59あっさり鞍替え&再びミナイサ来る
というわけで離れる理由がないので、別々に人生を送るつもりは全くないのだ。
それでも、やはり出て行ったのが記憶に強く残っているので嫌がる。
「建てたら、住むんだな?」
「うん。結婚式場は遠慮したいけど」
「遠くに建てる」
建てるは建てるんだな。
エレラは頷き、それならばと住むからと述べる。
元々家に住む予定だったのだから、新居でも仮の家だろうと、関係ない。
どちらにしても住むのは決定している。
それならば、新しい家に住みたい。
「ちゃんと住む」
「荷物も買うんだよな?」
「買う。ソファとか」
前の町の時の荷物もあるけれど、大きなものは前の街で売った。
この世界での場合、そのやり方が普通なのである。
「そうだ、妖精達は今どんなもんなの?中毒みたいな状態は今も?」
愛し子から引き離した時は行きたがったので、その後その衝動はどうなっているのだろう。
「今の所、あまり戻りたがることはなくなった。日が経つごとに、お前の方に行ってる」
「私?」
愛し子ではないのに。
「クッキーやミルク、花が気に入って、お前のことも気に入った」
「簡単に鞍替えしたね……それでいいのか妖精達」
鞍替えというより、より良い方を選ぶという合理性。
ならば、それは人も同じようなものなので当然の選択なのかも。
コレスはドヤっとした顔で、うちの嫁は愛し子になって当然だと告げる。
当然かはその人(妖精)の好みなわけで。
「当然なんだ。貼り付けとかせ」
たまたま好みを当ててしまっただけな気がする。
今まで、こうやってなにかをあげたりする人がいなかっただけなのでは?
労苦状態だったかもしれない。
なので、最も簡単にたった数日でこちらに変えたのかも。
今までなにかしても返してもらえなかったのに愛し子を決めていたなんて、純粋過ぎやしないかと怪訝になる
「相変わらず見えないけど……」
見えたら、鬱陶しい数らしいので見えなくて構わないと、コレスは断言。
ここまできたら、見えてほしい気がする。
何が起きて、何が起きてないのか知りたい。
コレスに引き続き実況させとけば、今の所不便はないんだけどね。
「愛し子申請したらどうなるんだろ?関係ないと思ってたけど、見える人にあったらこの数でバレる」
「無理矢理連れて行かれることはない」
「それもそっか……なら、気にすることはなさげ。ということは、忘れるが吉」
「きち?」
「異世界の私の住んでたところでは」
と、異世界談義をする。
説明することにより改めて異世界であれ、とてもよい世界だったことがわかる。
とても治安がいい。
治安が悪い場所もあるけれど、モンスターがいるのといないのとでは、全く違う。
そもそも、治安がいい地域からの異世界。
差がエグいなんてもんじゃない。
話がひと段落。
その後、二人は妖精を引き連れたまま……なわけがなく留守番させた。
妖精ブーストで攻撃力が上がっても、男のステータス的にはそこまで差が埋まらない。
「あ、あの!」
ああ、忘れていた。
愛し子の一人、ミナイサ。
彼女は前回のことを忘れたのか、夫に近寄る。
「ミナイサ!下がりなさいっ」
おや?
以前の後見人ではなく女性だ。
交代したのかな。
それとも、性別を変えれば注意しやすいという配慮か。