38水鉄砲と半熟温泉卵
なかなか悪くない気持ちになってしまう。
「売れに売れるなそれは。特許申請しておく」
コレスは真面目な顔をして考えている。
「水鉄砲も発売する」
「今回は売るのが多いな」
「竹の凡庸性が高いからねえ」
竹を切って水を入れて。
ポンプ式の方にすれば、温泉がある国ならば、使い勝手があるのではないかと。
「竹とタケノコと水筒と水鉄砲ってことで」
「全部登録する。無料で本当にいいのか」
「竹と筍は栽培不可だろうし、水筒と水鉄砲はどうしようかな……」
前回は宣伝というサンプルが必要で、一種の実験目的で無料公開にしてみた。
書式とか。
とても売れて店に集中するのも嫌。
温泉ライフを過ごしたい。
どうしようかと悩む。
「悩むんなら有料でいいだろ?最低金額にしておけばいい」
と、なかなかの助言にコレスだって頭の回転早いんだよと内心感嘆もの。
「そうする」
温泉ライフを考えたら連想する食べ物で頭がいっぱいになる。
「温泉たまご食べたい。向こうに着いたら食べようっと」
お腹空いてきたせいかな。
卵はあるのでコレスに頼んでおく。
「卵を浸けるのか?お風呂じゃだめなのか」
最近、お風呂を作るのを手伝ってくれている。
まだ完成してないけど。
(どう言えば伝わるのかわかんないな)
「温泉は半熟にする具合がいいみたいで」
「卵を半熟に……半熟にってことは、焼き切らないってことか。死ぬぞ?いくら回復魔法をおれが使えるとはいえ、腹痛はなかなか治りにくい」
たまごで失敗も、異世界ものではもう暗黙の了解。
「新鮮なら大丈夫。だめなら焼くから、卵料理のレシピ頭の中にあるから!」
なぜあるのかというとゲームで料理ができるカジュアルゲームを長年やっていて、お店をカジュアルゲームで営んでいたから。
端折ってるところがあるけど、大体は同じ動作になるだろうから。
所謂クッキングゲームってジャンルである。
なんでも、ゲームとテレビで習えば異世界でも雑でも通じる。
水鉄砲とか水筒もテレビで見たから説明できた。
完璧に知らなくてもコレスが補完して作るかもしれないので丸投げ状態。
出来なくても水筒にはできるから、うんうん。
「いや、しかしなぁ、半熟だろうと、死ぬぞ」
さっきから心配そうに言ってくる気持ちはわかる。
エレラとてこの世界で生まれたから生のものは口にしないように徹底して教え込まれている。
衛生概念の問題は根深い。
「コレスに回復魔法の菌について教えるし、なんなら国に着いて落ち着いたら卵産める生物買おうよ」
今まで飼わなかったのは買う意味もなかったから。
卵ならば商店街や店に売ってるし。
ちょっとお高いけど。
コレスは高級取りだからそこら辺は遠慮なく買ってくれた。
しかし、温泉たまごと薬味につけたものを食べたら、彼も見方を変えると思うのだよ。
卵を口に入れさせてくれればいいんだけど。
下手したら食べることを阻止されるかもしれん。
という危機感が働いて、慌てて説明を重ねていく。
だが、いいよとはならなかった。
異世界のナマモノ事情を説得するには、成功体験が無さすぎた。
死ぬのでダメですと言われるばかり。
エレラはどうしても食べたいので諦めない。
彼の目を盗んでなんとか新鮮な卵を食べたいところだ。




