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おっとりの秘訣は夫を窓から落とすシミュレーションをしているから〜一人旅で出奔、のはずがずっと夫がついてくるので〜  作者: リーシャ


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67/119

67王様が直接家に来たので

追い払った三日後。


また来た人達。


今度は顔色を青くしていた。


さらにさらに、雅な乗り物に乗った人がいそいそとこちらを窺う。


コレスは奥で待っていろと言うので、窓から覗いている今現在。


随分と人が多い。


ぞろぞろやってくるから、目立ったろう。


その人はお付きの人に紹介されてたけど、家を見て口をぱくぱくさせていた。


この人も妖精が見えるらしい。


この国の人は妖精が見える人が多いらしいので、見えても不思議ではないのだ。


しかし、王まで来たということは、愛し子はやはり、国にとって重要な事業か、それに匹敵する神輿だったのか。


どちらにせよ、妻がいる男に声をかけるのはやめさせた方が、本当にいい。


コレスは王という人にもいつもの上から目線を崩さないで、何用だと低い声で問う。


「はっ!それはっ、ですね……」


オドオドしている感じからして、相手がギルド員であることやSランクであることを、掴んでいるらしいことが窺える。


「この度は愛し子のミナイサが、大変ご迷惑をおかけしてしまっていたと、こうして謝りにきました」


オドオドする人の代わりに隣にいた偉そうな立場の人が話す。


女性ではないということは王妃ではない。


多分、宰相。


「本人は来ないんだな」


役職的に、代わりに話せる存在なんて限られている。


王はハッとした顔で、家の周りを見回してコレスに向き直る。


「コレス様。この家の妖精は」


急に話し出す王は、コレスの射殺すような目つきを気にしてない。


というより、気付いてなさそう。


興奮して他が目に入ってないと、見受けられる。


「妖精?なんのことだか」


周りの人達は気付いて焦る様子が広がった。


「この家にたくさん飛んでいます」


もう話すのはやめて帰った方がいい、という周りの視線に気付かない国の長。


「さぁ。知らん。話すことがないんなら帰れ」


余程妖精の数が圧巻のようで。


「王!」


独断専行気味の代表へ、鋭い声が飛んでくる。


「あっ、そう、だったな」


王は意識を戻してコレスへと顔を向けて謝る。


「申し訳ない。愛し子にも謝らせにくる」


「謝らせなくてもいいから、二度とおれに話しかけないようにしろ」


それはそうだ。


何度も話しかけて来られると謝られても意味がないし、やめさせないと謝りに来る、無限繰り返しが再び起こる。


やめさせることが何よりの詫びだ。


Sランクだからこそ、こんな高貴な人まで来たんだろうな。


そうじゃないと、示談にされて終わり。


コレスが妖精についてしらばっくれると、王は呆然とした目を家に向ける。


ふん、と鼻を鳴らしてドアを威圧的に閉めた。


引き続き、窓の中から外を見ていると集団は声をこちらに何度かかけて、直ぐに切り替えて帰っていく。


強者な男の家に居座るのは、心象が悪いと思ったに違いない。


そそくさと帰っていく集団を見送ると、立ち上がる。


「謝りにきただけだったね」


まともに謝れたかは別にして。


「最初はそうだったが、この家を見て目の色を変え出した。謝罪が後回しになって、心象が地に落ちてる」


感想をいただいた。


やはり、家について聞かれたのが怒りに拍車をかけたらしい。


「妖精見て顎凄く落ちてたけど、そんなに総数いる?」


増えたのなら、ミルクの量を増やすべきかも。


「さらに増えた」


「妖精用のコップにミルク増やしとこ」


「与えなくても死にやしないが」


「それでも、あげたいなぁ」


野良猫みたいなものかな。


なにが目的で来てるのかは、わからないけど。


「自分達も紐で散歩したいらしい」


「えー、そっち?」


普通嫌がるのではないかと思うが、人とは感性が違うのだなきっと。


実はもうヒモをつける意味がないと話し出す彼。


逃げなくなったらしい。


愛し子ミナイサのところへ、帰ろうとする衝動が消えたみたいだ。


エレラはコップをさらに追加して、ミルクを注ぎ入れる。


「愛し子用の魔法が完成したから、あの女に貼り付けてくる。もう妖精が寄ってきてもあいつを選ばない」


楽しそうに笑う相手に、うんと頷く。


それが気掛かりだった。


ここへ来たら、また乗り換えるんじゃないのかって。

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