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40野盗のこと。異世界に式場を建てたいらしい

しかし、安心するように伝える。


平気だと。


服を着たまま足だけ入れる。


「うん。温度も三十八度」


「本当か?」


疑わしそうに言われるが、彼もゆっくり足を浸からせる。


「へえ、悪くない」


「でしょ。足湯も健康にいいから」


「これだけでも温泉の価値が飛躍的に上がるな」


「温泉ありますように」


「あまり期待はしない方が後から楽だぞ」


的確な慰めどーもー。


一応今日の目標である、夢で思い描いたものを具現化させられる実験は、成功であった。




──ズリズリ


只今、火の国へ移動中。


もう少しで検問かなと二人で話す。


──ズリズリ


先ほどからなにか耳に聞こえてくるとな?


「それにしても、本当に存在してたんだね」


「割と居るぞ?お前も無闇に無法地帯には絶対に行くなよ」


「誰かさんが連れて行かない限り、行くことないと思う」


実は昨夜、野盗に襲われたのだ。


なんとびっくり、住んでいた街を出てから初めてである。


「なんでうちの馬車が襲われたかわかる?」


「ここは国の門に近い。ここを通るやつ目当てだな」


「豪華絢爛なお貴族の馬車とか?」


「小説では定番だが、実際リスクが高くて貴族のいる馬車は避けていく。襲ったら確実に兵を差し向けるしな」


「なるほど。物語みたいにはいかないか」


そうして、物語のようになってしまった部分を見る。


チラッと後ろからついてくる馬車を。


「なんでまた助けたの?前回で懲りなかったの?」


「道が塞がってたんだから、退ける意外に方法なんてあったか?」


少し不貞腐れたコレス。


確かに今のは、エレラの言い方が悪かったかも。


通る予定の、道の真ん中に倒れてる馬車があって、みんなで引き上げようとしていたのだ。


倒れないので進めない。


野盗を引き連れているから余計に目立つし、早く国に入りたい男は自分がやった方が早いと思ったのた。


コレスが魔法で馬車を定位置にして横に退けると、颯爽と前を通った。


しかし、そこで終わらぬのが現実。


「コレス、野盗を引きずる音よりも後ろの音が煩いし、そろそろ断絶して」


「音を遮断、だな」


前の街にいる時に、音を遮断することを可能とする話をしたら、かなり食いついてきたので教えたのだ。


それを何度もやっていて、ちょっとできるようになった。


音が来る方向に魔法のカーテンを張る。


そのイメージだ。


「よし、できた」


「かなり小さくなったね」


カーテンにぶつかって強盗犯が呻いているが、本来そこに人がいる予定はなかったので仕方なし。


エレラは先ほどから、後ろの馬車から呼びかけてくる女の甲高い声に、うんざり。


「まーた、コレスの顔に惚れたクチだ」


「お前もおれをかっこいいと思うのか?」


「まあ、対外的に見たら整ってるのは間違えようのない真実だし」


野生的な顔つきの男前さだ。


「その言葉で今日も生きられる。結婚式をもう一度やってみたい」


「えー」


その話したっけ、と首を傾げる。


結婚式は一度するのがどこの世界でも常識。


異世界でも何度もして、結婚式を楽しむ人がいると説明したことはない。


「お前の夢で見た。夢のブライダルだとか、パンフレットで」


「あー、昔掲示板に貼ってたやつね」


それと、ドレスを着用する店の外に貼られていた。


確か、ブライダルコースプランだったか。


結婚式というより、二人で楽しむイベント扱いだ。


「おれもお前と異世界式の結婚式をしたい」


「白いドレス着て?無理でしょ」


断ると男は目をつんとさせる。


「やりたい」


「いや、結婚式をやりたくないからとかじゃなくて、ドレスを再現する技術がこの世界にないからってことで」


ムキにならせてしまった。


レースなんてないじゃんと付け加える。


「そもそも、平民に式場的な施設貸してくれるとこなんてさ、あるわけないし、諦めて」


豪華絢爛な施設は、基本貴族に向けた建物。


「施設長を捻り潰せばできるだろうが」


「蛮族活動はね、非常に遺恨を残すっての」


思わず正論を放つ。


「わかった。じゃあ、おれが式場を建てる」


「じゃあ、のあとに来るワード!」


なになに、異世界に結婚式場ぶっさすの?


コレスの行動力がよくわからん。


「うーん。好きにすれば」


Sランクを止められるわけがないので放置である。


誰かに止めてくれと言われても、笑顔で無理ッて言えばいいさ。

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