45テレビの見過ぎ
エレラの言葉を聞くなら、初めから止めているのでそれで察して。
溺愛してるけど決めたら音もなくやっていくのが彼だ。
お皿とかを作る場所に行くというので、まずは市場に売っている雑貨屋に行くと前を行く。
止まらない行動に、今のは確認じゃなくてただの独り言かと知る。
「おれもお前と、くるくるして粘土こねたいんでな」
欲望に真っ直ぐ。
くるくるするものの仕組みも不明なのに、今からどれだけ時間をかけるのかと執念に、考えるのをやめた。
話せば話すほど相手のやることが増えるって不思議。
やれとも、やってくれとも言ってないのに、働きすぎる。
先ずは温泉である。
「温泉を第一にしてね。何より優先して」
色々教えたのでタダ働きにはなってないし。
無報酬ならばあまり言わなかったけど。
お皿の売っている出店を覗く。
ザ、シンプル。
なんの絵も文字もない。
エレラはそういうものも欲しい。
「絵柄付き欲しいなあ」
「待ってろ、弟子入りか潜入して技術を会得してくる」
「待ってない待ってない。聞いてる?」
ただ、あればいいなぁと言っただけで、弟子入りしてきてなどと突拍子のないことを言う己ではない。
ただ、彼が潜伏したいか、潜伏という言葉を使いたいから今、殊更に言いまくっている気がしてならないんだよね。
お皿をワンセット一つ買い込む。
前に使っていたものもあるけど、この国の思い出を買うつもりで記念扱い。
「それ、買うのか?作らなくていいのか?」
「今すぐ作れないし火の国に来たってわか、いや、わかんないけど……市場で皿買ったなってくらいはうろ覚えで将来的にわかるでしょ」
「そういうものなのか?前の街ではなにも買わなかったのに」
確かに。
でも、あの時は軽い気持ちで移動したって感覚で、街に移り住んだだけ。
「前の街は住んでた国の中にあったし、旅行場所のお土産を買うには特色はなかった」
「そうか?おれは二人で長い間いられてよかったけどな」
「なんで最初からそれをしなかったのかな、この人」
小さい声で言ったが、彼はくりんとこちらを向く。
「他のやつに取られる心配がなくなって気が緩んだだけだろ?」
「自分のことなのに、問いかけてこられても」
ハテナマークを最後につけられても、そんなのエレラが一番知りたい。
いや、やっぱり知らなくていいや。
悪態というより呆れた声音。
こちらを見た彼は、軽く腕を掴むと距離を縮めてくる。
「なに?近い」
「拗ねるな。愛してるぞ」
「テレビの見過ぎなんだよなぁ、なんか」
絶対、そのセリフを夢で見たでしょ。
「なにがだめだ?どこらへんだ?この言葉で、女側は相手の男に抱きしめられてうっとりしてたが?」
「演技、お芝居、現実に起きることじゃない。解散!」
コレスは腕を手で包み込んで離れなかった。
その態勢はこっちがやって様になる行為であるが、相手の背が高いので周りと比べて男女逆転している。
おかげでめちゃくちゃ目立ってしまう。
二度見どころではない。
何度も見られる。
周りから口笛で捲し立てられる。
お国柄だ。
「見られるのは嫌だ。買うもんは買ったから家に帰るぞ」
自分で目立ったのに。
何かいう前に市場の外にいた。
瞬間的に移動したらしい。
「はぁ、魔力を大量に消費するな」
「え、これ、魔法?転移?」
「転移?お前がそう言うなら転移でいい。今やったのは転移だ」
「お金が精々なのに……そこまですることじゃないからやめときなよ」
やめられるのは、見てるとかなりしんどそうだったから。
とってもごっそり、なくなったのだろう。
見ているだけでこっちまで息苦しくなるので、連発されたくない。
人として正常な共感なので、こっちも巻き込まれる貰い事故になる。
パッと一瞬で市場をしていたところから、一瞬で市場を抜けていった。
移動というより飛んだって感じ。
それならば普通に身体能力で空を飛んだ方が良いのでは?




