。


そうなればエレラは食べることが今、やるべきことになる。


「今日は水筒売る?」


「希少価値を上げるには少ない量の方がいい。魔導販売機の設置をする」


「遂に。予定より遅れちゃったね。たくさん買われると、それだけ購入者が減るから数量は限定しとかないと」


ちゃんと一人何個までという制限をかけておく。


お金を持つ人が人を雇って買わせても、エレラ達が売っても同じことになるという結論になったので、自動販売機、または魔導販売機を露店街へ設置することにしたのだそう。


毎回時間を取られては、やりたいこともできないとなる。


自身もやりたいことはまだやってない。


温泉に関してはもう待つだけなので、水鉄砲や花火についても勧めていきたい。


エレラ達は花火をするために鉱石が必要となり、山へ行くたびに鉱石がないかと探している。


妖精に頼んでみたところ、鉱石は鉱石でも魔石、魔法石、魔鉱石と言われる魔力を持つ原石しか見つからない。


「魔法石はいいんだけど」


欲しいのは魔力のない方なのだが、妖精に頼んで見つからないのならば自力で見つけていくほかない。


何気なく言っているが、魔石の原石がある場所を当ててしまい面倒に感じている。


「売るか?原石は使い道があまりない」


「売ったら出所聞かれる」


「おれはSランクだぞ。どうとでも言えるだろ」


「絶対に原石の場所見つけましたよねって、思われるか聞かれるけど」


「実はもうその土地は買ってあるかは、聞かれても取れないけどな」


魔力温泉の近くにあったそこ。


どうみても関連性がありそうだ。


どちらが先で、どちらが後なのか。


「思ったんだけど。温泉よりも魔法石が目的で温泉を買い取ってたりするんじゃない?」


「どうだろうな。近いと言ってもあるかないか掘ってみないと、わからないぞ」


コレスだって、魔法石の魔力を感知して探すのは困難だ。


仮に見つけようとしても気が遠くなる時間がかかる。


規模や量だってわからない。


そんなものにかけるよりも、モンスターを倒した方が効率がいいのだ。


モンスターを倒さない王家には、臨時収入になるのだろうけど。


「温泉卵温泉卵」


「今日はギルド員の奴らが来る日だから顔見せするんだったな」


「あっ。そうだったねえ」


それならば、隠したまま温泉を買い取ろうとする理由になる。


どちらせよ、温泉は絶対に何があっても渡さない。


「温泉は渡さないっ」


コレスへ再度言う。


「なにをしても渡さないから安心しろ。盗ろうとしたら痛い目に合わせる」


「とっても頼もしい。絶対絶対、絶対だからね」


「約束する」


彼へとくとくと言い聞かせておく。


どれだけ大変だったか。


「よし、水筒販売機設置しに行こうか」


というわけで、露店街に向かう。


露店のところに向かうと、やはり待っている人達がちらほら。


場所の契約はしているから、同じ場所で売る。


「あ、もしかして……」


「水筒だ!」


「あの、売ってください!」


と、人が来る前にコレスが魔導販売機を置く。

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